映画 廃用身

     廃用身(はいようしん)。創作のキーワードだが、冒頭で介護の現場などで使われる医学用語なのだと説明される。脳梗塞(こうそく)などによる麻痺(まひ)で回復の見込みがない手足のことを指すという。医療の理想を追うあまり、この廃用身を次々と切除していく医師を主人公にサスペンスが展開する。

     まず描かれるのは、ある町にあるデイケア介護施設の厳しい状況だ。自分の年齢や今日の日付を答えられない認知症患者、重度の床擦れである褥瘡(じょくそう)に苦しむ者……。一人ひとりの症状に細やかに対応しなければならない職員たちは次第に疲弊していき、人手不足に陥る。昼間預かる施設側だけではない。それ以外は家庭での生活だから家族の負担も深刻だ。いきおい、虐待事案も生じてしまう。

     映画は、その実態を静かに淡々と描いていく。感情を込めない客観的な描写なので、かえって厳しさや悲惨さが伝わってくる。私も高齢者であり、いつ…



    残り828文字(全文1228文字)


    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。


    ・会員限定の有料記事が読み放題

    ・1989年からの誌面掲載記事検索

    ・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)















    Share.

    Comments are closed.