現在、休養中のバナナマン・日村(番組公式インスタグラムより)

     休養を発表したバナナマン・日村勇紀(53歳)。多数のレギュラー番組を持つ売れっ子だけに、テレビ業界にはショックの声も広がっている。その一方で、今後不在が続くことになったことでむしろその存在感が高まっているのも事実。改めて日村の魅力に迫っていきたい。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

    【写真】スマホ片手に外を歩く、変装無しのバナナマン・日村。他、休養前、元気な姿でロケをするバナナマン・日村なども

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     バナナマン・日村勇紀さんが4月28日に体調不良による休養を発表してから10日あまり。まだ収録済みの映像などでその姿をレギュラー番組で見ることができます。

     特に『バナナマンのせっかくグルメ!!』(TBS系)は日村さんメインの番組。相方の設楽統さんがスタジオに専念する一方、日村さんは全国各地でグルメロケを行っています。10日も福岡、長野、静岡、鹿児島で行われたグルメロケの放送が予定されており、いつも通り元気な姿を見せてくれるのでしょう。

     日村さんはコンビで9本、ピンで3本のレギュラー番組を持つ売れっ子ですが、あらためてどんなところが制作サイドと視聴者から評価されているのか。休養中の日村さんにエールを贈る意味を込めて、『せっかくグルメ!!』を中心にその魅力を客観的な視点からあげていきます。

    日村勇紀の魅力を凝縮したグルメロケ

     各局のテレビマンに話を聞くと、ほとんどの人から「明るい」「親しみやすい」「全力」などの番組と向き合う姿勢を称える言葉が返ってきます。

     たとえば『せっかくグルメ!!』の前回放送では、軽井沢で撮影されたオープニングの開始1秒から全力でリポート。渾身の変顔を見せたあと、大きな声でトークをはじめて番組を盛り上げました。

     その後、地元民におすすめの店を聞くときも、食リポするときも全力のリアクションを披露。常に満面の笑みをうかべ、どんなメニューでも「めちゃいいじゃん!」などと喜びの声をあげ、「グルメロケが楽しくて仕方がない」という姿勢を視聴者に伝えていました。

     地元民と接する際は自分から声をかけるだけでなく、声をかけられるシーンも多く、その親しみやすさは「笑福亭鶴瓶さんや出川哲朗さんと並んで業界トップクラス」などと言われています。

     前回放送では食リポだけでなく、サウナに入ったあと、全身に水シャワーを浴び、水風呂へ飛び込み、外気浴で涙を流して感動するなどの体を張った姿で笑いを獲得。その他でも聞き込みの際に「歩いているだけで気持ちいいね!」、住民のオススメ料理を聞いて「いい!そういうのほしいな」、歩いて店を見つけると「これ?ステキ!」などとハイテンションで楽しみ、最後も鯛焼き店の店主に「食べてく?」と声をかけられて笑顔で食べるシーンで締めくくりました。

    『せっかくグルメ!!』最大の魅力は、そんな明るく、親しみやすく、全力で楽しもうとする日村さんの姿勢が番組全体に浸透していること。同番組はそのシンプルな構成・演出から「ただ食べるだけ」「おいしい料理を紹介するだけ」などと思われがちですが、日村さんの人柄とロケの実力がその2点を最大限に高めています。

     それを裏付けているのが、数あるグルメバラエティの中でもトップクラスの業界内評価。他局テレビマンの中にも「『せっかくグルメ!!』が好きで毎週家族で見ている」という人が多く、その理由を聞くと「日村さんのロケが素晴らしい」「翌日の仕事がチラつく日曜夜に幸せな気持ちになれる」などと返ってきます。

    ボケだけでないバラエティの万能選手

     そんな業界評価の高さはレギュラー番組のラインナップからも見て取れます。

     日本テレビ系の『沸騰ワード10』『サクサクヒムヒム☆推しの降る夜』、TBS系の『せっかくグルメ!!』『ジョブチューン』『バナナサンド』、フジテレビ系の『奇跡体験!アンビリバボー』、テレビ東京系の『YOUは何しに日本へ?』、NHK総合の『ひむバス!』と各局をほぼ総なめ状態。

     日村さんは一般的に「ボケ」の印象が強いものの、実際はツッコミが丁寧でタイミングも良く、共演者のボケを的確に拾うシーンが目立ちます。さらに芸人だけでなくアイドルからアーティスト、文化人、一般人まで共演者を問わずトークをフォローできることも強みの1つ。「うんうん」と親しげにあいづちを打って話を進めるほか、説明が足りなければ「それは○○なの?」と話を広げ、そろそろ笑いが必要なときに軽くボケるなどの臨機応変な対応で番組全体を助けています。

     バナナマンは「設楽さんがクレバーでスマートなキャラ、日村さんが温厚な愛されキャラ」と色分けされがちですが、いつでも役割を入れ替われるのがコンビの強み。2人ともバラエティの万能選手であり、共演者の年齢やキャリア不問で番組を任せられるからこそ各局でレギュラー番組を持てるのでしょう。

     事実、約1年前にスタートした『サクサクヒムヒム☆推しの降る夜☆』は開始早々からトップアイドルのSnow Man・佐久間大介さんとの息がピッタリ。年齢、経歴、立場、外見などを超えてつながれる類い希な能力をあらためて証明しています。

     かねて業界内では「日村さんはもう一回、違う売れ方をするかもしれない」と言われていました。ただ、そのきっかけはMCとしてなのか、コント師としてなのか、俳優としてなのかなど意見が分かれていましたが、近年では「ロケ。特にグルメロケに魅力が集約されている」という見方が広がりつつあります。民放各局が放送収入の低下に苦しむ中、グルメ番組は制作費を抑えやすく、手堅く視聴率を獲得でき、スポンサー企業との相性もいいだけに、「本当は日村さんにもっと出演してほしい」というテレビマンは多いのでしょう。

     その意味で大切なのは、やはり健康管理。日村さんは10年以上前から何度か体調不安がささやかれ、本人も自覚していただけに万全を期しての復活が期待されます。不在が長引き、レギュラー番組から姿を消しはじめる5月中旬以降、その存在の大きさが話題になるのではないでしょうか。 

    【木村隆志】
    コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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