2026.05.08

「美術展ナビ」ライター陣の中村剛士さん(ペンネーム・青い日記帳)が、新著を刊行しました。「達人はここを見る いちばんわかる日本美術鑑賞」(筑摩書房)は、中村さんが、安土桃山時代以降の日本美術を研究しているエキスパートを訪ね歩き、「どう見れば作品が面白くなるのか」を追求した良書です。

7人の達人にインタビュー

青い日記帳さんは、前著「いちばんやさしい美術鑑賞」(筑摩書房)では、日本美術から雪舟、狩野永徳、尾形光琳、伊藤若冲、並河靖之、上村松園、池永康晟という7人の画家の作品を選んで鑑賞法を提示しました。

今回は七つの章を、エキスパート7人へのインタビューに充てています。7人の達人は、黒田泰三さん、石田佳也さん、佐藤康宏さん、日野原健司さん、古田亮さん、小林祐子さん、安村敏信さんです。

表紙は長谷川等伯の「松林図屏風」16世紀(安土桃山時代)

黒田泰三さんへのインタビューを読むと、長谷川等伯が同時代の大勢力・狩野派に対抗するために手段を選ばなかったことや、太閤秀吉から一世一代の仕事を受けて大プレッシャーの中で画作していたこと、絶頂期に脚立から落ちてけがをして以降の作品が振るわなくなることなど、作品の面白い背景がわかります。

コロナ前から構想、熟成

本書の構想はコロナ禍前からあったということで、中村さんは執筆に長い年月を費やしています。「その分、言葉を熟成させ、問いを磨き、作品に近づくための手がかりを一つずつ確かめながらまとめた一冊になっています」「達人たちの言葉で、私たちの鑑賞の解像度は一段上がるでしょう。だからこそ本書の『いちばんわかる』は飾りではありません。タイトルに偽りなし、と胸を張ってお届けします」と言い切っています。確かに、実に読みやすい新書です。1100円、新書版216㌻。(読売新聞美術展ナビ編集班)

 

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