蔦屋書店・江藤のオススメ広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.375『ウィリアム』メイソン・コイル(著)山本佳世(訳)  早川書房

     

    久しぶりに怖い本を読みました。
    完全に本の世界に入り込んでしまい、夢中で読んでいて後ろで物音がした時にはビクッ!としてしまう。

    そんな本です。

     

    この本のジャンルはちょっと重層的です。
    SFでもあり、ミステリーでもあり、サスペンスでもあり、でも怖いのでホラーでもある。そんな小説です。

     

    ただ、登場人物は非常にシンプルです。
    主人公はエンジニアのヘンリー。彼は家の中にこもっているのですが、外に出ることに恐怖を感じていて、家の外に出ることができません。そして妻のリリー。妻が招待したリリーの同僚のふたり。この4人だけです。

    リリーが招待した同僚のふたりに、ヘンリーは屋根裏のラボ(研究室)で作った、とっておきのAIロボット、ウィリアムを披露します。

    というところから始まるこの小説。

    最新のAIを搭載したウィリアムがまず怖い。いや、ずっと怖い。
    見た目の描写もあるのですが、外装はヘンリーが取り敢えず手近にある材料で作っているので、ツギハギだらけで、不格好です。そして、このロボットには下半身がありません。上半身だけで喋ったり、手を動かしたりするのです。しかもAIの性能が凄すぎて、ロボットとは思えません。人間と変わらないのです。

     

    そして主人公たちが住む家。
    すごく豪華な家のようです。しかもすべてが夫婦ふたりの声を鍵としている音声システムで動いています。屋根裏のラボのドアを閉めるのも、ロックするのも音声認識システムです。その他、家でする全ての作業はシステムで制御されているのです。

    もちろん家の玄関も窓もシステムが制御します。

     

    そう、勘の良い方なら気がつくかもしれませんが、この家で彼らは、窓も玄関扉もすべてロックされて閉じ込められてしまうのです。
    そこから恐怖の時間が始まります。

     

    ただ、私が最初に書いたように、この小説のジャンルは重層的です。
    人間のようなAIロボットと完全システム化された家(SF要素)
    閉じ込められた家の中では死体も出ます(サスペンス要素)
    全体的にすごく怖い(ホラー要素)
    あれ、1つ要素が抜けていますよね。
    そうです、ミステリー要素です。

     

    スリルがあって怖くて、小説に引き込まれて忘れてしまうかもしれませんが、この小説には全てを覆してしまうような大きなミステリー要素があるのです。

     

    さて、その真相を知っているのは?
    ウィリアムが仕掛けたこととは
    ヘンリー、リリー、は何を知っていて、何を知らないのか

     

    全ての謎が解けた時のあなたの驚く顔がみたいものです。
     

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