朝日中高生新聞 佐藤美咲

サムネ是枝裕和監督「ここじゃないぞ」が原動力に

撮影・品田裕美

Runway(1)

家族のあり方や、社会とのつながりを問う作品で知られ、2018年には映画『万引き家族』がカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞するなど、世界でも高く評価されてきた。25年にはiPhone 16 Proを使った短編映画づくりに挑戦したことも記憶に新しい。

その多くで、脚本、演出、編集までを自ら手がける。映画のテーマ探しは、日頃からアンテナを張りめぐらせているわけではなく、「感度はにぶい」そう。「なんとなく気になったものが頭に残って、それがふくらんでくるイメージ。『なんか違う』が大事じゃないですか」

ヒューマノイドを息子として受け入れた家族を描いた最新作『箱の中の羊』も、「最新テクノロジーで死者をよみがえらせる」というニュースに対し、「気持ち悪い」と思ったのが始まりだ。「この気持ち悪いという感情はどこから来ているのか、でもビジネスにしている人がいるんだな、よみがえらせたい人の気持ちもわかるな、とか、掘り下げていろいろ考えると、ふくらんでいきます」

是枝裕和監督「ここじゃないぞ」が原動力に2

映画『箱の中の羊』の一場面。綾瀬はるかさんと大悟さん(千鳥)が夫婦役を演じます ©2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.

ドキュメンタリー番組でキャリアを重ね、映画監督としては1995年にデビュー。その道のりをたどると、決して「優等生」ではない。

浪人して入った早稲田大学では、大学へ行く意味を見いだせず、映画館に入り浸る日々を送るように。卒業後はテレビ番組制作会社へ入ったが、思うようにいかず、1年目は「出社拒否」のような状況になった。「いつも期待して入って、勝手に自分が裏切られる。『やっぱり違ったな』『ここじゃなかった』と思うんですよ。でもそこから、始まるんです」

自分の居場所は、ここじゃない――。そんな思いが原動力になってきた。「居心地がよすぎると、なじんでしまって、そこで止まってしまう。実はいまも、『ここじゃないな』って思い始めています」

(佐藤美咲)

 iPhone 16 Proで撮影した短編映画『ラストシーン』はYouTubeで公開中です
https://youtu.be/1nP45TNIIKM?si= nWYlFYXWYpmjTiVm(外部サイト)

是枝裕和(これえだ・ひろかず)

是枝裕和監督「ここじゃないぞ」が原動力に1

撮影・品田裕美

 1962年6月6日生まれ、東京都出身。代表作に映画『万引き家族』『怪物』など。映画『箱の中の羊』は5月29日に公開。漫画『ルックバック』の実写映画の公開も控えている。

Runway 未来へ飛び立つ君たちへ

Runway見出し

中高生時代は未来への「滑走路」。各界の「花道」をゆく人が4週連続で登場し、エールを送ります。

(朝日中高生新聞2026年3月29日号)

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