2026.04.28 UPDATE

“文化の継承者”として次世代を担う気鋭のアーティストたちが登場し、それぞれの文化芸術に掛ける情熱や未来について語る「Bunka Baton」。今回は、2026年6月から上演するDISCOVER WORLD THEATRE vol.16『ウェンディ&ピーターパン』に出演する、松岡広大さんにお話を伺いました。

憧れをエネルギーに変える行動力

高い身体能力と繊細な表現力で10代の頃から主演舞台を務め、ストレートプレイ、ミュージカル、そして映像まで幅広く活躍する松岡広大さん。この世界への憧れは、なんと3歳の頃に芽生えたと教えてくれました。

「当時の僕が何に熱中していたかというと、テレビで歌って踊るアイドルの方たち。静電気で髪の毛がパチパチになるほど、画面に近づいて見つめていました(笑)。多分、テレビの中に入りたいと思っていたんでしょうね」

8歳からダンススクールに通い始め、その後、芸能事務所に所属。ご両親にも「僕はこれでご飯を食べていく」と宣言していたというから、その強い意志は大したもの。勉強のためにあらゆる舞台を観に行く中で出会ったのが、重厚なドラマを立ち上げる演出家・栗山民也さん演出の『アドルフに告ぐ』(2015)でした。手塚治虫原作、第二次世界大戦を背景とした同作で力強い存在感を発揮していたのが成河さん。「人間一人のエネルギーではない」と衝撃を受け、「芝居の世界を学びたい」と、今まで以上に真剣なギアが入ったと語ります。その後、見事『スリル・ミー』(21・23)のオーディションを突破し、栗山演出を初体験。緻密な心理劇で演じた「私」役では、人間の多面性を見事に表現しました。さらに村上春樹の小説を身体表現で立ち上げる『ねじまき鳥クロニクル』(20・23)では、成河さんと共演。憧れを次々とエネルギーに変えていく行動力、引き寄せ力に驚きます。

“自分を変えた言葉”からの刺激

こうして着実に自分の表現フィールドを拡張し続ける松岡さんに “自分を変えた言葉”を尋ねてみると、「たくさんあって……全部列挙していいですか?」という前置きと共に、たっぷりのお答えが返ってきました。

「まずは栗山民也さんが『スリル・ミー』の本読みの時におっしゃった『現代は《声》というものが失われている。とにかく肉声で勝負しなさい』という言葉です。ネット社会が加速する今、生である舞台をどう届けていったらいいのか、自分の演劇観もより深くなるきっかけになりました。次に演出家サイモン・ゴドウィンさんのワークショップに参加した際、『壁にぶつかった時の突破法』として挙げた『CONTINUE(継続)』と『BREATH(呼吸)』です。これは自分の経験を振り返ってみても、心から納得できる言葉でした。そして最後は直接言われた言葉ではないのですが、ピナ・バウシュが2007年に京都賞を受賞した時の、『自分自身の心に耳を傾け、自分が発するものを聴き、ほかの人はどう考え何を望んでいるかなど考えるべきではありません。なぜなら自分に正直であれば私たちが共通して持つ「何か」に出会えるからです』というコメントには、自分に向き合う重要さ、孤独でいることの強さを教えられたと思います」

稽古開始前から準備万端

さまざまな方向からスポンジのように吸収し、表現の糧にし、とことん突き詰めて考えていく――好奇心、感性の鋭さ、粘り強さを持ち合わせた松岡さんが次に出演する舞台が、『ウェンディ&ピーターパン』。持ち前の研究熱心さは稽古開始前から発揮され、準備万端のようです。

「ジョナサン・マンビィさんは、10代の頃に感動した『ロミオ&ジュリエット』(12)の演出を手がけた方。出演が決まった時はリアルに『ヨシっ!』とガッツポーズが出ました(笑)。僕が演じるマイケルはウェンディの弟。彼は虫や植物を愛する子どもなので、稽古が始まる前に山に登って、しっかり自然と触れ合おうと考えています。植物図鑑を購入して、眺めようとも思っていて……とにかく稽古開始が楽しみなんです! 『ピーターパン』を新たな感性で捉えた今作は、大人になること、時間や記憶についてなど、幾つもの哲学的で美しいテーマを内包した舞台。近年はシリアスなお芝居への出演が多かったのですが、視覚的にもワクワクする演出がたくさん詰まったお芝居です。どうぞ思い切り楽しんでください」

取材・文:川添史子

〈プロフィール〉

2012年に俳優デビューを果たし、翌年『FROGS』で初舞台を踏む。15年にライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』で主人公のうずまきナルト役として初主演を務めた。以降、舞台・映像など幅広い分野で活躍している。近年の主な出演作に、【舞台】『FOUR MINUTES -4分間のピアニスト-』(26年12月開幕予定)、『モンスター』『空中ブランコのりのキキ』(24)、『スリル・ミー』(23・21)、【映画】『361 -White and Black-』(26)、『沈黙の艦隊 北極海大海戦』(25)、『八犬伝』 (24)、【ドラマ】『パンチドランク・ウーマン -脱獄まであと××日-』Season2(26・Hulu)、『君としたキスはいつまでも』(26・ABC)、『らんまん』(23・NHK)などがある。

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〈公演情報〉

Bunkamura Production 2026

DISCOVER WORLD THEATRE vol.16

『ウェンディ&ピーターパン』

2026/6/12(金)~7/5(日)

会場:THEATER MILANO-Za (東急歌舞伎町タワー6階)

ほか、大阪公演あり

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