ドラマ主題歌として250万枚を超える大ヒットを記録したMISIAの代表曲『Everything』や『明日へ』をはじめ、JUJU『この夜を止めてよ』、AI『ONE』、Crystal Kay & CHEMISTRY『Two As One』などを作曲、日本のみならず世界の音楽業界でも注目を集める作曲家・ピアニストの松本俊明(まつもと・としあき)。

そして、1989年に芸能界デビューして以来、数多くのCMやドラマ、映画等に女優として出演、NHK連続テレビ小説『走らんか!』ヒロインとしてお茶の間の人気を博し、近年は作家・脚本家としても活躍する、女優・作家の中江有里(なかえ・ゆり)。

方や作曲家・ピアニスト、方や女優・作家。一見、まったくの畑違いにも見えるお二人は、2024年に《スピン》という名のユニット結成を発表。そして来る5月16日にFirst Liveイベントを東京・MAMEHICO銀座で開催します。掲げるテーマは「文学と音楽の融合」。第一部では中江さん書き下ろしの朗読劇「本とピアノと」を、第二部ではスピンとしての楽曲を披露する予定とのこと。90年代から30年以上にわたる長い縁を持つお二人が、キャリアを重ねた今だからこそ挑む新しい試み。今回、当日に向けた意気込みや、お二人が思い描くボーダレスな表現の世界、そしてユニット結成に至った想いについてお伺いしました。(撮影・サリー久保田)
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タイトルは「本とピアノと Book & Piano with …」
──ご無沙汰しております。来る5月16日に、お二人のユニットでライブを開催されるとのことですが、会場と内容について教えてください。
松本俊明(以下、松本): 東京・銀座のMAMEHIKOというカフェですね。
中江有里(以下、中江): 二部制を予定しています。第一部は私が書いたものを朗読し、松本さんがオリジナルの曲をつけてくれる朗読劇のような形になります。第二部ではスピンの曲を披露する、という構成です。
──第一部で伴奏入りの朗読劇を、第二部では中江さんが歌われて、演奏は松本さんの生演奏ということですね。
松本: よくラジオの朗読劇でイメージされるような、ああいった雰囲気に近いかもしれません。ラジオではないのですが。
──朗読劇はどのような内容になるのでしょうか。
松本: その朗読の内容は、今ちょうど中江さんが書いてくださっています。
中江: タイトルは「本とピアノと」です。スピンはもともと、松本さんと私で文学と音楽の融合を目指して結成したユニットなので、その第一回のライブとして象徴的な意味も込めて、このタイトルにしました。物語の舞台は、先に言ってしまうと「音楽室」です。音楽室が舞台になり、そこに「本」と「ピアノ」というものが登場する。これがひとつの答えですね。あとは見てのお楽しみ、ということで。

中江有里さん
──定員45名の会場なのでお客さんと近い距離感になりそうですね。2024年にお茶の水で開催された「ユニット結成」報告トークショーの時のような雰囲気でしょうか。
松本: あの時よりは少し大きいですね。
中江: カフェに舞台があります。店内にはテーブルがあり、ゆったりと座って食事やお茶を楽しみながら観ていただけます。

松本俊明さん
松本: 食事をしたり、何か頼んだりできる、イメージとしては店内がすべて木で作られていて、ウッディな雰囲気なんですよ。どちらかというと、学校の図書室や校舎のような感じですね。
中江: 設えが良くて、天井が高くて、重厚な空間です。趣のある場所で、いわゆるライブハウスを想像されると全然違うと思いますよ。
松本: いわゆるカフェですね。もともと店名の「MAMEHIKO」という名前は、コーヒー豆の「豆」から来ているんです。
「ボーダレス」な表現を目指して
──今回のライブをどのような会にしたいか、まずは意気込みをお願いいたします。
松本: 普通のライブだと音楽中心の構成になりますが、今回は中江さんが言ったように、音楽と文学の融合がテーマです。その二つがミックスされている。朗読劇を見ただけだと朗読に近いのですが、その中に音楽がある。ミュージカルというよりはオペレッタのように、喋ったり、歌があったり、音楽があったり、ダンスがあったり……そういうボーダレスな感じを目指しています。皆さんがあまり見たことのない世界になったら嬉しいですね。
中江: 私たちが従来、個別にやっているもの……松本さんはピアノでソロライブをされていますし、私は歌メインのライブをしていますが……そういった普段やっていることとは違うものにしたいんです。そうでないと、わざわざユニットを組む意味もないですから。松本さんが「ボーダレス」とおっしゃいましたが、確かにそういう体験をしてもらえるような空間にしたいですし、その時間を楽しんでもらいたい。「こうじゃなきゃいけない」ということを、なるべく自分たちでなくしていきたいと思っています。
──受け取り方は自由でいい、自由に解釈してもらっていいという姿勢ですね。
中江: ただ単に音楽を披露するというのではなく、私たちはまだ1曲(「それぞれの地図」)しか配信していないので、そういう意味ではオリジナル曲の隙間を作っているような状態です。例えば演劇であれば、新作を観に来られる時、内容を全く知らない状態で会場に足を運んでくださいますよね。それと同じような感覚で、聴いたことのない曲を聴きに来ていただきたいですし、まだどんな内容かわからない朗読劇を楽しんでもらえたらいいなと思っています。「これを聴きにいくと何が起きるのか」「何をするのか」を期待していただきたいですし、それに応えられるようにしたいですね。
そこに来た人だけが共有できる時間を
松本: 今の時代は、CDから配信まで音楽というものの聴き方がたくさんあります。でも今、エンターテインメントの中で一番元気があるのはライブだと思うんですよ。そこに行かないと観られない、聴けないものがある。少し語弊があるかもしれませんが、中島みゆきさんが「夜会」をなさっているように、その夜会のためだけにやる、というものに近い感覚かもしれません。

そこに行かなければ聴けない歌を発表する。もちろん一般的に発表した歌もやりますが、そこに行った人だけが共有できる体験を大切にしたい。今はマスの時代で、TikTokのように何百万回再生されるものもあれば、ごく小さな小屋で盛り上がる場もある。僕は売り上げを目的として何万人の武道館やアリーナで歌われる仕事もしてきて、それはそれで素晴らしいことなのですが、その真逆の、そこに来た人しか楽しめないようなこだわりのある場……チェーン店ではなく、地元で昔からやっている小さな中華屋さんや定食屋さんのような……そこに行く価値を楽しんでもらえる人たちの集まりが持てたら、と思っています。
中江: このライブをどう作っていくかは、まだまとまっていない部分も結構あるんです。でも、お互い大人ですから(笑)。むしろ、二人でやるからこそ自分一人ではできないことができる。そういうパワーをお互いに与え合えたらいいなと思っています。
松本: そうなったら一番ですね。
30年の縁が生んだ、二人の新しい挑戦
中江: 私と松本さんは、90年代に私が歌い手としてデビューした時から始まったご縁があります。
松本: もう30年以上のお付き合いですね。

中江: 縁は30年以上あるのですが、ここにきていきなりユニットを組むというのは、自分でも思いがけないことでした。若い時に新しいことを始めるのとは違って、ある程度年齢を重ねキャリアを積んでから挑戦することの楽しさを、今、感じているのかもしれません。今回のことに関しては、本当に心から楽しめています。
松本: このスピンは、誰かから「やってほしい」と頼まれた仕事ではないんですよ。
中江: これまでのキャリアを生かしながら、新しいことに挑戦したいんです。
松本: 本当にプライベートなところからスタートして、お互いにライフワークのような感覚で楽しんでやりたい。そう思っている企画なんです。
中江: 長い縁があったとはいえ、ユニットを組む最初の段階では、お互いを深くは知らない部分もありました。キャリアの始まりの頃に出会って、その後に頻繁に会う機会もありませんでしたから。こういう形でカジュアルに始められたのも良かったと思います。普通はもっと身構えるような場面で新しいことに挑戦するものだと思うのですが、こうしてお互いに新しいことをやり続けたいという気持ちがある。それを共有できる相手と出会えたことは大きいですね。
──お二人が5月16日にどんなことを見せてくださるのか、今からとても楽しみです。ユニット名も正式に「スピン」と決まって、本格的に活動が始まりましたね。本日は、お忙しいときに楽しいひとときをありがとうございました。
【取材を終えて】
前回の取材から約2年ぶりとなる松本&中江コンビのインタビュー。やっとユニット名も決まり、ついに初ライブを開催するまでに至ったとのことで嬉しい限りです。今はまだ1曲配信されただけの共同作業しかしていないスピンですが、今回の朗読と音楽をはじめ、今後いろいろな形で実験的な試みを発表していく予定だとか。これから一体何が飛び出すのか、今後の松本&中江の「スピン」から目が離せません!(MAG2 NEWS編集部 gyouza)
● 松本俊明オフィシャルサイト
● 中江有里オフィシャルサイト
取材協力:フジパシフィックミュージック、オフィスクレヨン、濱田髙志、サリー久保田(撮影)
【関連情報】
スピン First Live「本とピアノと Book & Piano with …」

■日時 5月16日(土)
昼・夜二部制
<1st> 12時Open 13時start
<2nd> 17時Open 18時start
■場所 MAMEHICO銀座
■料金 7000円
■予約 以下の受付フォームよりお申し込みください。
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撮影・サリー久保田
