アニメ監督の今敏さんについて論じた書籍『今 敏 未完のアニメーション』が、4月24日(金)に青土社より発売される。
著者は映画・アニメーション研究を専門とする明治学院大学准教授・宮本裕子さん。定価は2,860円(税込)。
世界的に評価されるアニメ監督・今敏を多角的に論じる一冊
今敏さんは、『パーフェクトブルー』(1997年)、『千年女優』(2001年)、『東京ゴッドファーザーズ』(2003年)、『妄想代理人』(2004年)、『パプリカ』(2006年)などを手がけたアニメ監督。
「虚構と現実の混濁」を主軸に据える作風と映像表現は世界中から評価。2010年に46歳で急逝した後も、そのスタイルは多くのクリエイターらに影響を与えている。
本書は、精神分析学的アプローチやメディア論などを援用しながら、今敏作品を歴史的・理論的文脈に置き直すことを試みる。
発表作品ごとに章立てされ、様々なテーマから論じていき、終章では遺作となった長編『夢みる機械』なども取り上げて論じていく。
著者は映画・アニメ研究を専門とする准教授
著者は宮本裕子さんは、明治学院大学文学部芸術学科准教授。専門は映画・アニメーション研究。
立教大学現代心理学部映像身体学科准教授を経て、現職に着任している。
著書に『フライシャー兄弟の映像的志向──混淆するアニメーションとその空間』(水声社)など。
[目次]
はじめに
序章 今 敏とその作品
アニメーションの奇術師/『彼女の想いで』の思い出/今 敏アニメーションの主題/本書の焦点/「間メディア的な執着」という主題/複製メディア論と今 敏のアニメーション/精神分析学的な主題/非規範的なジェンダー、セクシュアリティの表象/各章構成第一章 アダプテーションとしての『パプリカ』——今 敏アニメーションの「原型」と主題系
精神分析学というフレーム/筒井康隆版『パプリカ』の方へ——今 敏の「本卦還り」/抑圧されたものの回帰——フロイトの精神分析学的意匠としてのパレード/ユング心理学における「元型」論/『パプリカ』における男性同性愛/千葉=(≠)パプリカの表現/「回復すべき良き物」としての結婚とそこからの逸脱/夢のアナロジーと技術第二章 最古のメディアと現代の「神話」——『妄想代理人』という戦後メディア史と大量消費社会への注釈
予言の自己成就——「終末」後の『妄想代理人』/うわさとサブカルチャー/うわさとその変容過程/うわさと消費/キャラクターの可変的、横断的な性質/「癒し」ブームと無表情なキャラクター/昭和ノスタルジー・ブームにおける虚構的な空間/紙芝居的なもの——ゲキメーション、あるいは立絵的な表現/「黄金バット」と少年バット——紙芝居キャラクターの遍在と変容/テレビとテレビ・アニメーションのメタ・テクスト/「まるで戦後じゃないか」——大量消費による現代の焼け野原第三章 実写的なレイアウトと「漫画」的存在——『東京ゴッドファーザーズ』における 異性愛規範の外部から中心への道程
『東京ゴッドファーザーズ』を論じることの困難/背景美術というアクター/「実写」的なアニメーションとは何か——レイアウトと背景美術/写実的な空間と「漫画」的なキャラクター/血液のイメージと台詞のなかの「エイズ」/死の可能性のなかを生きること/外部化されたものに焦点化すること第四章 『千年女優』とビデオ/ヴィデオ——メディウムのアナロジーとメディア(的存在)の老い
「映画生誕一〇〇年」という言説/ビデオで映画を見る男/円環構造と「女の一生」もの/ビデオ、DVDによる可逆的、静止的な映像視聴——あるいは「映画の終り」/ヴィデオの再帰性/千代子の老い/メディア産業と女性の老い/再メディア化と老いの不可能性第五章 『パーフェクトブルー』における多重人格——インターネット、ホラー、同一化
両義的、多重人格的なテクストとしての『パーフェクトブルー』/『パーフェクトブルー』の多重人格/メディアと多重人格/インターネットとウィンドウ——MUDとGUIの多元性/スラッシャー映画とレイプ・リベンジもの/「メディア・ホラー」としてのJホラー/老いのホラー化/映画史における「扮装」する殺人者/ルミの捻じれ——欲望と同一化/複数化する「私」終章 現在進行系の今 敏アニメーション
その後の今 敏——その影響と消費/自己引用としての『オハヨウ』/『夢みる機械』を夢想する/二〇二〇年代の今 敏アニメーションあとがき
参考文献一覧
図版出典一覧

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