いま何が読まれているのか、その“リアルな動向”が見える「Billboard JAPAN Book Charts」。3月の集計結果を確認すると、納得のタイトルから意外な一冊まで、さまざまな作品が顔をそろえている。ランキングから見えてくる読書トレンドを振り返りつつ、注目作をチェックしていこう。

■Book Hot 100
紙書籍(店舗・EC)、電子書籍、図書館貸出、SNS指標を合算した総合書籍チャート
 
〈第1位〉

『ONE PIECE』114巻(尾田栄一郎/集英社)

 全世界で累計発行部数6億部を突破し、ますます盛り上がりを見せる『ONE PIECE』。ルフィたちの冒険はゆっくりと確実に「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」へ近づいており、コミックス最新114巻では、長らく謎に包まれていた「ゴッドバレー事件」の全容が明らかになる。若き日のガープやロジャーたちを巻き込んだ大事件の真相は、きっと胸に重くのしかかるような読後感をもたらすだろう。また、指標別に見ると、店舗売上では1位を記録している。

〈第2位〉

『呪術廻戦≡』2巻(岩崎優次:著、芥見下々:原作/集英社)

『呪術廻戦≡(モジュロ)』は、「死滅回游」から68年後の近未来を描いた『呪術廻戦』初のスピンオフ作品。新たな脅威に立ち向かう乙骨真剣&憂花ら呪術師の活躍を描きつつ、地球外生命体「シムリア星人」の存在を通して“未知なる者との共生”をテーマに据えている。地球人と共生するか、否か…。最新2巻では、ついに決断の時が訪れる。

〈第3位〉
 『ファミレス行こ。』下巻 『ファミレス行こ。』下巻(和山やま/KADOKAWA)

 男子中学生とヤクザの奇妙な友情を描く『カラオケ行こ!』は、綾野剛主演の実写映画とTVアニメが大きな話題を呼んだ。『ファミレス行こ。』はその続編にあたる作品で、あの「地獄のカラオケ大会」から4年後の物語を描いている。かつて中学生だった聡実くんは大学1年生となるも、いまだに狂児に振り回されていた。この奇妙な縁の行方は一体どこへ向かうのか、物語はついに完結を迎える。

『週刊少年ジャンプ』発の人気マンガがトップ2を飾った同ランキング。第4位には『ワンパンマン』36巻、第5位には『SAKAMOTO DAYS』26巻、第10位には『ルリドラゴン』5巻が名を連ねるなど、集英社の話題作がトップ10の大半を占める結果となった。また第6位には『黄泉のツガイ』12巻もチャートインしており、アニメ化を追い風にした盛り上がりもうかがえる。

■Bungei
Book Hot 100から文芸関連書籍を抽出し、順位化したチャート
 
〈1位〉
 『イン・ザ・メガチャーチ』 『イン・ザ・メガチャーチ』(朝井リョウ/日本経済新聞出版)

『桐島、部活やめるってよ』『正欲』の朝井リョウが手がけた『イン・ザ・メガチャーチ』。2015年刊行の『武道館』以来となる“アイドル”を題材とした作品だが、そのアプローチは大きく異なる。アイドル目線の物語だった『武道館』に対し、本作はファンの熱量や行動によって成り立つ「ファンダム経済」をテーマに据えた一作だ。ダ・ヴィンチWebでは著者のインタビュー記事を配信しており、そこでは「ファンダム経済」に着目した理由や背景などが語られている。指標別に見てみると、ユーザー投稿サイトなどの記事数をもとにしたSNS指標で1位をマークした。

★朝井リョウ 作家生活15周年&『イン・ザ・メガチャーチ』刊行記念インタビュー

★朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』。生活を切り詰め、舞台俳優の「推し活」に励んできた35歳の女性。ある日、思わぬ報道が…【書評】

〈2位〉
 『木挽町のあだ討ち』 『木挽町のあだ討ち』(永井紗耶子/新潮社)

『木挽町のあだ討ち』は、江戸の芝居街で起きた仇討ちの真相を巡る時代小説。美しい若衆・菊之助はいかにして父の仇討ちを成し遂げたのか…。事件から2年後を舞台に、関係者の証言をもとにその真相を解き明かしていく。直木賞・山本賞をダブル受賞した話題作で、2026年2月27日(金)には柄本佑主演の実写映画が公開された。また同月には永井紗耶子の最新長編『青青といく』も刊行されており、ダ・ヴィンチWebでは著者インタビューを配信中だ。

★不自由な江戸という時代に、こんなにも自由な人がいた『青青といく』【永井紗耶子 インタビュー】

〈3位〉
 『方舟』 『方舟』(夕木春央/講談社)

 生贄には、その犯人がなるべきだ――。『方舟』は、1週間後には水没してしまう山奥の地下建築を舞台に繰り広げられる傑作ミステリー。ひょんなことから閉じ込められてしまった主人公たちには、“1人を犠牲にすれば助かる”という選択肢が残されていた。そんな矢先に殺人事件が発生したことで、極限状態での犯人探しが始まる。ダ・ヴィンチWebでは、さらに詳しいあらすじや見どころなどを紹介しているので、あわせてチェックしてみてほしい。

★衝撃の結末でミステリーランキングを席巻中! 極限状況で“生贄”となる犯人探しを描く極上ミステリー【試し読みマンガあり】

 今回のランキングでは、2026年本屋大賞を受賞した『イン・ザ・メガチャーチ』が1位に輝いた。また第4位以降には、山下美月主演で舞台化が決定した『成瀬は天下を取りにいく』や、ライアン・ゴズリング主演映画が話題の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』などがチャートイン。さらに第15位には、発売数日で品切れが相次いだオードリー・若林正恭の初小説『青天』も名を連ね、その根強い人気をうかがわせる結果となっている。

★オードリー若林正恭、初の小説『青天』! 一流の選手にも、優等生にも、不良にもなれない。ひねくれ者の高校生がアメフトに全力でぶつかる青春小説【書評】

■Culture
Book Hot 100から文化・芸術関連書籍を抽出し、順位化したチャート
 
〈1位〉
 『大河の一滴 最終章』 『大河の一滴 最終章』(五木寛之/幻冬舎)

『大河の一滴』は1998年に刊行され、累計320万部のベストセラーとなったエッセイ。“究極のマイナス思考”から生きる強さを引き出す人生論が綴られており、コロナ禍に不安を抱える人々の共感を集めた一冊として再注目された。『大河の一滴 最終章』は、93歳となった五木寛之の集大成ともいえる作品に仕上がっている。人生をどう生き抜くか、ふと立ち止まりたくなった時に手に取りたい一冊だ。

〈2位〉
 『澤本夏輝 1stフォトエッセイ「きらきらじゃない、僕の輝き方」』 『澤本夏輝 1stフォトエッセイ「きらきらじゃない、僕の輝き方」』(澤本夏輝/幻冬舎)

 パフォーマー集団「FANTASTICS」のメンバーとして、幅広い活躍を見せる澤本夏輝。自身初となるフォトエッセイ『きらきらじゃない、僕の輝き方』では、これまで披露してこなかった“素の自分”を余すことなく表現しているほか、ダンスで鍛え上げた体と心の内側を映し出している。いわば「究極の自己紹介本」ともいえる仕上がりで、本人も「期待を裏切らないフォトエッセイ」と太鼓判を押す一冊だ。指標別では、ECにおける紙書籍売上で1位を記録している。

〈3位〉
 『カウンセリングとは何か 変化するということ』 『カウンセリングとは何か 変化するということ』(東畑開人/講談社)

 カウンセリングとは何か。心とは何か。心の問題とは何か――。こうした問いに応える一冊が、『カウンセリングとは何か 変化するということ』。臨床心理学者の東畑開人が利用者目線でカウンセリングの原理と全貌を語った書であり、講談社の販売ページに「臨床心理学の歴史に打ち立てられた、新たな金字塔」と銘打たれている。同書を読む前と読後では、カウンセリングに対する見方が大きく変わるかもしれない。

 そのほかカルチャー部門では、2025年新書大賞受賞作『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』や25万部を超えるベストセラー『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』などがトップ10にチャートインしている。また第34位の『幸せな結末 大滝詠一ができるまで』は、“死後公開”を条件に行われたロングインタビューを軸に、日本のポップス史に輝き続ける大滝詠一の素顔に迫ったノンフィクション本。ダ・ヴィンチWebでは、著者・萩原健太のインタビュー記事も配信中だ。

★大滝詠一が「死後公開」を希望したロングインタビューが書籍に! 取材原稿に大幅な修正を入れがちだった生前の大滝さん。今作では大滝さん「らしさ」がそのまま残っている!?【萩原健太インタビュー】

 なお「Billboard JAPAN Book Charts」公式サイトでは、今回紹介した文芸やカルチャーに加え、マンガや経済といったカテゴリーや、昭和・平成・令和と時代別のランキングも展開されている。いま読まれている一冊を知る手がかりとして、公式サイトもあわせてチェックしてみてほしい。

Leave A Reply