世の中には不動産投資家や株式投資家の数自体は少なくないが、例えば5億円以上、さらに言うと2桁の億単位での純資産(総資産ではない)を築いている人は、あまり多くはないだろう。
純資産でそれなりの財産を築くには、世界情勢への目配りや経済全般の指標を確認し、攻めるときには攻めて退くときには退く、というメリハリが必要になってくる。
攻める一辺倒では、マーケットに調整局面が訪れた際に、市場から退場を余儀なくされることもあり得るからだ。
これまでに昭和末期の土地バブル崩壊、2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックなど、常にマーケットには定期的な危機が訪れ、同時にチャンスもまた、定期的に発生するのがマーケットの歴史であった。
著者の体験・実践をふまえて語られる投資の極意
本書『2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略 小林大祐著 KADOKAWA』は、著者である小林大祐氏(以下小林氏)が体験し、実践してきた資産運用の極意が記されており、不動産投資家にとっては必読書と言える内容に仕上がっている。
▲YouTube「不動産アニキの非常識な投資学」でも知られる著者
小林氏は富士ゼロックスなどを経て、現在は専業投資家としていくつかの会社経営のかたわら、YouTube「不動産アニキの非常識な投資」などでも活躍している。そして50歳という壮年期にして、すでに25億円の純資産を築いたやり手の投資家でもある。
本書では今後起きうるテーマとして、通貨が崩壊しお金の紙切れ化が加速していくことを前提として、資産戦略を考えていく必要性が強調されている。
それは当然だろう、紙幣はいくらでも刷れる。明治期の西郷隆盛陸軍大将の俸給は月額500円だったそうだが、現在での500円はかけそば一杯の値段にまで紙くず化している。
戦勝国の米国であっても、100年以上前の1ドルはホテルに泊まれる金額であったわけだが、現在ではスナック菓子を買えるかもわからないという惨状に至っている。悪貨は良貨を駆逐するという格言は、通貨の減価という意味では不滅の真理ということになる。
資産戦略とは、この紙幣の下落をどうヘッジしていくか、が問われることになるのだろう。
▲著者の運営するYouTubeチャンネル
中で語られているテーマは?
本書の第1章では、グレートリセットという名の大混乱が、今後どのように起きていくかをリアルに予測している。小林氏によると、中小企業の大淘汰や地方不動産のさらなる無価値化などで、貧困層が激増していくことになるのだが、当然ながら水や食料といった1次産業の価値はむしろ高まることになる。1次産業の従事者は年々高齢化が進み、担い手不足が深刻化しているからだ。
第2章では、不動産神話の終焉というテーマが語られる。例えば都心でのタワーマンション価格高騰について、しばしばマスコミ各社で報道されているが、今後の金利上昇や世界的な金融危機などで、価格が下落していく可能性は案外高い点を小林氏は指摘している。
また、今後の2030年問題で高齢者死亡数が大きく増加していくことで、不動産価格下落を進行させる方向性に加担していくこと、さらに地方を中心に、建設業が淘汰されていくことで、地方不動産のリフォーム不全が起きる可能性をも小林氏は指摘する。
じゃあどうすれば良いの?という読者の問いに、第3章では小林氏が考える対策案が提示されていく。
具体的には内容は本書を読んでいただきたいが、やはり暴落局面ではまず現金が強い。これは今まで過去の暴落局面を見れば理解できるが、ITバブル崩壊時やリーマンショック時、コロナショック時もまずは現金が最も強くなる。しかしこれは津波の前に引き潮が一時的に起こるようなもので、その後の現金は劣化していく。
不動産などリスク資産の仕込み時という観点では、暴落時にキャッシュでどう立ち回るか、ということが大切だろう。
小林氏が今後の日本でもお勧めできる不動産投資に適した地域や、金銀プラチナなどへの考え方も本章で提示されていく。
第4章では、現在持たざる人であっても、どのようにまずは種銭(シードマネー)を貯めるか、貯めてそれをどのようなやり方でさらに大きな資産に増やしていくのか、を具体的なアセットアロケーション例を提示しながら、示されていく。
第5章では、非常識な9つの黄金ルールが開示されていく。人生の幸福や経験の積み方、会社での働き方をどう向き合うべきかや税金、借金などへのアドバイスも含まれている。内容は広範囲にわたるので、先輩投資家の考え方として参考になりそうだ。
そして巻末企画では、今後上がる土地・下がる土地、上がる資産・下がる資産などがリスト化されている。
リストはもちろん小林氏の主観によるものだが、参考になる考え方であり、今後の資産防衛に資するものになるだろう。
小林氏が指摘するまでもなく、もともと紙幣はいくらでも刷れてしまうので、生鮮食品と同じく必ず減価していくものである。貯金だけでお金持ちになった人は、余程の高収入を得られる人以外はほとんど存在していないのが、歴史の教えるところである。
だからといって、やみくもに直ちにリスク資産を買えばよいというものでもない。本書も参考にしつつ、自分なりに資産作りや不動産投資の目標を定義して、勉強を継続していくことで大きな成果も得られていくことだろう。
不動産投資家をはじめ、今後の資産作りを考えている人のみならず、インフレで破壊されるリスクが今後高まるだろう各資産クラスの防衛を考えたい人たちにとって、本書は必読といえそうだ。
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執筆:堀田 篤宏(ほったあつひろ)
■ 主な経歴
現役の不動産投資家
大卒後は非鉄金属会社に入社。その後不動産会社で用地の仕入れなど担当。現在は、株式 通貨 商品含め様々な投資活動を進めながら、ライター活動も行っている