本棚や本の積まれた場所は、持ち主の思考を映し出しています。暮らしへの眼差しや、生き方。どんな本を通過し、何を手元に残しながら、その人の佇まいは紡がれるのでしょうか。編集者・安達 薫さんの暮らし、日々を過ごす空間を訪ね、本のある風景を追いかけました。&Premium特別編集「暮らしと生き方の、読書案内」(2024年4月発売号)より、webでも紹介します。
今の気分を伝える、背表紙のメッセージ。
大学時代に東急ハンズで購入した本棚を今も愛用する。花や絵、お気に入りのモノに交じり、棚上には未読本が積み上がる。けっこうな数だ。
食事も仕事も、同じテーブルで。脇の本棚には自然と目が向く。編集者の安達薫さんは、背表紙に目を滑らせるのが好きだという。だから棚上中央には、「常に目に触れさせておきたいタイトル」を置く。例えば、森博嗣の『自由をつくる 自在に生きる』、スズキナオの『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』、坂口恭平の『現実脱出論』、ルビー・ウォリントンの『飲まない生き方 ソバーキュリアス』という具合に。タイトルが、安達さんの今の気分だ。
棚の中は、あえてジャンルで揃えず、バラバラに。無関係のタイトルが偶然隣り合わせたことで、急に際立って見えることがある、それが面白いという。
一角には、暮らしを通し生き方が読み取れる、女たちのエッセイ。青木玉、幸田文、向田邦子、吉本由美。
「吉本由美さんは、スタイリストから文筆家になり、バーで働いたり、移住したり。その自由に憧れます」
森茉莉の『贅沢貧乏』には共感を。「私は独り身で、何の責任も持たず、好きなことだけして暮らしている。まるで一人遊びのおままごとみたい。でもこれを読めば、それもいい、と思えます」
時代を超えた同志を見つけ、今の気分を心に伝える。その出合いは、いつもそばにある本棚の中に。
安達 薫 KAORU ADACHI編集者
新聞記者の父、本好きの祖父母や母のもと、幼い頃から本に親しむ。『ONKUL』(三栄)編集長、『SITRUUNA』(扶桑社)の立ち上げ編集長を経て、自主企画にて『LEMON AND MAGAZINE』『tiny sitruuna』をスタート。
photo : Kazumasa Harada edit & text : Yuko Mori
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暮らしや生き方にまつわる本との出合いは、かけがえのない大切なものです。住まいやもの選び、料理の本……そこから得た発見は生活の糧となり、日々に心地よい変化をもたらしてくれます。また、人生の節目に思いがけず手に取った物語や詩集が、今の自分をかたちづくる礎となった人もいるでしょう。これまでの特集から、何度でも読み返したくなる一冊、心をふるわせた読書体験など、Better Lifeを叶える「読書」についてのストーリーを集めました。
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