■『冬のソナタ』ユン・ソクホ監督は傑作にふさわしいエンディングを模索した!
チュンサンの心には、せめて最後にかけがえのない時間を過ごしたいという、切ないほどの思いがあった。
何も知らないユジンは、大いにはしゃいでいる。それぞれの心にはこれだけの落差があったのだ。
明るくなった海岸で2人は思いっきり走る。そして、最高に楽しんでいた。それから、ユジンにねだられて2人きりの写真をたくさん撮った。
しかし、チュンサンは困惑を隠せない。ユジンとの思い出が残るような品物は何一つ残したくなかったからである。
だからこそ、深夜になってユジンが眠りについているとき、1人でこっそりと夜の砂浜に出たのだ。
チュンサンが海に向かって投げたのは、最愛の人との思い出がたっぷり詰まった品々だった。両面とも表しか出ない幸運のコイン、2人の笑顔が写ったコンパクトカメラ、ポラリスのネックレス……それらを投げ捨てたチュンサンは、あまりに辛くて砂浜にしゃがみこんでしまった。
お互いに死ぬほど愛しているのに、別れなければならない。これほど身を裂かれるような哀しみは他にない。
当初、ユン・ソクホ監督が考えていたのは、チュンサンが死んでしまうという展開だった。死によって永遠の愛を示そうとしたのである。
しかし、彼にも迷いが生じてきた。前作の『秋の童話』でも、2人の主人公が死んでしまう展開だった。今度もそうすると、印象があまりに似通ってしまう。そのことで躊躇するようになった。
同時に、「チュンサンを死なせないで」という視聴者の意見もインターネットを通して非常に多く寄せられた。大ヒット作品だけに、視聴者の意見も無視できない。
