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エンターテインメント業界のヒット現象の裏に法則はあるのか、ないのか――。日経クロストレンドは、“ある”と信じている。人々の心を揺さぶり、熱狂化させる何かを、ここではエンタメヒットの「ゴールデンルール=黄金律」と呼びたい。本連載は、博報堂DYグループの協力を得て、まさに今世の中を騒がしている音楽コンテンツについて、緻密な調査とデータ分析に基づきヒット現象の本質を解明するものである。第1回は2025年の音楽業界が実は特異な1年だったことを浮き彫りにし、第2回と第3回ではその現象を生んだ立役者と言えるMrs. GREEN APPLEとFRUITS ZIPPERが熱狂を生んだ裏側を大解剖する。

2025年の音楽業界でいったい何が起こっていたのか。緻密な調査とデータ分析に基づきヒット現象の「ゴールデンルール(黄金律)」を探り当てる(画像/Pete/stock.adobe.com)

2025年の音楽業界でいったい何が起こっていたのか。緻密な調査とデータ分析に基づきヒット現象の「ゴールデンルール(黄金律)」を探り当てる(画像/Pete/stock.adobe.com)

 博報堂DYグループ「コンテンツファン消費行動調査2025」(2025年2〜3月調査)によれば、2024年の音楽市場の推定規模は前年比14.5%増の8005億円に達した。これはゲームやアニメを抑え、全11カテゴリーで最大である。

 特筆すべきは、1人当たりの年間平均支出額が、11年の調査開始以来最高となる4万1731円を記録した点だ。かつてストリーミング(配信) の普及による収益減が危惧された音楽ビジネスだが、今やエンタメ業界をけん引する圧倒的な存在感を示している。

 本連載では、この巨大な音楽市場の全体像を俯瞰し、成長の背景にある構造変化を分析する。さらにそんな日本音楽市場において、今注目すべき成長アーティストをピックアップし、調査データから「ヒットのゴールデンルール(黄金律)」を全3回にわたって解き明かしていく。

「コンテンツファン消費行動調査」とは?

 まず、本分析の基盤となる「コンテンツファン消費行動調査」(以下、コンテンツ調査)について解説したい。これは博報堂DYグループの専門チーム「コンテンツビジネスラボ」が継続実施している生活者調査だ。

 メディア環境やビジネスモデルが激変し、生活者のコンテンツ消費行動を捉えるのが難しくなってきている昨今、本調査は音楽、ゲーム、アニメなど計11カテゴリーを網羅し、各ジャンルに対する「利用人数」や「支出項目」、「年間支出金額」に加え、コンテンツ利用における価値観や具体的な行動までを詳細に可視化できるのが大きな特徴である。

 本調査では、生活者のコンテンツへの関与度合いに応じて以下の「4つの消費層」を定義し、その動向を追っている。

興味層:コンテンツ消費者の消費行動によって、あるカテゴリーに対して興味・関心がある
利用層:過去1年にそのカテゴリーの商品やサービスを利用(鑑賞・閲覧・観戦・購入など)したことがある
支出層:利用層のうち、過去1年に、そのカテゴリーの商品やサービスに実際にお金を使ったことがある
ファン層:支出層のうち、特定作品のファンだと回答している

 また、同調査の結果を用いてビジネスに活用できるコンテンツパワー指標として、どれだけ多くの生活者に接触できたかを示す「リーチ力」とファンに支出を促す「支出喚起力」を開発している。

リーチ力→定義:利用層の人数、概要:過去1年にコンテンツを利用(鑑賞・閲覧・観戦・購入など)したことがある推計人数、マーケティングへの活用方法:認知拡大のポテンシャルを示す指標。幅広い層へのアプローチに適しており、マスメディア広告やキャラクタータイアップの波及効果を把握
支出喚起力(市場規模)→定義:支出層の人数×年間平均支出額、概要:熱量の高いファンによる、年間の関連市場規模を表す値、マーケティングへの活用方法:市場規模・売り上げのポテンシャルを示す指標。コアファンの購買意欲に基づいた、コラボ商品などにおけるビジネスポテンシャルを把握

 毎年、同調査ではこれら2指標に基づき、ジャンルを横断したランキングを発表している。25年の結果からは、ヒットの質の違いが鮮明に読み取れる。

支出喚起力2位はGLAY、1位は?

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