1990年代に芽吹き、世界的なブームに

2000年代に入ると、専門誌やオークションハウスを通じて情報が共有され、マーケットの輪郭が明確になっていく。そして2010年代にはオークションでの高額落札が相次ぎ、一気に世界的なブームへと拡大した。

主な購入層は、40~50代の団塊ジュニア世代

「富裕層だけでなく、40〜50代の団塊ジュニア世代のお客様が増えています。若い頃にロレックスへ憧れを抱いていたものの、当時は手が届かなかった世代が、仕事や家庭が一段落し、自分のための時計を選べるタイミングを迎えているようです」

彼らにとってヴィンテージロレックスはファッションアイテムであり、同時に実用品でもある。

ロレックスであれば、60〜70年代に生産された個体でも、気兼ねなく使うことができますから。これほど道具としての本質的なクオリティが高いブランドは他にそう多くありません」

そもそも、他の高級時計ブランドと比べてロレックスは「数が多い」と言われる。にもかかわらず、なぜ価値が落ちにくいのか。

「理由は生産規模と思想の違いにあります。50〜70年代のロレックスは、すでに工業製品としての大量生産体制を確立しており、なおかつ高い耐久性を備えた実用品として設計されていました」

そのため、日常の中で道具として使われ、修理されながら受け継がれてきた。結果として、同時代の他ブランドの多くが市場から姿を消したのに対し、ロレックスは現在も一定数が流通し、世界的なマーケットが成立している。

「ただ、当時のままのパーツが残っている個体は意外と少なく、そこに価格差が生まれます。実用性を優先してパーツを新しく交換するのがロレックスのポリシーです。メーカーとしては正しい姿勢ですが、ヴィンテージとしての価値は変わってしまうんです」

つまり、パーツまで含めてオリジナル性の高いモデルほど希少性が高く、価値も落ちにくいというわけだ。

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