いよいよ今年も日本版グラミー賞とも呼ばれる国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」のエントリー作品が発表され、6月13日の授賞式に向けた賞レースがスタートしました。

「MUSIC AWARDS JAPAN」と言えば、日本の音楽業界の主要5団体が垣根を越えて設立したCEIPAという協会が主催する音楽のアワードとして昨年スタートしたばかりのアワードですが、初回から授賞式がNHKで中継されるなど大きな話題になり、一気に日本の音楽業界の最大のアワードの座を獲得した印象もあります。

今年は授賞式の舞台を京都から東京に移したほか、エントリー作品の対象期間を2025 年1月1日〜12月31日の間に初めてフルバージョンがリリースされた楽曲やアルバムに規定するなど、様々な変更や改善がなされています。

特に今年の「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」で注目したいのは、一般参加部門が昨年に比べて拡大している点です。
 

大成功をおさめた「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」

昨年開催された「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」は、多くの音楽業界の関係者が日本の音楽業界の転換点と言及していたように、初回としては間違いなく大きな成功をおさめることができたのは間違いありません。

NHKでの生放送の世帯視聴率こそ6.1%と、紅白歌合戦などの定番の人気番組に比べると見劣りするという指摘もありましたが、「MUSIC AWARDS JAPAN」ならではの豪華な「RYDEEN REBOOT」のオープニングや、錚々たるアーティストのパフォーマンスはYouTubeのアーカイブ動画でも多数視聴される結果となりました。

特に、藤井風さんの当日の「満ちてゆく」のパフォーマンスのYouTubeの動画は現時点で再生数が1000万回を超えており、昨年の授賞式後の世界でのストリーミング数にも、ポジティブな影響があったことが、ビルボードジャパンの調査によって報告されています。

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アジア版グラミー賞を目指すという触れ込みで5月に開催された「MUSIC AWARDS JAPAN」ですが、その初開催のアワ

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「MUSIC AWARDS JAPAN」が日本の音楽業界内において、一気に紅白歌合戦とならぶ注目のイベントの地位を確立したのは間違いないでしょう。
 

昨年に比べてスポンサーが明確に増加

特にその業界における反響の大きさが分かるのが、去年から今年にかけてのスポンサーの増加です。

もともと「MUSIC AWARDS JAPAN」は、第1回にもかかわらず、スポンサー企業にトヨタグループやアサヒビール、木下グループにNTTドコモなど、日本を代表する錚々たる企業が並んでいたことが話題になりました。

まだ「MUSIC AWARDS JAPAN」がどのような形になるかも分からない段階でスポンサーに手を挙げた企業の覚悟にも頭が下がりますが、今年は去年から1社もスポンサーが抜けることなく、さらに新しい企業が増えた形で開催されることが発表されています。

特に象徴的なのが今年の「MUSIC AWARDS JAPAN」ではプライズパートナーと呼ばれる音楽リスナーが参加できる部門のスポンサー企業が増えている点です。

「MUSIC AWARDS JAPAN」では、第一回の昨年の段階から日本の一般リスナーが参加できる企画として四つもの部門が存在することが、日本の大規模な音楽賞では珍しい取り組みとして象徴的だったと言えます。

■ベスト・オブ・リスナーズチョイス:国内楽曲 powered by Spotify
■ベスト・オブ・リスナーズチョイス:海外楽曲 powered by Spotify
■カラオケ特別賞 カラオケ・オブ・ザ・イヤー powered by DAM & JOYSOUND
■リクエスト特別賞 推し活リクエスト・アーティスト・オブ・ザ・イヤー powered by USEN

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日本版グラミー賞とも呼ばれる国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」のエントリー作品発表会が開催され、早速大きな

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今回はさらに、株式会社MIXIとLINE MUSIC株式会社との共創部門として下記の二つのアワードが追加。

■ファミリーソング特別賞 家族が選んだベストソング 2025 powered by 家族アルバム みてね
■ファンダム特別賞 powered by LINE MUSIC & Yahoo!検索

更には、ドワンゴのサイトから投票に参加できる「最優秀ボーカロイドカルチャー楽曲賞」や、学生クリエイタ ーが作品をエントリーできる賞など、一般クリエイターに向けた部門も新設されるそうです。

企業側が「MUSIC AWARDS JAPAN」に向ける視線が明らかに変わったことが良く分かる現象と言えるでしょう。
 

ファンの期待に応えた賞になるか

これには、昨年プライズパートナーとして参加した企業のサービスで明確に、会員数の増加がみられたことが大きく影響していると考えられます。

特にリクエスト特別賞を実施した『USEN 推し活リクエスト』では、「MUSIC AWARDS JAPAN」の影響で累計登録者数が150万人を突破し、総リクエスト数は6億7,000万件を超えたと発表していますから、事業への貢献度も非常に高いスポンサーとなったわけです。

今回新たに増加した株式会社MIXIとLINE MUSIC株式会社の賞も、MIXIが提供する「家族アルバム みてね」内のアンケートや、LINE MUSICの「楽曲再生」を指標にするということですから、明らかに自社の事業者会員数増加への好影響を期待した賞であることを隠していません。

ただ、ここで注目したいのは、企業が事業貢献度への期待度を出しすぎて企画が複雑になったり、ハードルが高くなると、投票などに参加するファンも疲弊しますし、ファンによる反発が起こるリスクも高いという点です。

実は、昨年のリクエスト特別賞でも、ノミネート作品が選ばれた際に過去の投票数がまたゼロクリアされて再投票になる仕組みにファンからの不満の声が多く出ていましたし、そもそも授賞式のNHKの放送においてこれらのファン投票部門がほぼ扱われなかったことも批判の対象になっていました。

ファンの熱量が高ければ高いほど、スポンサー企業はその熱量を正しく受け止めて、アーティストの活躍につながるようにしなければ、その熱量が逆流して炎上するリスクも高くなります。

今回増加したリスナー参加型の賞を提供する企業の、ファンに対する振る舞いの重要性がさらに上がっていることは間違いないでしょう。
  

日本のアーティストの海外展開を本気で支援するつもりがあるか

そういう意味で、今年の「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」で最も注目したいのは、アジア版グラミー賞を目指すと掲げる「MUSIC AWARDS JAPAN」の海外での認知度向上に、こうしたスポンサー企業がどのように本気で貢献するかという点です。

昨年の「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」においては、初回ということもあり世界配信を実施しているYouTubeが字幕を入れる関係もありNHKの放送の30分遅れで実施されて視聴者が混乱したり、授賞式のアーカイブ映像が海外からは視聴できないLeminoで優先して公開されるなど、「国際音楽賞」としては少し疑問符がつく対応があったことが業界関係者から指摘されていました。

それが今回は、NHKが引き続き地上波放送を担当する一方、オンラインでの生配信やアーカイブ配信にYouTubeに加えて、NHK ONE、Lemino、ABEMA、radikoが並び、XやTikTokでのショート動画での切り抜き映像拡散の体制も整えるなど、できるだけ多くのリスナーに届ける体制を構築することになるようです。

こうした「MUSIC AWARDS JAPAN」が国際音楽賞を目指す方向に、当然スポンサーに名を連ねる企業も貢献する姿勢を見せることが求められるはずです。

トップパートナーに名を連ねるトヨタグループは、昨年から「MUSIC WAY PROJECT」をCEIPAと共同でスタート。アーティストやプロデューサーの研修など様々なプロジェクトを実施しているようですが、それ以外のスポンサーにも類似の貢献が期待されます。

例えば、昨年はリクエスト特別賞に、フィリピンの5人組男性アイドルグループのSB19がノミネートされたことが、フィリピンを中心とした世界のSB19のファンダムに「MUSIC AWARDS JAPAN」の認知を高める結果になっていたようです。

今年のプライズパートナーに参加している企業にも、リスナー参加型企画の告知をアジアなど海外にも展開することで「MUSIC AWARDS JAPAN」の世界での認知度を高めたり、アジア音楽賞のアーティストを日本のリスナーに紹介することで、アジア音楽賞のノミネートアーティストの授賞式での来日を支援したりするなどの活動を期待したいところです。

昨年の「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」では、藤井風さんやYOASOBIなどの受賞アーティストの海外での認知度が高まる結果になっていましたが、その分析を行ったビルボードジャパンの礒﨑氏は「まだまだMAMAやグラミー賞ほどに海外において伸びていく余地がある」と指摘されています。

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今回の「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」において、ファンの方々の熱量をCEIPAやスポンサー企業の方々が正しく受け止め導いて、日本のアーティストがさらに幅広く海外の音楽ファンに知られるエネルギーに変えてくれることを期待して注目したいと思います。

この記事は2026年3月20日Yahoo!ニュース寄稿記事の全文転載です。

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