【画像】ノワール ケイ ニノミヤがジミーチュウとコラボしたシューズ

 象徴的なブランドが「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」だ。2025年3月期には、同ブランドの売上高が1000億円を突破。機能性や快適性を備えたスポーツウェアは、もはや特定の消費者のニーズではなく、都市生活のスタンダードとして受け入れられた。

 同様に、ストリートウェアもまた役割を変えてきた。かつてはカルチャーや反抗の象徴だった服は、産業として成熟したジャンルに転換した。2010年設立の「ヒューマンメイド(HUMAN MADE)」は2025年に上場を果たし、時価総額が1000億円を超える瞬間もあった。ストリートウェア由来のブランドが市場から評価を受けるようになったことは、その位置づけが単なる流行の域を越え、持続可能なビジネスとして認識され始めていることを示している。

 スポーツウェアもストリートウェアも、それぞれが「何を担う服なのか」を明確にし、市場の中で可視化されてきたが、一方でこうした文脈とは異なる場所に立つ服も存在している。

 日常を支えるわけではない。大量に売れるわけでもない。実用やカルチャー消費の延長線にもない。それでも消えず、毎シーズン提示され続け、特定の人々から支持を受ける服がある。それらは、いまのファッションの中でどのような役割を担っているのだろうか。「ノワール ケイ ニノミヤ(noir kei ninomiya)」は、その問いを最も端的に突きつけてくるブランドのひとつである。

 トレンドや市場の動きから距離を取りながら、独自の造形と言語でコレクションを発表し続けている。その服は、着用や実用といった前提を軽々と越え、ファッションが持つ別の可能性を示唆しているようにも見える。

 現在の「コム デ ギャルソン(COMME des GARCONS)」が「布」の造形に重きを置いているのに対し、ノワール ケイ ニノミヤは「布地以外」の素材も積極的に使い、服の可能性を探っている。ここでは、過去のコレクションの中からいくつかのルックをピックアップして観察し、同ブランドの服が、現代のファッションの中でどのような位置に立ち、どのような役割を担っているのかを考えていきたい。(文:AFFECTUS)

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