
Photo: EuropaNewswire/Gado/Getty Images
2025年に亡くなったヴァル・キルマーが、AI技術の力を借りて、新作映画『As Deep as the Grave(原題)』に出演していることが明らかになった。『Variety』によると、コエルテ・ヴォーヒーズが監督・脚本を手がけた同作は、アリゾナ州キャニオン・デ・チェリーでナバホ族の歴史をたどる発掘調査を行った実在の考古学者アンとアール・モリス夫妻の物語。ネイティブアメリカンの血を引くヴァルは、カトリックの司祭でありながらネイティブアメリカンの信仰を持つファーザー・フィンタン役を演じる。
ヴァルの出演は2020年に決まっていたが、喉頭がんの病状が悪化し、撮影への参加は実現しなかったそうだ。だが、編集の過程で必要性を再認識し、予算と時間の制約から新しい俳優を起用して取り直すことは不可能であると判断。遺族の協力のもと、AI技術を用いて、若い頃の写真と晩年の映像からヴァルを蘇らせた。治療のために損なわれたヴァルの声も使用されており、結核を患うキャラクターに反映させたという。制作にあたっては、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のガイドラインを遵守し、出演料を遺族に支払っている。
監督は「この役を演じてほしいのは彼でした。彼を念頭において構想した作品です。彼のルーツや南西部への愛とつながりを反映させています」と述べ、ヴァル自身の希望と遺族の強い後ろ盾があったと話す。「彼は、自分の名を刻みたい重要な物語であると考えていました。遺族の協力があったからこそ、やってみようと思えました。物議を醸すかもしれませんが、ヴァルが望んだことなのです」
また、ヴァルの娘メルセデス・キルマーは、作品への支持を声明で表明。「非常に精神性の高い人物」であった父は、自身が暮らしたアメリカ南西部を舞台にした「発見と啓発の物語」に共感していたとして、こう続けた。「父は新しいテクノロジーを、物語の可能性を広げるためのツールとして、常にポジティブに捉えていました。父が重要な役割を果たした本作では、父のそうした精神を称えています」
