映画「トップガン」などへの出演で知られ、2025年に亡くなった俳優ヴァル・キルマーさんが、生前に撮影が完了しなかった新作映画に登場する。歴史考古学をテーマとする映画「As Deep As the Grave」には、喉頭がんにより65歳でこの世を去ったキルマーさんのAI版が出演する。映画スタジオがこのようにAIを活用するのは初めてではないが、今回が最も成功した事例になる可能性がある。

 監督兼脚本家のコート・ヴォアヘース氏は米国時間3月18日、Varietyに対し、AIを使用してキルマーさんの容貌を再現し、先住民の神父であるフィンタン神父役を演じさせることを明らかにした。

 「As Deep As the Grave」は、1920年代にナバホ族とともにアメリカ最古の文明について調査した考古学者夫婦の実話を描いた物語だ。ヴォアヘース氏によると、キルマーさんは2021年にこの役を演じることに同意していたが、喉頭がんの悪化により撮影を完了できなかったという。映画の公開日は未定だ。

 ハリウッドの俳優たちは、エンターテインメント業界のほぼあらゆる面に急速に浸透し始めた生成AI技術への反発を強めている。脚本の執筆や俳優の顔や声の模倣など、現在のAIには驚くほどリアルに複製する能力がある。映画スタジオが、撮影現場にいなくても演技できる「AI俳優」を作り出すこともある。これにより、俳優たちが自分のアイデンティティや技術がアルゴリズムによって複製、修正、あるいは置換されうる現実に直面する中、同意や報酬、創造的な所有権をめぐる複雑な問題が浮上している。

 こうした試みに、芸能人を代表する労働組合SAG-AFTRAは強く反対している。同組合はゲーム会社に対するストライキを行っており、現在は映画やテレビのスタジオとの不安定な交渉の最中にある。100日以上続いたストライキを経て、組合は明確な同意と公正な報酬の義務付けを含む、生成AIに対する一定の保護を勝ち取った。現在の交渉では保護のさらなる拡大を目指している。

 SAG-AFTRAの担当者はコメントの依頼にすぐには応じなかった。

 ヴォアヘース氏は、キルマーさんの子供たちがAIによる復活に同意していると述べている。

 Varietyによると、娘のメルセデス・キルマーさんは、「(父は)常に新興テクノロジーを、物語の可能性を広げるツールとして前向きに見ていた。この精神こそが、彼が不可欠な役割を担ったこの映画で私たちが尊重しているものだ」と語っている。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。

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