佐久間大介、内田英治作品“ミューズ”としての信念――“恩師”の映画には「絶対に出る」
内田英治監督(左)、佐久間大介(右)
内田英治監督が、Snow Manの佐久間大介を主演に迎えた初のダンス映画「スペシャルズ」を完成させた(3月6日公開)。殺し屋たちがダンスを通じて友情を育んでいくという大胆な設定のもと、笑いと涙、ダンスとアクションを織り交ぜたエンタテインメントの醍醐味が凝縮された1作だ。
これまで「マッチング」「ナイトフラワー」とタッグを重ねてきた内田監督と佐久間。“映画界の佐久間担”を自認する内田監督にとって、俳優・佐久間大介の唯一無二の魅力とはどのようなものなのか。2人がお互いへの並々ならぬ信頼感を明かすと共に、佐久間がSnow Manというチームに感じている愛情を吐露した。(取材・文/成田おり枝、撮影/間庭裕基)
【「スペシャルズ」あらすじ】

(C)2026「スペシャルズ」フィルムパートナーズ
児童養護施設で優しい補助職員として働く伝説の元殺し屋ダイヤをはじめとした孤高の殺し屋たちが、「過去にダンス経験がある」というだけの理由で集められる。裏社会のトップに君臨する「本条会」のクセ者親分・本条の暗殺のため、本条が必ず訪れるというダンス大会に、ダイヤたちはチームを組んで出場を目指すことになる。しかし、実際にはダイヤたちはド素人ダンサーだった。ダンス教室に通うも思うように成果は出ず、行き詰まる彼らに、児童養護施設のダンス少女・明香が救いの手を差し伸べる。ダイヤたちは次第にダンスの魅力に目覚め、チームとして成長を遂げ、本気でダンス大会への情熱を燃やしていくが……。

●ダイヤとの出会いは「運命的」
――内田監督は脚本執筆の段階から、佐久間さんをイメージして書き進めていったとのこと。「ダンス映画を撮りたい」となった時に、真っ先に思い浮かんだのは佐久間さんだったということでしょうか。
内田:以前「ミッドナイトスワン」という映画を撮った時にも、吹き替えをやるのがどうしても嫌で。バレエのできる、優秀な方を探すことになりました。吹き替えナシでやるというのはとても難しいことなのですが、そこをクリアするとものすごくいい映像になるんですね。今回も優秀なダンサー兼、俳優を見つけるしかないと思うと、10人もいないだろうなと。いや、ここまで踊れる人は5人もいないでしょうね。必然的に、佐久間くんにお願いすることになりました。
佐久間:ありがとうございます! 内田監督は、「マッチング」を撮っていた頃から「ダンス映画を撮ろうかな」というお話をしていましたよね。「日本でダンス映画ってなかなかないですよね」と言いながら、監督が撮るダンス映画ってどんなものなのだろうとワクワクしていました。でも僕にオファーをいただけるとは(笑)! どこかしらに入り込めないかな…と思っていましたが、まさか主演だとは思っていなかったのでびっくりしましたし、ものすごくうれしかったです。

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――ダイヤのダンスの要素にはバレエも入っていますが、佐久間さんにバレエ経験があることはご存知でしたか?
内田:知らなかったので、のちのち本人からそう聞いてびっくりしました。
佐久間:お伝えしていなかったのに「ダイヤは元々バレエをやっていた」という設定が入っていたので、めちゃくちゃ境遇が似ているなと思いました。あと「ダイヤ」という役名を見た時にも、驚きました。僕の名前は、候補が二つあったそうなんです。おじいちゃんが「大介」という名前を候補にあげて、お母さんがあげていたのが「ダイヤ」だったんです。
内田:そうなの!? 初めて聞いた。すごい縁だね…。なぜ、今まで隠していたの(笑)!
佐久間:取材や舞台挨拶で言おうと思って(笑)。ダイヤという名前もそうだし、バレエをやっていたこと、引っ込み思案だった過去など、すべてが運命的だなと思いました。

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――内田監督がもっとも、佐久間さんの要素がダイヤに注ぎ込まれていると感じているのはどのようなことでしょうか。
内田:僕は今作に限らず、キャスティングが決まるとその俳優さんの個性に合わせて脚本を変えていくんですが、佐久間くんはやっぱり根がやさしいので。ダイヤもやさしい男で、大スクリーンではそういう根っこの部分までが見えてくるものだと感じています。

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●内田英治作品の“ミューズ”佐久間大介――お互いから受ける刺激とは?
――お二人は、「マッチング」「ナイトフラワー」とタッグを重ねてきました。内田監督は、“映画界の佐久間担”とも発言されています。本作も含め、陽のイメージのある佐久間さんのダークな一面も引き出してきました。
内田:会う人、会う人に「また佐久間くんとやるんですか」と言われるので、“映画界の佐久間担”ということにしました(笑)! 「今度はもっとキラキラしたラブストーリーとかどう?」と提案するんですが、佐久間くんは「嫌だ」と言うんですよね。だから、“裏・佐久間”、“闇・佐久間”を描いている。
佐久間:僕もそういうのが好きだし、監督のキラキラ映画って想像できないんですよ(笑)。
内田:佐久間くんは、目がすごくいいんですよね。「マッチング」の顔合わせで初めて会った時に、目つきがものすごく悪かった(笑)。それがすごくよくて、「マッチング」で演じてもらったダークなイメージも似合うなと思いました。
――内田監督にとって、佐久間さんはミューズのような存在になっているように感じます。内田監督は、佐久間さんのどのようなところに惚れ込んでいるのでしょうか。
内田:僕にとって興味があるのは、その役者さんが持つ個性の魅力なんです。演技の上手い人は死ぬほどいるし、下手な人もいっぱいいる。そんな中、僕は個性が豊かで魅力的な人と仕事をしたいと思っています。先ほど言ったように佐久間くんにはやさしさがあって、現場でのプロ意識の高さにも驚きます。それは、Snow Manとしての活動でも培っているのかもしれません。かなり年下とはいえ、佐久間くんのプロ意識の高さは本当に尊敬しています。ダイヤも、自身の職業である殺し屋としての厳しさを持っていますよね。そうやって役とリンクさせながら、本人の持つ魅力を最大限に引き出した映画を作りたいと思っています。

――佐久間さんにとって、内田監督はどのような存在ですか?
佐久間:僕に映像での演技の本当の面白さを教えてくれたのが、内田監督です。僕にとって恩師ですし、だからこそ監督の力になれることがあれば、何でもやりたいなと思っています。チーフマネージャーには、「もし内田監督からオファーが来たら、何の役でもやる。絶対に出るからね!」と伝えているんです。出番がどんなに一瞬であろうとも、出ます! そう決めていたところ、今回は内田監督からダンス映画の主演というお話をいただけて、本当にありがたかったです。僕、この映画のストーリーが大好きで。僕はいつも自分の芝居を厳しい目で見るので、「ここがダメだったな」と反省点ばかり見つけてしまうんです。でも本作を観終わった時、シンプルに「めっちゃこの映画、面白い!」と思えた。監督にとって初めてのダンス作品でありつつ、監督ならではのエグい描写もあって。内田監督がまた新しいものを見せようとする映画の中で、力になれたことがとてもうれしいです。

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●佐久間大介の台本の書き込みに、内田監督が「すばらしい」と驚き
――劇中同様、年齢もバラバラの個性豊かな役者さんが顔を揃えました。内田監督が撮影現場の雰囲気づくりとして大切にしていたことはありますか。
内田:雰囲気をよいものにするためには、コミュニケーションを取ることが大切かなと思っています。
佐久間:監督は、本当にコミュニケーションを大切にしますよね。そしてやさしい。
内田:お互いに「やさしい」って褒め合っちゃったじゃん(笑)!
佐久間:あはは! でも本当にそう思っているんです。僕、台本の裏にその時に思ったことを書き留めているんですが、この間、久々に本作の台本を開いてみたら「監督がやさしい」と書いてあった。アクションシーンで、僕が膝をぶつけた日があったじゃないですか。その時にも監督がすごく心配してくれて、本当にやさしいなと。そういう監督だからこそ、子役の方も安心して撮影に臨めるんだと思います。僕は監督を見つけるとすぐに話しかけに行っちゃうんですけど、監督はスタッフのみんなともよく話しています。きっとみんなも、話しかけたくなっちゃうんだと思います。
内田:台本にそんなことを書いているの? まだまだ、俺の知らない佐久間大介がいっぱいいるな。
佐久間:(持参していた台本を開きながら)「椎名桔平さんがカッコいい」「ソファーに座るだけで絵になる」とか書いてあります。
内田:そうやって、常に勉強をしているんだね。すばらしい。これ、俺もやろう。

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――佐久間さんは、本作で映画初単独主演を務めました。座長として心がけていたことがあれば、教えてください。
佐久間:僕にとって一番身近なものとして座長のビジョンを見せてくれたのは、土屋太鳳ちゃんです。僕、太鳳ちゃんは“令和のジャンル・ダルク”だと思っていて。先頭に立って旗を振り、その背中を見てみんなが太鳳ちゃんに付いていく。やさしくて、それでいて強いんですね。そのビジョンがあったのでやってみようと思ったんですが、僕のキャラじゃないな…と。僕には何ができるんだろうと思った時に、『「スペシャルズ」はみんなが主演の映画』と感じていたので、みんなで楽しくできたらいいなと思いました。スタッフさんも含め、全員で「楽しかったね」「またこれを撮りたいね」と感じるようなチームになれたらいいなと思っていました。

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●みんなに思いやりがあるのが、Snow Manというチームのいいところ
――内田監督は、ダンスやアクションシーンを通して改めて佐久間さんの身体能力の高さを実感したことも多かったでしょうか。
内田:今回すごく多かったのが、佐久間くんは体幹がよすぎて、動きも速すぎるので、カメラが追いつけないという…。銃をあげたり、滑り込んだりするシーンにしても、速すぎて見えないんですよ(笑)。
佐久間:「オレが速すぎた…」ってアニメでしか聞かないようなセリフですね(笑)!
内田:あと、殺陣の飲み込みがすごく早い。1、2回、アクション部と合わせたら、だいたい覚えちゃうもんね。あれはいつも、踊りをやっているからかもしれないね。
佐久間:たしかに! 舞台でもアクションをやったりしていたので、その経験が活きたのかもしれません。ステージで高く飛ぶシーンも、「ジャンプが高すぎる」というNGが出ました。高すぎて「カメラのフレームに映っていない」ということで、「すみません!」と。
内田:あれもすごかったですね。アクション俳優でなければ、普通はできないような動きでした。やっぱり、すごい運動能力です。

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――殺し屋集団が、ダンスを通してひとつのチームになっていく展開が胸に迫ります。お芝居やレッスンを重ねる中で、撮影現場でも劇中と同じような一体感が生まれたと感じた瞬間や、特別な熱気を感じた瞬間はありましたか?
内田:それはものすごく感じましたね。みんな、またやりたいという気持ちになっていますから。最初はみんな様子見のような感じで、(椎名)桔平さんや(中本)悠太もクールな感じだったりして。でも少し時間が経つと、みんなで深い話もできるようになった。芝居やダンスに挑んだり、映画作りを通して役者さんの気持ちが通じ合っていくのを見られたのはとてもうれしかったし、この映画の内容とものすごく比例していたと思います。人と人がつながっていくというのは、こういうことなんだなと。撮影の裏側を見ていても、とても面白かったです。この映画の終わり方も、映画作りの終わり方に似ていていいなと思っています。
――監督にとって映画作りの醍醐味とは、そうやって人がつながれる瞬間にありますか。
内田:その通りです。擬似家族が構築されて、解散していくまでの作業が映画作りの面白さです。
佐久間:一丸となって「みんなで作るぞ!」という熱量。僕も映画作りのそういうところが好きで、やっぱり映画っていいなと思います。今回は練習していくにつれて、結束力が高まっていくことを実感できて。楽屋でも、みんなでめちゃくちゃ話していたんですよ。「コーヒーほしい人!」と声を掛け合ったりして、すごく仲良くなっちゃって(笑)。
――佐久間さんは、Snow Manというチームの一員でもあります。チームワークを育む上で大事にしているのはどのようなことでしょうか。
佐久間:やっぱり全員に「グループを大事にしよう」という想いがあることが、一番大事かなと思っています。僕らはそれぞれ個人で仕事をしていても、「Snow Manのための力になりたい」と思っているし、基本的にはSnow Manのことを考えていたりする。こうしていろいろな仕事ができているのも、今の僕があるのもSnow Manのおかげなので、Snow Manであることに感謝しています。チームであることを忘れずに、いつでもメンバーの力になりたいと思う。みんなにそういった思いやりがあるところが、Snow Manのいいところだなと思います。

――この映画もチームのよさをたっぷりと感じることができる1作となりました。
佐久間:涙あり、笑いあり、ダンスあり、銃撃戦あり、任侠あり…と良い要素がありすぎるんですよね! みんなで何かを成し遂げる達成感も共有できるし、観終わった後にはすべてを引っくるめて「楽しかった!」という感想が出てくると思います。メンバーの向井康二が試写で観てくれたんですが、「ダンス映画でどんな話になるの…?と思っていたら、最後しっかり泣いた」と言っていました(笑)。「直接、言いたい」と感想を伝えてくれて、「めっちゃよかった!」と言ってくれました。すごくうれしかったです。
内田:負け犬の美学を描いている作品でもあり、ダメダメだった人たちが這い上がってダンスで何かを目指すという、最近はあまり目にしないような映画になったと思っています。今は社会的にも、「いろいろなことを諦めよう」という作品も多い。元気が出るような映画になっていますので、ぜひおじさま世代にも観てほしいです。
