2026.03.01
Sponsored by 岩佐教育文化財団

合同会社Chupki(代表者 平塚千穂子)
社会課題の解決やSDGsで掲げられた目標の達成へ懸命に行動する人たちを支援する「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」(SDGs岩佐賞)の第7回受賞者が3月1日(日)に公表されました。SDGs ACTION!では、受賞者の方たちの活動内容をご紹介します。
活動名:多様な人々とともに、多様な映画を楽しめるユニバーサルシアター
芸術・スポーツの部 賞金300万円
映画館で働いていた私が、「目が見えなくても映画を楽しみたい」と語る視覚障害者の方と出会ったのは25年前のこと。そのとき初めて、欧米には「バリアフリー映画館」というものが存在し、視覚情報を補うナレーション「音声ガイド」によって、視覚障害がある人も映画を楽しんでいることを知りました。
日本でもそんな映画館を作りたいという思いから、2001年にボランティア団体(Chupki〈チュプキ〉の前身)を設立。音声ガイドの作成技術を磨きながら、視覚障害のある人と一緒に楽しめる鑑賞会や映画祭を定期的に開催するようになりました。
活動を続けるうちに、視覚障害者だけでなく、聴覚障害者や車椅子ユーザーからも「一般の映画館では鑑賞がままならない」との声を聞くように。多様な人が多様な映画をいつでも楽しめる常設の映画館がほしい、という思いは膨らんでいきました。
そして2016年、多くの方々の支援のおかげで、全20席の小さな映画館「シネマ・チュプキ・タバタ」が東京都北区にオープンしました。これは私たちの知る限り、日本で初めてのユニバーサルシアターです。
ここでは、全ての座席にイヤホンコントローラーを設置しており、全作品の音声ガイドを聞くことができます。また、上映作品すべてに日本語字幕を付けているほか、音を振動で感じることができる「抱っこスピーカー」の貸し出しも実施。車椅子のスペースはもちろん、赤ちゃん連れの人や「大きな音や暗闇が苦手」という人も楽しめる完全防音の小部屋も完備しています。

東京都北区の映画館「シネマ・チュプキ・タバタ」
「シネマ・チュプキ・タバタ」では開館からの約9年間で、のべ2万5000人以上に映画を楽しんでいただきました。「人生で初めて映画の感動を共有できた」という喜びの声も届いています。また、この場に集う観客同士の温かな交流が生まれていることや、周辺の店や交通機関でバリアフリー化が徐々に進んでいることもうれしく思っています。
私たちは現在、このユニバーサル上映をさらに普及させるために、教育機関と連携し、音声ガイド作成を題材とした訪問授業を実施しています。また、各地のユニバーサル上映会を技術面から支援する試みも行っています。今後も地道に活動を続け、誰もが文化・芸術を平等に享受できる社会を作るお手伝いができたらと思っています。
受賞コメント
「誰も取り残されない文化施設」のモデルとして、これからも「シネマ・チュプキ・タバタ」の運営を続けていき、多様な人々が文化に触れ、自然と交流できる、そんな豊かさが当たり前となる社会を作っていきたいと思います。
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