鷲掴みにされるファンの心
2月13日公開の『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』は、「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載された漫画『銀魂』を原作とする劇場アニメーションだ。
描かれたエピソードは、TVアニメ版でも人気があった「吉原炎上篇」で、当時のなつかしさはそのままに、完全新作映画として公開された。
劇場に足を運ぶと、冒頭からもう「そうそう、これが銀魂!」という展開が続く。時事ネタいじりにギリギリを攻めるギャグ、テンポがよくてちょっとお下品な会話まで、久しぶりの公式からの“供給”を存分に楽しんだ。
まあ、久しぶりといっても、2025年後半にはまるちばーす作品となる、TVアニメ『3年Z組銀八先生』(テレ東系列)が放送されていたのだが。
そして、2021年公開の映画『銀魂 THE FINAL』が“THE FINAL”のはずだったのだが。いいの、銀魂だから。
「終わる終わる詐欺」は公式が何度もこすっているお家芸のようなもので、ファンはその辺りも織り込み済みだ。世の中には、引っかかりたい詐欺もある。
テレビでは味わえない迫力のバトルシーン
さて、内容はというと、基本的にはこれまでの「吉原炎上篇」を踏襲しているのだが、改変もちょこちょこあった。
懐かしいキャラクターが何気ないシーンでしれっと横切っていくし(1人ならず何人も)、本来このエピソードにはさほど絡まなかったはずの人気キャラクターも、見せ場をもって物語を動かしていく。
そして、バトルシーンは、劇場版ならではの迫力。
全体に密度が濃く、動きの緩急から光の入り方まで、大きなスクリーンを存分に活かしたつくりになっていた。
ときには「あ、このセリフなくなっちゃったのか」という部分もあったが、それはそれで面白く観た。そのうえで、もっと観たかった要素を少しだけ挙げるなら、たとえば月詠(つくよ・声:甲斐田裕子)と日輪(ひのわ・声:井上喜久子)の関係だろうか。
月詠は、物語の舞台となった地下遊郭都市・吉原桃源郷の自警団・百華の長だ。日輪は、遊女のトップを張る花魁。
そんなふたりが、なぜ吉原の月と太陽として対になるのか。
ふたりの過去をきちんと追うと明らかに長くなるので、カットはやむなしなのだが、ここを割愛したがゆえに月詠が日輪を守る動機はどうしても弱くならざるを得なかった。
また、エンディングもTVシリーズよりあっさりしていた。これまでの「吉原炎上篇」では、敵役・鳳仙(声:銀河万丈)の悲しみや虚しさがよき余韻をもたらしていたのだが、本作ではそのあたりが少し丸まっている。そのため、昔からのファンのなかには、少し物足りなく思う人もいるかもしれない。
