2026年2月26日

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鑑賞方法:映画館

新宿K’s cinemaで鑑賞。
個人的には、エピソード2の中国人博士のモノクロシーンが印象的だった。特にラストはタルコフスキーを彷彿とさせる哀愁が漂い、美しくも切ない。このシーンひとつ取っても、これまでにない新しいゾンビ映画を目指していることが伝わってくる。
また、意外にも育児休暇の話題や、終盤に登場する酒乱の母親と娘の言い争いなど、ゾンビ以上に人間同士の生々しさの方が恐ろしく、脚本と役者の巧みさに唸らされた。佐藤智也監督の前作『湖底の空』もそうだったが、とにかく脚本が秀逸だ。本作『デッド・オア・ゾンビ』は、ハリウッドでリメイクされてもおかしくない仕上がりだといえる。もっとも、ハリウッド版になれば低予算映画特有の味わいは薄れてしまうかもしれないが。
最終エピソードに登場する女性の物語も心に残った。当初は生意気そうなキャラクターで好感を持てなかったが、過去が明かされるにつれ、彼女の行動が悲痛に響く。ネタバレになるので詳細は伏せるが、彼女が自ら望んだ結末には胸を締め付けられた。「全部忘れろ!全部消えろ!」と願う彼女が空を見上げ、その瞳の色が変わるショットで幕を閉じれば、より悲壮感漂う斬新なエンディングになったのでは……と、つい妄想してしまう。
ちなみに、彼女とお兄さんのシーンも非常に独創的だった。「こんな、いやらしくも切ない表現方法があったのか」と凝視してしまったほどだ。随所に新しい表現が散りばめられた本作は、隠れた名作として語り継がれるに違いない。

にん DEAD OR ZOMBIE

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