大阪中之島美術館で開催、巡回はなし

フェルメール《真珠の耳飾りの少女》が14年ぶりに来日する展覧会の名称が「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日」に決まりました。大阪中之島美術館で8月21日(金)~9月27日(日)の会期で開催されます。他地域への巡回はありません
同展にはさらに、フェルメールの《ディアナとニンフたち》の出品も決まりました。マウリッツハイス美術館が所蔵するフェルメール作品3点のうち、2点が本展のために来日します。
本展ではこのほか、17世紀オランダ絵画の重要作品であるヤン・ステーン《老いが歌えば若きが笛吹く》、パウルス・ポッテル《水に映る牛》、マリア・ファン・オーステルウェイク《装飾的な壺の花》なども合わせて展示します。

マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague
《真珠の耳飾りの少女》は14年ぶりの来日

本展は、17世紀オランダ絵画を代表する画家ヨハネス・フェルメール(1632-1675)の傑作《真珠の耳飾りの少女》を中心とし、17世紀オランダ絵画を紹介する展覧会です。《真珠の耳飾りの少女》は、約120万人が来場した2012年の「マウリッツハイス美術館展」(朝日新聞社など主催)以来、実に14年ぶりの来日となります。
この作品は、オランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵する世界的名画で、原則として館外への貸し出しはされていません。今回の来日はマウリッツハイス美術館の改修工事による臨時休館に伴い実現することとなりました。同館のマルティネ・ゴッセリンク館長は、「当館には毎年、フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》を愛する何千人もの日本人観光客が訪れます。当館にとって、この『少女』の旅は、日本の皆さまに彼女を送り届けられる、おそらくは最後となるであろう特別な機会です。」と話します。

【展示作品について】

ヨハネス・フェルメール 《真珠の耳飾りの少女》 1665年頃 
44.5×39.0 cm 油彩、カンヴァス マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague

少女がこちらを振り向いているだけなのに、きらりと光る瞳や半開きになった濡れた唇、大きな真珠のイヤリングが見る者をとらえて離しません。「世界でもっとも有名な絵のひとつ」とされ、世界中の人々を魅了してきました。幻想的な東洋風のターバンと、当時の衣装をまとったこの少女の像は特定の人物の肖像画ではない、トローニーというジャンルに属します。
モデルは画家の娘だという説もありましたが、真相は謎です。「IVMeer」というサインがありますが、制作年などは不詳。色彩は青と黄色のみにほぼ限定されていますが、青はラピスラズリから作られたウルトラマリンという非常に高価な絵具が用いられています。以前は「青いターバンの少女」とも呼ばれてきましたが、2003年の映画「真珠の耳飾りの少女」のヒットにより、このタイトルでよばれるようになりました。

ヨハネス・フェルメール 《ディアナとニンフたち》1653-1654年頃  97.8×104.6 cm 油彩、カンヴァス マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague

寡作であったフェルメールのもっとも初期の作品で、神話に題材をとった唯一の作品です。ローマ神話の月と狩猟の女神ディアナが、侍女たちのニンフ(森の精)に足を洗わせています。ティツィアーノらヴェネツィア派の画家が得意としたテーマであり、ヴェネツィア派のような華やかな色彩が見られますが、人物たちは影に沈んでいます。1876年にマウリッツハイス美術館が入手しましたが、そのときは別の画家ニコラース・マースの偽の署名が入っており、マースの作品と思われていました。19世紀末の修復で、「JVMeer」という署名が見つかり、当時ほとんど知られていなかったフェルメールの作品とされました。

ヨハネス・フェルメール(1632-1675)
17世紀オランダを代表する画家の一人であり、静謐な日常生活の情景を精緻に描いた作品で知られます。制作に関しては一枚の絵に長い時間を費やしたため、完成させた作品は多くなく、現存する作品はわずか30数点しか知られていません。画家になった当初は聖書や古典神話に基づく歴史画を描いていましたが、24歳頃から室内風俗画へと転向しました。マウリッツハイス美術館所蔵の《真珠の耳飾りの少女》は、フェルメール作品の中でも最も著名で世界的に広く愛される作品の一つです。

ヤン・ステーン《老いが歌えば若きが笛吹く》 1663-1665年頃  83.8×91.9cm 油彩、カンヴァス マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague

オランダの風俗画を代表する画家ヤン・ステーンの代表作。この画家に典型的なにぎやかな室内の情景を描いています。「年寄りが歌えば、若者が笛を吹く」という、17世紀オランダで広く知られたことわざを描いたもので、子どもというものは、悪い行為を含めて大人のすることをなんでも真似をするので、大人はつねに正しい手本を示さなければならないという警告です。ステーンは自分や家族をモデルにすることが多かったですが、ここでは絵の中央で自らパイプを吸う姿で登場し、まさに悪い手本を示しています。ステーンはこのことわざを主題にした作品を数多く描いており、そのうち2点がマウリッツハイス美術館のコレクションに収められています。

パウルス・ポッテル《水に映る牛》1648年 43.4×61.3cm 油彩、板 マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague

パウルス・ポッテルは牛の絵で知られるオランダの画家。画家であった父に学び、早熟の才能を示しました。結核によりわずか28歳で夭逝するまでに、百点近い作品を残しました。マウリッツハイス美術館には、ポッテルの代表作《若い牡牛》という大作があります。19世紀まではフェルメールよりも有名な画家でした。この絵は、輝かしい夏の日の情景を描いたものです。人々は水辺で楽しんでおり、牛たちはそれを見守り、木陰や池で涼を求めています。ポッテルは水面に映る反射を巧みに描き、そのためこの絵は「映る牛」という愛称で親しまれてきました。ポッテルは動物たちを忠実に細部まで描いていますが、彼はスケッチ帖を持ち歩いて動物を個別にスケッチし、後でそれらを統合して制作しました。

マリア・ファン・オーステルウェイク《装飾的な壺の花》1670-1675年頃?  62.0×47.5cm 油彩、カンヴァス マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague

17世紀オランダでは何人もの女性画家によって静物画が描かれました。それを代表する女性画家マリア・ファン・オーステルウェイクは、花の絵で国際的な名声を博し、神聖ローマ皇帝、フランス国王、イギリス国王などにも求められました。彼女は静物画家として有名なヤン・ダーフィッツゾーン・デ・ヘームの弟子とされ、敬虔なプロテスタントでした。この作品には強い象徴的意味が込められています。ひまわりは神の存在を象徴し、赤いバラは聖母や愛を表します。花瓶にはキリストを象徴する葡萄や羊と戯れるプット―(童子)が見え、花の入った杯の蓋の上のヴィーナスは欲望を表します。マウリッツハイス美術館は1882年にこの作品を収蔵しました。

マウリッツハイス美術館
オランダ・ハーグにあるマウリッツハイス美術館は、主に17世紀のオランダ・フランドル絵画の優れたコレクションで知られています。館の建物はオランダ古典様式建築の傑作と評され、1644年にヨハン・マウリッツ伯爵(1604-1679)の私邸として建設されました。その後、1822年に王立美術館として開館。美術館の基礎となるコレクションは、オラニエ公ウィレム5世の絵画収集品であり、彼の息子であるオランダ初代国王ウィレム1世によって美術館が創設されました。所蔵作品には、フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》、《ディアナとニンフたち》、《デルフトの眺望》の3作品のほか、レンブラントの《ニコラース・テュルプ博士の解剖学講義》をはじめ、ルーベンス、フランス・ハルス、ヤン・ステーンなど著名な画家の傑作が含まれています。

フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日
Vermeer’s Girl with a Pearl Earring: Dutch masterpieces of the 17th century

会期:2026年8月21日(金)~ 2026年9月27日(日)

会場:大阪中之島美術館 5階展示室 (大阪府大阪市北区中之島4-3-1)

主催:大阪中之島美術館、朝日新聞社、朝日放送テレビ

後援:オランダ王国大使館

展覧会公式サイト:https://vermeer2026.exhibit.jp/

展覧会公式X:https://x.com/Vermeer2026

展覧会公式Instagram:https://www.instagram.com/vermeerosaka2026/

問い合わせ先:06-4301-7285(大阪市総合コールセンター)受付時間 8:00-21:00(年中無休)
※チケットは6月発売、詳細は5月下旬に発表します。
※記載内容に変更が生じる場合があります。最新の情報は展覧会公式サイトで確認ください。

(美術展ナビ編集班)

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