
Ⓒ2026「ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生」製作委員会
ロシア出身のピアニスト、スタニスラフ・ブーニン=写真=の半生を描くドキュメンタリー。伝説となったショパン国際ピアノコンクール優勝から、ピアニスト生命を脅かす苦難に直面し、復活を果たした現在までの姿を追い、その内面に深く迫っている。
20歳でデビューしたブーニンの日本での人気はすさまじかった。国技館での追加公演には、若い女性たちが押し寄せ、黄色い歓声が飛び交った。
そんなブーニンが2013年、表舞台から突然姿を消した。病気による左手のまひや、左足の一部を切除する大手術。活動休止は9年に及んだ。
妻・榮子に背中を押されて復帰への道を歩むが、葛藤や苦悩をインタビュアーに語る。「弾きたいように弾けない。そこにあるのに届かない」。こうした率直な言葉が胸を打つ。亡命時を振り返った言葉にも、はっとさせられた。「自分は金塊のような存在で、所有物とみなされていた」と─。
ピアノと自分自身に真摯(しんし)に向き合い続けたブーニンは、新しい境地に達する。「完璧じゃなくてもいい。人に感動を与えられる、美しい演奏をしたいと思うようになった」と明かす。
25年12月のサントリーホール、26年1月の日本デビュー40周年記念など、コンサートの模様もたっぷり伝える。超絶技巧ではなくても、語りかけるような音色が染み入る。音楽に取り組む意味を問いかける。
監督/中嶋梓
製作/日本、1時間51分
20日からkino cinema横浜みなとみらいなどで上映
