昔話に自慢話、説教、講釈……。“老害”とされる人々をチャーミングに痛快に描いた『老害の人』が、リーディングドラマになる。昨年末に急逝した原作者の内館牧子も楽しみにしていたというこの舞台。友近と千葉雄大が様々な人物を演じ分けていく。二人でどんな掛け合いを生み出すのか。本番の楽しさを早くも想像させてくれる対談となった。

──リーディングドラマ『老害の人』では、合計13人の様々な人物をお二人で演じ分けていかれます。出演が決まったときはどう思われましたか。

友近 朗読は二度ほど出演したことがあるんですけど、二人だけで何役もやるのは初めてなのでイメージができなくて、できるのかなと思ってしまいました。でも、千葉君と何かを作り出すことができれば嬉しいです。

千葉 僕も朗読劇で複数の役柄を演じるのは初めてで、しかも、85歳の人物をやるなんてどうしたらいいんだろうと思いましたが、楽しみです。友近さんとご一緒できるのはご褒美みたいだなと思っています(笑)

友近 あらららら、ありがとうございます。こちらこそです! 千葉君は私の舞台もいろいろ観に来てくださっているんです。

千葉 友近さんの作っていらっしゃる世界観や、キャラクターが発する台詞が好きで、僕の血肉になっているんです。水谷千重子さんの「バカ言ってる」とか普段から使っています(笑)。

友近 便利な言葉なんです(笑)。

千葉 友近さんがお好きな映画も拝見しています。『吉原炎上』とか『肉体の門』とか。

友近 お勧めしたものを観てくださっているんですよね。千葉君は演じるだけじゃなく監督もされていて、客観的にものづくりもできるし、いろいろな才能のある人。だから、今回たくさんの役を演じる朗読劇も、千葉君だったらできるなとすごくイメージできるんです。自分はどうなるかわからないですけど。

──おっしゃったように千葉さんは85歳の主人公の福太郎を演じられますし、そして友近さんは、その娘・明代や孫の男子高校生・俊になったりされます。性別も年齢も問わずに演じることには、どうチャレンジしていきたいと思われていますか。

友近 私、おばあちゃん役は、2025年の「水谷千重子50周年記念公演」で伝説のダンサー、ミス・フローレンスを演じましたしイメージできるんですけど、明代くらいの中間の年齢が難しそうです。

千葉 僕は同性が難しい気がしています。女性のほうがイメージしやすい。

友近 絶対かわいらしいと思う! とにかく、稽古で声を出してみてですよね。普段の一人コントでもあまり難しく考えないで、例えば、子どもならこんな声を出したいなというところからキャラクターができていくんです。

千葉 僕はさすがに85歳は考えてから臨むかもしれないですけど(笑)、稽古場で最初に出た声をもとにしていく感じになるとは思います。あと、一人で何人かの掛け合いを演じるところがあるので、落語のように表現するのか、頭の中はどうなっていくのか、今からちょっと楽しみでもあり不安でもあります。

──物語としては、家族にも会社にも“老害”認定された福太郎を中心に、世間から締め出された老人たちが人生を諦めずに立ち上がっていく姿が描かれます。老人や老害ということについては、どう感じられましたか。

友近 何を言ったら老害になるのか難しいですよね。コンプライアンスも同じですけど、水谷千重子なんて全員を「ちゃん」付けで呼んでいますから(笑)、それもいけないのかなと、よくわからなくなってくる。

千葉 水谷千重子さんに「ちゃん」で呼んでもらえたら僕は嬉しいです(笑)。ですから関係性にもよる気がしますし。もちろん、明らかにダメだろうということは、年齢にかかわらずやってはいけないと思いますけど。でも、ここに出てくるおじいちゃんおばあちゃんはみんなチャーミングに見えました。みんなで作るコミュニティが愛おしく思えた。

友近 一緒に老人のサロンを作っていくところ、いいですよね。私は今、「人生一度きり! なんにでもチャレンジ!」と題して全国で講演をしているんですけど、できない、難しいと思っていても、勇気を持って一歩踏み出せば周りも変わるんですよね。協力してくださる人も出てくる。だから、「こんなことしたら嫌われるんじゃないか」とか思うのは無駄(笑)。それは年齢を重ねてからも同じだと思っています。

千葉 僕も本当に、人生は一度しかないんだから、極端に言うと、今日が最後になってもいいと思えるくらい、毎日楽しく生きられたらいいなと思っています。

友近 悔いのないようにね。

千葉 その意味では、両親ともけっこうざっくばらんに、老後をどうしていくかという話をしています。両親も僕もこれからを悔いなく過ごしていけるように。

友近 すごくいいことだと思います!

──フィナーレには、福太郎の司会で、友近さん演じる春子が昭和歌謡を歌うショーもあります。そこに向けての意気込みも含め、お客様へのメッセージをお願いします。

友近 まだ想像できていないですけど、でも、春子の気持ちで歌えたらいいなとは思っています。春子は、早くお迎えが来てほしいと思っていたのに福太郎たちと一緒に活動することで強くなっていく人ですから、「やりたいことを楽しんだらええやん」という気持ちで、最後も歌えたらいいですね。

千葉 僕は司会として口上ができるのが楽しみです。調子で喋るものが好きなので、気持ちよく友近さんの歌につなげられればなと。全体的には、一人ずつの人情を大事にしつつ、お祭りのような楽しいものにできればいいなと思います。そうして最後まで楽しく観ていただいて、帰り道にちょっと、歳を重ねていくこととか、お話の内容がリフレインされると嬉しいです。

友近 期待を持って来てくださると思うので、そのみなさんの期待を裏切らないように、楽しみながら頑張りたいですね。読むところを間違えたらどうしようとは思いますけど(笑)。

千葉 何があっても舞台に立ち続ける(笑)。小春(チャラン・ポ・ランタン)さんのアコーディオンの生演奏もありますし。みんなで助け合って頑張ります!

取材・文/大内弓子
撮影/藤田亜弓

内館牧子さんのご冥福をお祈り申し上げます

内館牧子さんが2025年12月17日に逝去されました。
「老害の人」の舞台化を喜び温かく見守ってくださったその想いを受け継ぎカンパニー一同この舞台に臨みます。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
笹部博司(台本・演出)

<公演情報>
リーディングドラマ『老害の人』

日程:5月4日(月)~11日(月)
会場:有楽町よみうりホール

[原作] 内館牧子『老害の人』(講談社文庫)
[出演] 友近 千葉雄大
[音楽・アコーディオン演奏] 小春(チャラン・ポ・ランタン)
[台本・演出] 笹部博司

チケットURL
https://w.pia.jp/t/rougainohito/

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