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三者三様の音楽でフロアを魅了
『SHINBON 深夜の盆踊り〜前祭〜』ライブレポート

the engy、aint lindy、FUJIBASE、
三者三様の音楽でフロアを魅了
『SHINBON 深夜の盆踊り〜前祭〜』ライブレポート

2026年2月20日(金)に大阪・なんばHatchで開催される『SHINBON2026 – 深夜の盆踊り -』のプレイベントである『SHINBON 深夜の盆踊り〜前祭〜』が、1月6日(火)、心斎橋Music Club JANUSで行われた。『SHINBON』は2024年に続き行われる深夜イベントで、現在THE BAWDIES、TENDOUJI、the奥歯’s、フレンズ、ハダカエフダ、そしてDJにTOMMY(BOY)が、MCにFM802 DJの樋口大喜の出演が決まっている。その前祭として今回JANUSに登場したのはthe engy、aint lindy、FUJIBASEの3組。それぞれのグルーヴと魅力で瞬く間にフロアを惹き込み、自由に踊らせて本祭への期待を高めていった。

【FUJIBASE】

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トップバッターを飾ったFUJIBASEは、2024年に始動したソロプロジェクトアーティスト。作詞曲・編曲・歌唱・トラックメイク・ドラム演奏までを1人で行う、マルチな才能の持ち主だ。この日、3回目の大阪でのライブとなる。

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和の要素を含んだミステリアスなSEが聴こえ、ロボットボイスが「まもなくFUJIBASEのライブが始まります。もう少し前にお詰めください」と注意事項を伝える斬新な演出。「FUJIBASEという音楽が鳴る基地(BASE)」へと早くも誘われていく。

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十分に雰囲気を高め、颯爽と現れたFUJIBASE。まずは昨年夏にリリースされた1stフルアルバム『新東京市音頭』の1曲目に収録の「NEON TOKYO」をどっしりと力強く披露。一聴しただけで完成度の高さが伝わるサウンド、切なくも心地良いメロディー、スキルフルな歌声からは彼の才能と魅力が溢れ出していた。続けて日本語詞と英語詞を織り混ぜた「Plastic Humanity」を投下。先ほどとは違う伸びやかな歌声とキャッチーなメロディーラインで、表現力の幅広さを提示する。

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MCでFUJIBASEは「僕は大阪でライブをやることが大好きで仕方ないんです。新年一発目、皆と遊べること本当に嬉しく思ってます」と述べ、『新東京市音頭』のジャケットの提灯と本イベントのビジュアルに使われた提灯をリンクさせて「今日この場所でライブやるの、僕以上に適任はいないんじゃないですか?!」とブチ上げ、アルバム収録曲の「smoke and mirrors」「Game Over」を披露。ステージをくるくると回り、ジャンプし、音の波を自在に泳いでいく。そしてゆったりと「Afternoon Sun」を響かせた。

前回と同じく大阪ファンと一緒に熱く盛り上がるライブを楽しんでいるFUJIBASE。早耳のファンたちはそんな彼をあたたかな眼差しで見守る。

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ラストスパートは会場全体が跳ねまくった「evaporation」、拡声器をマイク代わりにしたパフォーマンスがインパクト大の「COPY and PASTE」をバチバチにブチ込み、「皆で歌って締め括りたいと思います」ともう1段階ギアを上げて「Freedom」で一体となり、テンションMAXを突破! 観る者の心を確実にロックオンしたFUJIBASEだった。

【aint lindy】

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東京町田発の6人組バンドBillyrromのギタリストであるRinのソロプロジェクト・aint lindyは、サポートにLeno(key/Billyrrom)、ニシナオキ(gt)、Morisho(ba/ Wave Rhythm Section)、Gen Taguchi(ds/ Wave Rhythm Section)を迎えた5人編成で登場した。

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1音目から爆音で放たれたのは「Dummy」。現代社会を生きる中で自分自身を見失いそうになる葛藤や皮肉を早口ラップで吐き出してゆく。それでも<My name is aint lindy><Look at me>と自己を確立しようとするaint lindyの言葉に救われる。堂々とした佇まいで「Nice to meet you! I’m aint lindy! よろしくお願いします!」と叫ぶと、迷いや葛藤を抱えながらも前に進めるんだよと背中を押す「HERO」へ。力強いリリック、流れるようなLenoの鍵盤も美しい。

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続いてフリースタイルとスキャットを交え、「楽しんでますか?踊れてますか?歩けてますか?休めてますか? 新しい年が始まり 新しいものに出会い 新しい風とともに旅をする これが人生 この時間がいつまでも続いてくれるように 幸せの四つ葉のクローバー♪」とゆらゆら言葉を紡ぎ、そのままシームレスに「Clover」へと繋いでゆく。ボサノヴァのリズムと上質なアンサンブルが優しくサウンドスケープを描き出した。

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Billyrromのライブもソウルフルでダンサブルで、奏でられる音に気付けば巻き込まれてしまう魅力があるが、aint lidyは楽曲で”人”を描いているため、求心力がありながらもより心の近いところで揺るがせ、踊らせている気がする。さらに曲調の幅広さ、ラップと歌唱スキルの高さ、表現の奥深さに驚かされる。

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後半、「Strange Leaf」「Loova」「Time Inn Moder」とダンスナンバーを続けて披露。クールでグルーヴィなバンドサウンドに呼応し、オーディエンスもゴキゲンで全身を揺らす。そして「新年なのでラストもう1曲。寒いからあったかくしたい。皆の熱気でここを一番熱い場所にしませんか?」という言葉から「You Mermaid I」でフィニッシュ。海に潜るようなシアン色の照明も相まって、包み込まれる心地良さでナイスバイブスを作り出した。演者と観客双方が音楽を素直に感じて楽しむ、愛があふれるライブだった。

【the engy】

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トリは京都発の4ピースバンド・the engy。SEに合わせてクラップで迎えられる山路洸至(vo.gt)、濱田周作(ba)、藤田恭輔(gt.cho.key)、境井祐人(ds)の4人。山路が明るく「明けましておめでとうございます」と挨拶、グルーヴ感たっぷりに「Hello」を解き放つ。色香を纏う山路の低音ボーカルが響き渡り、メンバーは楽しげに全身で音を奏でる。間奏のセッションは超絶パワフルで、いきなりクライマックスのような熱量でフロアを沸かせていった。

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続けざまにソウルフルな「N」、HIPHOP色の強い「I Miss U」を投下して会場をひとつに導く。大らかなサウンドとプチョヘンザで躍動する空気があまりにも気持ち良い。山路の高音ロングトーンの余韻が残る中で移行した「Anymore」では、山路がステージ前方に出てフロアと距離を近づけつつ、ハンドマイクで歌声を届けていく。一緒に歌える曲が多く、音楽を通して繋がるシンプルな歓びを体感できるのがthe engyのライブの魅力だ。

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囁くような歌い方やライミングの滑らかさがアダルトな「Not Today」を経て、ここまで鍵盤を弾いていた藤田がギターに持ち替えた「Heartache」でギアをアップ! 「Crying Dancer」では<音楽はうるさいぐらいの方がいいと思いませんかEverybody!>と叫び、ミラーボールが光り輝く中、全員で音の洪水に身を委ねた。この尊さと自由さは何物にも代えがたい。

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合間に見えるラフさも彼らの良いところ。「平日やけど週末やと思って盛り上がってくれますか! 足りひんかったらもう1曲遊んでいってくれますか」とアンコールを確約し、ラストスパート。イントロからたちまち手が上がった「Night Kids」はフィナーレにふさわしい重厚感と上昇感。大合唱でフロアが揺れる。伝播した一体感は盆踊りの熱狂を思わせる。まさに”踊らせる”ことに特化したようなセットリストだ。両手を広げて歌う山路の背後からまばゆい光が差し込み、エモーショナルな瞬間を作り出した。

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大喝采はすぐさまアンコールを求めるクラップに変化。山路は「2026年もこういうゆるっとして気持ち良くて、熱くて幸せな時間が続くことをお祈りします」と述べて「Hold You Again」をプレイ。最強のアンサンブルと個々のソロプレイでパワーを増すと、フロアに飛び降りた山路はオーディエンスとシンガロング! 会場の熱量はピークに達し、それはそれは見事な大団円を迎えた。鳴り止まぬ拍手と満足そうな表情のオーディエンスを見れば、ライブの素晴らしさは一目瞭然だった。

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2026年の幕開け、三者三様の音楽で存分に踊らせたFUJIBASE、aint lindy、the engyの3組。2月20日(金)の『SHINBON2026 – 深夜の盆踊り -』へのバトンとして、素晴らしい前祭となった。本祭は21時開演、夜中まで続くお祭りだ。出演者も踊るしかないラインナップが揃い踏み。深夜に踊りたい人は全員集合! きっと忘れられない夜になるはずだ。

Text by 久保田 瑛理

(2026年2月13日更新)

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