第75期王将戦7番勝負第3局第1日 ( 2026年2月3日    東京都立川市 オーベルジュ ときと )

封じ手を記入し対局室に戻る永瀬拓矢九段(撮影・会津 智海)
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 将棋の第75期王将戦(特別協力・スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社)7番勝負第3局は3日、東京都立川市の「オーベルジュ ときと」で第1日を行い、先手の挑戦者・永瀬拓矢九段(33)が55手目を封じて指し掛けた。4連覇中の藤井聡太王将(23)=名人含む6冠=相手に永瀬が、巧妙な指し回しでリードを奪う展開となった。対局はきょう4日午前9時に再開する。

 1勝1敗で迎えた今局はシリーズの曲がり角だ。2勝目を挙げて星が先行すれば気分よく中盤戦に臨める。先手番の永瀬には秘める覚悟があったのだろう。過去2局同様の角換わりでどうかと誘い水をかけながら、藤井の4手目△4四歩を見てプランBへ。雁木(がんぎ)模様も想定していましたとばかりに、用意していた手順を披露していく。

 「もう終盤戦ですか」と控室の検討陣をざわつかせたのは45手目▲4四角(第1図)。1一と5三の両地点で馬をつくれる鋭い踏み込みだ。47手目に▲1一角成を実現させ、さらに3、4筋にも歩と銀を並べて右辺を制圧にかかる。自王は挟撃されて怖い布陣となったが、委細構わずの攻め合いに。立会人の島朗九段(62)と新進気鋭の奨励会員が並べる継ぎ盤では、1手違いで永瀬の勝ちという局面が提示された。「永瀬さんの思い通りの進行だと思います」とうなずくのは島九段だ。

 この日は白い小型気温計を初めて持ち込み、盤側に置いた。もちろん室温のチェックが目的だ。気温計付きのデジタル時計を愛用する藤井の向こうを張ったような「新手」を披露。対局前日の検分で、室温を細かく指示するライバルの姿に触発されたのかもしれない。盤外まで細やかに気を使う永瀬の「らしさ」を垣間見た。

 第2局(京都)で角換わり戦を落とした直後は敗因を悟ることができなかった。具体的な悪手があったわけではなく「少しずつ難しい局面が長く続いた。その難しい局面を維持すべきだった」と振り返った。角換わりとならなかった今局は、意図的な乱戦に持ち込んだ節もある。49分を投入して決断した封じ手が▲3八飛なら、さらなる大決戦に突入だ。早い決着も十分あり得る。(我満 晴朗)

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