ロンドンの名門美術大学「セントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins、以下CSM)」は、新設された教育プログラム「Mスクール」において、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)を初のインダストリー・アンバサダーとして迎えたことを発表した。

Mスクールは、ファッション、ジュエリー、テキスタイルという従来の境界を越えた学際的プログラムだ。素材、製造、倫理、創造性を統合的に捉える次世代教育を掲げ、教育と産業をより実践的に結びつける試みの一環として位置づけられている。

母校への回帰

マッカートニーは1995年にCSMを卒業し、2012年には同大学から名誉学位も授与されている。こうした背景から、今回の母校での新たな役割は、彼女にとって象徴的な意味を持つものだ。

2001年のブランド設立以降、マッカートニーは毛皮や羽毛など動物由来素材を一切使用しない姿勢を貫いてきた。当初、その選択はラグジュアリー業界では異端視されていたが、彼女は信念を曲げることなく、菌糸体レザーや海藻由来のスパンコールなど、再生型素材の開発に注力し続けてきた。また、ステラ マッカートニー(Stella McCartney)の2026年プレフォール・コレクションでは、全体の98%を責任ある素材で構成した。

今日、マッカートニーの先駆的な取り組みは業界標準へと近づきつつある。一方で彼女は、サステナブル素材の開発や製造体制には継続的な投資が不可欠であり、個々のブランドの努力だけでは限界があることも指摘。業界全体が環境配慮型の実践を標準化していく必要性を訴えている。

創造の出発点を更新する

今回のステラ・マッカートニーのMスクール参画が示すのは、サステナブル・ファッションの議論が「意識」の段階から「教育と実装」の段階へと移行しつつあるという事実だ。

規制や市場の変化に対応するだけでなく、創造の出発点そのものを更新すること。そのために教育を再設計するという選択は、今後のファッション産業における重要な分岐点となるだろう。

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