年をまたぎ、いよいよ後半に突入した朝ドラ『ばけばけ』。いやあ、年末年始、盛りあがりましたね! 紅白歌合戦で髙石あかりとトミー・バストウが見つめ合った瞬間は、みなさんリピートしまくったことだと思います……! 私は年明けても、雑煮食べながら見まくっていました。

少し振り返りましょう。第13週「サンポ、シマショウカ。」は、間違いなく前半のクライマックスでした。銀二郎(寛一郎)やイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)が松江にやって来たことで私が期待していたロマコメ的展開もありつつ、そこで描かれていたのは何よりも、ひとが誰かとともに生きていく覚悟を決める瞬間だったと思います。

朝ドラ『ばけばけ』盛り上がり最高潮の1ヵ月を振り返り!“運命の愛”は、日々のやり取りや気遣いを積み重ねた先にある<br />_img0

©︎NHK

いまでも大切に感じている元夫による理想的な申し出に応じられず、ヘブン(トミー・バストウ)への想いを自覚したトキ(髙石あかり)。自分のことを「通りすがり」だと言っていたのに、異国の地で心を通い合わせられるひとを見つけたヘブン。ふたりの心の変化は、いっしょに散歩をすることと、手をつなぐことで表現されました。ただあらためて考えてみると、ラブストーリーとしては、散歩して手をつなぐのがクライマックスになるというのは、何とも奥ゆかしく感じられます。

 


けれども、それまでトキとヘブンの交流がゆっくりじっくり描かれてきたからこそ、そこには強い意味合いが宿っていました。そこで思い出されるのが、第5週でトキがヘブンとはじめて会って、握手したときにその手が震えてきたことに気づいたエピソードです。それはわかりやすく恋愛的な「ビビビ」ではなく、「異人も自分たちと大して変わらない人間なんだ」という気づきのほんの入口だったわけです。トキとヘブンの関係はたしかに「運命の愛」と言えるものですが、その運命は日常のちょっとしたやり取りや気遣いを積み重ねて、ようやくたどり着いたものでした。

感動的なクライマックスとなった第65回は視聴者の間でも「最終回みたい」と言われましたが、お互いの気持ちを確認してめでたしめでたし、とならないのが『ばけばけ』です。年が明けて第14週「カゾク、ナル、イイデスカ?」では、ヘブンの「イテモ、イイデスカ?」のプロポーズのシーンで言葉にして伝えることの大切さが描かれましたし、松野家の面々に結婚を認められるだけでなく、雨清水家の件も含め、家族間にあるわだかまりを解消することの難しさにも向き合いました。

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ここも物語としてダイナミックなところだったと思います。錦織(吉沢亮)は日本的な建前だとヘブンに説明していましたが、必ずしも日本だけではなく、家族・親戚だからこそ問題がこじれることは往々にしてあるものです。そこに、嘘が嫌いなヘブンがやって来たことで硬直した状況に風穴が開きました。背景や文化の異なる人間が交わることの面白さという『ばけばけ』のテーマは、こうした部分にも生きているように思います。

小さなドラマも取りこぼさない、「ばけばけ」の優しいまなざし

 

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