Amazon Prime Videoで公開されたドラマシリーズ「フォールアウト」の人気を受け、ビデオゲーム版のプレイヤー数やコミュニティの動向にも変化がみられます。今回は、『Fallout 76』の運営・開発の最前線に立つBethesda Game Studiosのキーマンお二方に、ドラマ放送後の状況や今後の展望についてお話を伺うことができました。
出席者は、同スタジオのクリエイティブ ディレクターを務めるジョナサン ラッシュ氏。氏は2018年のオースティンスタジオ設立時から『Fallout 76』の制作に携わり、現在はアート、世界観、シーズンパスのアイデアなど、ゲーム体験全般を監督しています。
そして、プロダクション ディレクターのビル ラコステ氏。2019年の入社以来、シニア プロデューサーとして「Wastelanders」や「Skyline Valley」などの主要アップデートを牽引し、現在は開発プロジェクト全体の進行管理を担っています。
左がジョナサン ラッシュ氏。右がビル ラコステ氏。
――ドラマの制作にあたって、ビデオゲーム側の開発スタッフはどのような協力を行ったのでしょうか?
ジョナサン ラッシュ氏(以下、ラッシュ氏): ドラマ制作を担当したのは完全に別のスタジオですので、ベセスダ側から関与した人数はそれほど多くありません。少数のスタッフが、ロア(設定)やトーンについての質問に対応するリソースとしての役割を果たしました。ドラマの制作陣がシリーズの熱烈なファンであったこともあり、ゲームとはまた別の、彼ら独自の素晴らしいストーリーが描かれたと思っています。
――ドラマの放送を受けて、コミュニティの遊び方や反応が変化した部分はありますか?
ラッシュ氏: 遊び方そのものに大きな変化があったわけではありませんが、放送後、フランチャイズ全体に対する関心が非常に高まったのを実感しています。新規プレイヤーはもちろん、しばらく離れていた復帰プレイヤーが『76』や『4』、『New Vegas』に戻ってきてくれました。
ビル ラコステ氏(以下、ラコステ氏): 興味深い変化としては、「グール」のファンが急増したことが挙げられます。コミュニティからは、ゲーム内でもっとグールを登場させてほしい、あるいはドラマのザ・グールのような賞金稼ぎ(バウンティーハンター)の要素を体験したいという声が寄せられました。


――ドラマをきっかけに増加したプレイヤーを定着させるために、どのような施策を行ったのでしょうか?
ラッシュ氏:『Fallout 76』の 過去1年間のアップデートでは、プレイヤーにより豊富な選択肢や主体性を提供することに注力してきました。星4のレジェンダリーやグールに関する新要素、パフォーマンスの改善、ビジュアルの調整など、さまざまな面で磨きをかけています。
マップの探索の面でも、水辺をより楽しんでもらうための「釣り」の導入や、「Burning Spring」アップデートでの賞金稼ぎ機能の追加などを行いました。今後もコミュニティが長く遊び続けられるライブサービスを提供し続ける計画です。

――『Fallout 76』はシリーズで最も古い時代を描いていますが、ドラマとの整合性についてはどう考えていますか?
ラッシュ氏: 『Fallout 76』とドラマ版では200年以上の隔たりがあるため、直接的なクロスオーバーは難しい部分があります。例えばドラマの主人公ルーシーを『76』に登場させようとしても、時代背景的に彼女の先祖すら生まれていないことになりますから。ただ、グールのようなキャラクターであれば、科学的な理由で長生きしているため類似点を描きやすいです。
――実際に完成したドラマをご覧になった後、インスピレーションを受けた部分はありますか?
ラッシュ氏: 非常に多くの刺激を受けました。あらめて自分たちの世界の中でも素晴らしいストーリーを語り続けなければならないという、強いモチベーションに繋がっています。ドラマがキャラクターや物語への没入感を高めてくれたように、ゲームの世界でも同等の高い没入感を提供していこうと決意を新たにしました。
――1人の開発者もしくはファンとして、ドラマの中に「これがあったのが嬉しかった」と思った要素はありますか?
ラッシュ氏:これまで長年描いてきた要素が、セットや小道具として完璧に再現されているのを見られたのがやはり嬉しかったです。ただ、一番感動したのは「Vaultの居住者がお互いにどうインタラクションしているか」という描写ですね。自分たちが描いてきたものと違っている部分もあれば、似ている部分もあり、非常に興味深く拝見しました。

――最後に、ドラマをきっかけに新たに『Fallout』の世界に触れた日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
ラコステ氏:『Fallout』の世界へようこそ。私たち『Fallout 76』のチームも長年この世界を磨き続けてきましたので、皆さんに楽しんでいただけることを心から嬉しく思います。
日本には、私たちの想像を超えるような素晴らしいキャンプ(C.A.M.P.)を作るビルダーが数多くいらっしゃいます。皆さんの圧倒的な創造力とスキルがあれば、この世界でまだまだ多くのことが成し遂げられるはずです。 過去7年分の豊富なコンテンツが皆様を待っています。ぜひ友人たちと一緒にアパラチアを駆け巡ってください。
ラッシュ氏: Bethesda Game Studiosは、ゲーム業界でも最高のコミュニティを持っていると自負しています 。その中でも日本のコミュニティは、私たちにとって非常に貴重な存在です。皆様がキャンプ制作などで見せる高度な技術を羨ましく思います。ドラマをきっかけに新しく加わった皆様も、私たちは熱く歓迎いたします。
