2025年、9年ぶりに俳優活動を再開した成宮寛貴。彼が12年ぶりとなる舞台で主演を務めるのが、25年前のデビュー作と同じ宮本亞門演出の『サド侯爵夫人』だ。
「休んでいた期間は、俳優業を再開する選択肢を考えないようにしていましたが、ABEMAオリジナルドラマ『死ぬほど愛して』の原作者・天樹征丸さんに誘っていただいたことで、考えるようになりました。俳優への復帰を決めた後、偶然亞門さんに再会しました。復帰することをお伝えして、後日『サド侯爵夫人』に誘っていただいた。僕が演じるルネは、詩的でロマンティックかつ確固たる自分のマインドがある女性。今回、初めて原作者の三島由紀夫さんの作品に触れたのですが、ひとつのセリフがとても長いのと、その独特の世界観を伝えるのに苦労するだろうと感じました。久々の舞台で難易度が高いと思いましたが、エンターテインメントの仕事をする上で、いま到達できていないところに挑戦する姿勢でなければいけない。この作品では、多くの試練と向き合うことになると思っています。三島さんの作品だけに、鮮やかでむき出しの表現が多く刺激が強い。ストーリーが刺激に隠れてわからなくなってしまわないようなお芝居をしたいです」
キャリアを始めた頃から、俳優という職業が挑戦し続ける仕事だと肌で感じていたという成宮。
「多くの素晴らしい俳優の方たちと出会うたびに、『俳優とはそうあるべきなんだろうな』と実感してきました。特に舞台は、自分にはない表現の扉を開けることで次のステージに運んでもらえるという感覚があります。その時間は楽しいけど非常に苦しい。『サド侯爵夫人』は僕にとって9年のブランクを含めた12年ぶりの舞台。命懸けで一度出来上がったものをぶっ壊して平らにし、また積み上げていくような作品にしたいです」
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すべての出来事を肥やしに、ハッピーエンドな結末にしたい

復帰して約1年半。芝居の楽しさをどう感じているか尋ねた。
「いまは、食事制限をした後に食べすぎちゃう感覚で、お芝居を楽しく食べています(笑)。実際に始めると、緊張でギュっとなる感覚に『これが楽しいんだよな』と思ったり。お芝居のコツを思い返してもいますが、この年でこれだけ新鮮な気持ちが味わえることは、なかなかない。昔の記憶を残しながら、新しい人生を送らせてもらっている気持ちです」
俳優の醍醐味は、「自分が経験したいいことも悪いことも芝居に活かせること」だと話す。
「乗り越えられないぐらい大変だった出来事もすべて肥やしにしてハッピーエンドにできる可能性がある。すべての事柄を咀嚼して新たなものに生み変えるので『(天空の城)ラピュタ』に通じるかもしれません(笑)。俳優を辞めてトランクひとつで海外に飛び出しても、生きていけるということを知って人生観が変わった。ミニマルになったし、柔軟になりました。英語圏で生活する中で、わからない言葉があった時、知っている単語を使ってどうにか伝えていた経験も役立っているのかも。持っているものが少ないと『これがダメならこうすればいい』と工夫をするようになった。昔よりも、いまの成宮寛貴のほうが表現者としてよくなっている気がします。と言っても、復帰したばかりで実際どうかはまだわかりませんが(笑)」

17歳でデビューし、43歳となった。この先の道しるべとなるロールモデルはいるのだろうか。
「生まれ変わったばかりで、そういう存在がいないことにいま気付きました(笑)。生活が落ち着いたら、少し不便なところに住みたいです。いまは都心に住んでいて、外に出るとたくさん人がいて息苦しさを感じるので、離れたほうが心静かに過ごせるのかなと。あと、40代になって理由のない不調を感じることがあるんです。だからいいものを食べて、トレーニングして、身体も心もやわらかくしてできるだけ心地いいところにハートがあるようにしたい。未来が楽しみではあるのですが、期待し過ぎちゃいけない。〝いつ踏み出すか〟が大事。その時がいまだからこそ、『サド侯爵夫人』に挑戦するのだと思います」
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WORKS
舞台『サド侯爵夫人』

欧州でも数多く翻訳上演されてきた三島由紀夫による戯曲の名作を、俳優・成宮寛貴×演出家・宮本亞門の25年ぶりのタッグで上演。成宮の俳優復帰後、初の舞台作品となる。2026年1月8日より、東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで開幕予定。
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ABEMA オリジナルドラマ『死ぬほど愛して』

成宮が復帰後、初の出演作品で主演を務めたドラマ。“魅惑的な殺人鬼”・神城真人役の怪演が大きな話題を呼んだ。2025年3月に配信されて以来、 「ABEMA」においての総視聴数1500万回を記録。ABEMAオリジナルドラマ過去最高を更新した大ヒット作。
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ライフスタイルブランド 〈 NU DO. 〉

俳優業のほか、起業家としての一面を持つ成宮が2024年9月に立ち上げた、トータルビューティブランド。マスクなどスキンケア用品をはじめ、自分と向き合う“オウンタイム”をテーマに、心地いい時間をつくり上げるためのプロダクトをプロデュースしている。

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