麻薬所持の濡れ衣を着せられたことをきっかけに、裏社会の交渉人兼情報屋「ヤダン」として生きることになった主人公。彼を抱き込んだ検事とともに、麻薬ビジネスを舞台に繰り広げられるクライムサスペンス。

本作の魅力は、警察、検察、そして一般人と、麻薬に関わる人間たちを非常に幅広いレンジで描き出している点にあります。
摘発した犯人を囮(おとり)にする警察、彼らが追う売人を横から掠め取ろうとする検察、そして知らないうちに薬物を盛られ人生を狂わされる一般人……。
とにかく情報量が多く、見応えのある構成でした。

物語の軸は、麻薬犯罪により転落していった者達の「復讐劇」ですが、個人的には、麻薬を取り巻くあらゆる人々にスポットを当てた「群像劇」としての側面がより強く印象に残りました。
織田裕二さん主演の『T.R.Y.』のような詐欺師もの的な面白さもありつつ、『警察24時』のような多種多様な犯罪者が交錯するリアルなドキュメンタリー性を求める方にも刺さる作品です。

※一応の注意点ですが、麻薬中毒の描写として「体に虫が這う感覚」を表現するためにゴキブリが登場します。
アップで映ることはありませんが、苦手な方は注意が必要です。テーマ上、必要な演出ではあるのですが、ここが唯一のハードルかもしれません。

個人的に残念だったのは、クライムアクションと銘打たれていますが、アクション描写は薄い点です。
序盤こそ派手な展開がありますが、中盤以降はアクションよりもドラマの比重が大きくなります。
純粋なアクション映画を期待すると物足りなさを感じるかもしれませんが、その分、高い解像度で描かれた麻薬犯罪とそれに巻き込まれた者達のドラマは丁寧な造りでした。
地に足の着いた、リアリティのある犯罪ドラマをじっくり楽しみたい方にぜひおススメしたい一本です。

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