社会派作品で重厚な演技を魅せていく2022~2024年
20代半ばごろから、横浜は社会派ドラマの作品に数多く出演し、人間の暗部をにじませる、泥臭く生々しいキャラクターを立て続けに演じて、若手を代表する俳優としての地位を確かなものにしていく。『国宝』の李相日監督と初めて組んだ『流浪の月』(22)では、広瀬すず演じるヒロイン、家内更紗の恋人で上場企業に勤務するエリート会社員、中瀬亮役で出演。“誘拐事件の元被害女児”という更紗の過去を知ったあと、彼女への一途な愛情が支配、暴力へと激変する亮の狂気をはらんだ表情は観客を震撼させ、横浜は本作の演技で第46回日本アカデミー賞優秀助演男優賞、第47回報知映画賞助演男優賞を受賞した。
三木孝浩監督の『アキラとあきら』(22)は竹内涼真とのW主演作。金融業界を舞台に、竹内演じる零細工場の息子として育った山崎瑛と、横浜演じる大企業の御曹司として生まれた階堂彬の数十年にわたる波乱の人生が描かれる。同じ名前を持ちながら、正反対の境遇で育ち、出会うべくして出会った2人の熱い戦いと友情。陰のある御曹司役といい、ライバル同士の2人の関係性といい、どことなく『国宝』を彷彿とさせる作品だ。
藤井監督が手掛けた主演作『ヴィレッジ』(23)は、閉鎖的な日本の集落を舞台にしたヒューマンサスペンス。“殺人犯の息子”と周囲に疎まれ、ゴミ最終処分場で働きながら、母親が作った借金の返済に追われる鬱屈した青年、片山優はあまりに過酷な背景を背負った主人公。幼なじみの美咲(黒木華)との再会を機に別人のように自信を取り戻したのも束の間、その幸福が一瞬で崩れ落ち、破滅へと向かっていくまでの大きな変化が注目を浴びた。
『ヴィレッジ』とあわせて、横浜に第48回報知映画賞主演男優賞をもたらした作品が瀬々敬久監督の『春に散る』(23)。世界チャンピオンを目指す若手ボクサー、黒木翔吾役を演じるにあたり、横浜は本格的なボクシングの訓練を開始。日本ボクシングコミッションのプロテストを受け、C級のライセンスまで獲得した。劇中で見せた鬼気迫る数々のファイトシーンは、「役のためにやれることはすべてやる」という横浜のストイックな姿勢の結晶である。
藤井監督とのタッグ3本目の長編となる主演作『正体』(24)では、“5つの顔”を持つ逃亡犯という難しい役に挑戦。一家3人殺害の容疑で死刑判決を受けた鏑木慶一は、拘置所を脱走し、場所を変えながら潜伏を続けていく。ダークな役も数多く務めてきた横浜が演じたからこそ、鏑木が本当に殺人を犯したのかどうかのサスペンス性が一段と高まったことは間違いない。本作で横浜は第48回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、第49回報知映画賞主演男優賞、第79回毎日映画コンクール主演俳優賞など数々の映画賞に輝いた。
