12月19日から「ユニクロ年末祭」が始まりました。そして、それが終われば26年1月1日から「ユニクロ新年祭」という名で計21日間のイベントが始まります。このタイミングを待っていた方も多いのではないでしょうか。
「ユニクロ、最近ちょっと高くなった?品質が悪くなった?」――SNSや身近な会話でよく聞く“消費者の声”が増えているように感じています。1998年11月28日、ユニクロ原宿店のオープンと同時に代表作となったフリースを1900円で大々的に展開し、“超・低価格の代表格”として語られた「ユニクロ(UNIQLO)」。そのイメージが変わり始めているのを感じます。
実際に筆者が執筆した記事のヤフコメでは以下のようなコメントが寄せられ、一つひとつのコメントに3〜4桁の「参考になった」がついており、一個人の感覚的な話ではなく、こうした声が一定数存在する、という世論の一端を感じています。
「確かにユニクロはもうファストファッションでは無いと思う」
「機能性があり価格も安いというのが魅力だったユニクロ」
「子供が服みたいっていうからユニクロに行って価格見てビビりました」
参照元記事:「最近ユニクロ高くない?」と思っている方に朗報 #ユニクロ古着 販売強化の兆し(Yahoo!ニュース エキスパート砂押貴久)
また今年5月、ベルリン発のファッション&カルチャーメディア『HIGHSNOBIETY.JP(ハイスノバイエティ)』でも「UNIQLOが “反ファストファッション” である理由」と題した記事が掲載されており、業界内でも気になる話題です。
こういった背景などから「そもそも今のユニクロはファストファッションなのか?」という疑問が生まれ、今回は「ユニクロ」の新しいカテゴリーは何か、そして今のファストファッション市場について考えます。
ファストファッションとは
改めて言葉の定義を振り返ると、ファストファッションとは「最新の流行(トレンド)をいち早く取り入れ、低価格で大量生産・販売するビジネスモデルのこと」と定義されています。
そして現在、「シーイン(SHEIN)」や「テム(Temu)」など、1着1,000円程度でオンライン購入できる「ウルトラファストファッション」という言葉が生まれました。一方で、「H&M」や「ZARA」など実店舗を持つ元祖・ファストファッションは「クラシックファストファッション」と呼ばれるようになっています。
「服にお金をかけなくなっている」国民の変化
円安や物価高、消費の多様化を背景に、総務省の家計調査によると、2024年の衣類・服飾雑貨にかける年間支出額は、1世帯あたり約9万2,000円とされています。2014年と比較すると、この10年でおよそ25%減少しており、長期的には「服にお金をかけなくなっている」傾向が続いていることが分かります。直近数年では緩やかな回復の兆しも見られますが、10年前の水準には戻っていません。
また、ブランドや企業が抱える余剰在庫やシーズンオフ商品を仕入れ、通常よりも安価に販売する「オフプライスストア」が再び注目を集めていることからも、消費者の低価格志向が強まっていることがうかがえます。
ユニクロの狙いは何か?
消費者からは「高くなった」「品質が低くなった」といった声がある一方で、ユニクロの業績は絶好調です。2024年に誕生40周年を迎え、2025年8月期決算では国内「ユニクロ(UNIQLO)」の売上収益は1兆260億円(前期比10.1%増)。これは日本のアパレル企業として初めての数字で、TVやヤフトピでも大きく取り上げられました。わかりやすく言えば、「9兆円前後と言われる国内アパレル市場の10%超をユニクロが占めている」ということになります。
好調の理由は国内事業だけでなく、北米・欧州・韓国・東南アジア・インド・豪州など海外事業が大幅な増収増益であること。また、店舗数は過去5年で30店舗ほど減っているものの、販売効率は向上。ユニクロ古着、ユニフォーム事業などBtoB領域への進出も含め、収益源は多角化しています。
さらに、母体であるファーストリテイリングと同グループの「ジーユー(GU)」が“ユニクロよりさらに安く・トレンド寄り”という立ち位置を確立しているため、「ユニクロ」は今の路線をより強めていくと考えられます。
ファッション業界でのイメージ
事業成長だけでなくブランドイメージの向上も顕著です。2025年版「グローバル企業のブランド価値ランキングトップ100」では、ファッション分野から「ユニクロ」が初の47位にランクイン。日本ブランドとしては、自動車や電機以外では初の選出でした。
20年ほど前であれば、「ユニクロ」をはじめファストファッションのコラボは「ブランド価値が下がる」と業界内で否定的な声が多かったものの、今では“当たり前”であり“楽しみにされるもの”へと変わりました。双葉通信社が、日本最大手の服飾専門学校の文化服装学院の学生1031人を対象に実施したアンケートでは「今年ファッションアイテムを購入したブランド」でも「ユニクロ」が1位でした。
ユニクロは今、なんというカテゴリーか?
「今のユニクロはファストファッションなのか?」
定義で言えばファストファッションに含まれます。ただし実態は、その枠組みだけでは捉え切れなくなっているように感じます。世間とのイメージのギャップ、多角的な事業、国内外での評価と成長、機能性の高さ、デザイン性のあるコラボ、そして価格…。これらを「H&M」や「ZARA」と同列の“クラシックファストファッション”として語るのは、私の感覚では少し違うと感じました。
元々「ユニクロ」というブランド名は、「ユニーク・クロージング・ウェアハウス(UNIQUE CLOTHING WAREHOUSE)」の略語です。「ユニーク(独自の)」「クロージング(衣類)」「ウェアハウス(倉庫)」の組み合わせで、『ほかでは買うことのできない良いカジュアルファッションを、自由に選び買える場所』という意味が込められています。ユニクロの現在のコンセプト「LifeWear(ライフウェア)」は理念として強い一方で、それを一言で言い表すカテゴリー名とはまた別の印象があります。
公式資料を改めて調べている中で、興味深いキーワードがありました。
「MADE FOR ALL」
これは「国籍や年齢、性別、職業など、人を区別するあらゆるものを超えた、あらゆる人々のための服」と定義されています。
そこで、ふと浮かんだ言葉があります。
「ユニバーサル・ファッション」
まとめ
もちろん「ユニバーサル・ファッション」はユニクロ公式の用語ではなく、筆者がLifeWearや“MADE FOR ALL”の思想を読み解く中で感じた“私なりの造語”です。「ユニバーサル」は「普遍的な」「万人向けの」「誰もが使える」という意味を持つ言葉。新品の服だけでなく、古着や制服、そして世界進出。まさに今のユニクロが強化している方向性を表す言葉として適しているように思えました。他ブランドが容易に入れるカテゴリーではありませんが、今のユニクロを説明する際の一つの言葉として“しっくりくる”と感じています。
読者の皆さんは、今の「ユニクロ」をファストファッションと感じますか?それとも「H&M」や「ZARA」のような“クラシックファストファッション”に近い印象でしょうか?はたまた、筆者が提案した「ユニバーサル・ファッション」がしっくりきますか?
皆さんの考えをヤフコメで教えてください。
今回の記事のようにヤフコメ起点に記事作りのヒントにさせていただく場合があります。
