元俳優で介護士の岩佐真悠子さん【写真:くさかべまき】元俳優で介護士の岩佐真悠子さん【写真:くさかべまき】

「歩くのが遅いからイライラしてしまう」「つい急かしてしまう」――誰もが一度は経験する、年を重ねた親との小さな衝突。2020年に芸能界を引退し、現在は介護士として活躍する岩佐真悠子さんも、同じ悩みを抱えていたといいます。しかし、介護士への転身は、岩佐さん自身にさまざまな変化をもたらしました。「当たり前」が当たり前ではないと気づいたからこそ変わった、親との向き合い方。第二の人生での変化について、語っていただきました。

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「早く来てよ」と冷たく言っていた頃

「昔は、歩くのが遅いのでイライラして『お父さん、早く来てよ』とか『歩くの遅いんだから、もう先に行き始めて』とか言って、ちょっと冷たかったんです」

 介護の仕事を始めてから、変化したことを尋ねると、そう振り返った岩佐さん。父親は若い頃の怪我もあり足が悪く、年齢とともに状態が悪化し、今では杖をついて歩く生活が長く続いています。

 そんな事情は頭ではわかっていても、急いでいるときなどは、つい余裕がなくなり、厳しい言葉が出てしまっていたそう。しかし、介護の仕事を始めてから、父親に対する接し方が大きく変化しました。

「急かさなくても良いように、事前に声をかけるようになって。もうちょっとで出かけるからトイレ行っといたら、とか。声かけをしておくことで、以前ほどきつく当たらないようになりました」

 2020年に突如、芸能界を引退した岩佐さんは、長年の友人で現在は介護タレントとしても活躍する西田美歩さんの誘いもあり、未経験から特別養護老人ホームで働き始めました。その後はデイサービス、訪問介護、介護老人保健施設など多様な現場を経験。そして、今では自然と「先回りして声をかける」という習慣が身につきました。

 それでも、自分の肉親だからこその難しさもあると岩佐さんは正直に語ります。

「どれだけ先回りしていても『なんで?』っていうときはあるんですけれどね。やっぱり肉親って、どうしても優しくしきれないときは出てきますよ」

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