山梨県立美術館(山梨県甲府市)で、「特別展『日本画』の挑戦者たち それぞれの葛藤と探求」が12月6日から26年2月1日まで開催されています。
「日本画」は、江戸時代以前の日本絵画と比べて”革新的”、新しく流入した西洋絵画に対しては“伝統的”という相反する性格を併せ持って近代に誕生しました。本展は、明治から昭和(1900~1980年代)にかけて、独自の日本画の表現を模索した画家27人に焦点が当てられます。
西欧美術への傾倒、古典の新解釈、画壇への反発、画風の固定化からの脱却―それぞれの画家による葛藤と探求から、日本画の課題や展開の様相が浮かび上がります。また、山梨ゆかりの日本画家もそれらの動向の中に位置づけて紹介されます。「日本画」の挑戦者たちの生き方と作品世界を通して、日本画の多様な魅力をぜひご堪能ください。
特別展「日本画」の挑戦者たち それぞれの葛藤と探求
会場:山梨県立美術館(山梨県甲府市貢川1-4-27)
会期:2025年12月6日(土)~2026年2月1日(日)
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日 [ただし1/12(月)は開館、翌1/13(火)休館]
※年末年始(12/27~1/1)は休館
観覧料:一般1,000円、大学生500円
※大学生は学生証を提示
※高校生以下の児童・生徒(高校生は学生証を提示)は無料
※県内在住の65歳以上(年齢が分かるものを提示)は無料
※障害者とその介護者(障害者手帳を提示)は無料
アクセス:JR甲府駅南口からバス約15分「山梨県立美術館」下車、またはタクシー約15分/中央自動車道甲府昭和IC、双葉スマートICから車で約10分
詳細は、山梨県立美術館公式サイトまで。
本展の見どころ
本展では、明治期の横山大観、菱田春草から、速水御舟、川端龍子、東山魁夷、横山操、片岡球子、中村正義など、明治から昭和にかけての、革新的な日本画家27人に焦点が当てられます。それぞれの画家が何に挑戦し、どんな葛藤や探求をしたのか、あるいは日本画の課題や展開の様相も浮かび上がってくるでしょう。また、近藤浩一路、穴山勝堂、望月春江、のむら清六、三枝茂雄など、山梨ゆかりの作家も、日本画の動向の中に位置づけて紹介されます。

展示構成
第1章 “日本画”黎明期の挑戦 ― 明治期
空気と光を日本画で描くという命題に、朦朧体と揶揄されながらも、没線彩色法で挑戦した横山大観と菱田春草が取り上げられます。
菱田春草《林和靖》明治41(1908)年 絹本着色 茨城県近代美術館蔵
第2章 伝統と革新の交錯― 大正・昭和初期
大正・昭和初期の日本画では、西洋の美術思潮の影響を受けながらも伝統を尊重し、写実性や装飾性の追求、大和絵や琳派、南画への傾倒など多様な表現が生まれました。日本画の革新を意識し、自由な創作活動を行った画家が紹介されます。
川﨑小虎《こだま》昭和5(1930)年 紙本着色 東京国立近代美術館蔵
第3章 新しい造形意識と前衛 ― 戦中・戦後期
戦前の社会文化が否定された戦後、日本画もまた「日本画滅亡論」が唱えられ、日本画の本質や画家の姿勢が改めて問われました。戦前から革新の準備を始めていた若い世代の画家だけでなく、中堅の画家の中にも、日本画の新時代を築こうとする機運が高まりました。清新な画題、鮮明な形態や色彩、大胆な画面構成、現実感の表出など、それぞれが課題に取り組む様相が紹介されます。
吉岡堅二《氷原》 昭和15(1940)年 紙本着色 東京国立近代美術館蔵
山田申吾《田園譜》昭和33(1958)年 紙本着色 山梨県立美術館蔵
第4章 独自性の探求― 昭和後期
戦後になって近代の日本画を担ってきた巨匠たちが去り、若手の画家たちへの世代交代が進みました。日本画変革に対する高い意識を持つ次世代の画家たちが、新時代の感覚や実験的な表現を展開しました。ここでは、日本画が現代美術全般の中に位置づけられる前段階の1980年代以前までの活動が紹介されます。
のむら清六《ハハコ像》昭和41(1966)年 紙本着色 山梨県立美術館蔵
中村正義《うしろの人》昭和52(1977)年 紙本着色 豊橋市美術博物館蔵
明治から昭和にかけての日本画史は、伝統と革新がせめぎ合うダイナミックな時代でした。本展では、横山大観や菱田春草が挑んだ空気と光の表現から、速水御舟や川端龍子の大胆な構図、東山魁夷の静謐な風景、片岡球子や中村正義による強烈な人物表現まで、多様な試みを一望することができます。あわせて、近藤浩一路、穴山勝堂、望月春江、のむら清六、三枝茂雄といった山梨ゆかりの作家たちの仕事を日本画の大きな流れの中に位置づけて追えるのも、山梨県立美術館ならではの見どころです。作品を通して各画家の探求や葛藤をたどりながら、近代の日本画がどのように歩んできたのかを一望できる貴重な機会となりそうです。冬の甲府を訪ね、近代日本画の挑戦の軌跡にじっくりと向き合ってみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)
