映画には、夢がある。感動がある。涙がある。スリルがある。そして観ると心が豊かになる。映画は心の栄養です。でも、人生において「栄養は無いけど、なんかこの味好き!」というものがあってもいいでしょ? ダラダラとくつろぎたいときは、栄養価より「食べるのが簡単で、そこそこお腹にたまる」ものを選びますよね? そんなダラダラ時間のお供にオススメしたいB級映画を紹介します。B級なので、栄養価は低めです。でも、甘めの炭酸飲料を飲むような、妙な高揚感は味わえます。今回はB級映画が量産されやすいジャンルの「サメ」「ゾンビ」「ホラー」「パニック」。細かいことは考えず、スナック菓子をたべるような気持ちで、1度でいいから観てください。2度は観なくていいです。
構成・文/浅井加枝子
※本記事はTV Bros.2024年12月号龍が如く特集号で掲載されたものです。
<鑑賞する前に…B級映画を楽しむための心得>
「感動や意味を求めるな」
B級映画は、低予算だからこその、チープなセット、ショボイ撮影場所、場当たり的な展開の脚本が特徴。そこに感動を求めるのは「100円でヒレステーキ食わせろ」みたいなものです。謹んでください。ただ、たまに感動して涙が出てしまったとき、負けた気がするのはなぜでしょう。
「同じジャンルの作品は続けて観ない」
正直、B級はどれを観ても流れは同じです。ヘタをすると「ジャンルが違うのにあらすじがそっくり」ということもあります。だから続けて観ると頭の中がごちゃごちゃに。この混乱が続くとB級を嫌いになってしまう恐れがあるので、多くても3作までで。まあ、2作続けて観た時点で体も心も疲れ果てて、それ以上はやめると思います。B級映画鑑賞は、実はハード。
「いろいろ期待するな」
「最初に出たあれが、最後に重要になるのでは」「アイツが助けてくれるはず」など、期待させる展開はあれど、それを待っていると精神的大損。B級は伏線回収が無い場合も多いです。そして、ダレた頭の中を活性化させようとするのか、突然のエロ展開が! それも箸休めだと思って流し見を。逃げる途中でブラが外れたくらいで期待すんな。その先の展開は特に無い。
「あるある」を楽しめ
「逃げようとするけど、車のエンジンがかからない」「逃げ場のない場所に逃げ込む」「キャンプ場で騒ぐバカは、その後餌食になる」など、どのジャンルにも「B級映画あるある場面」があります。そこはB級で一番美味しい部分なので、見逃さないように気を付けましょう。
<生物パニック映画>
※生物パニック映画あるある…放射能を浴びて生物が巨大化★もはや何の生物かわからない★登場する生物学者が女性→無駄にエロい★密林をタンクトップで逃げる女
『シーワールドZ』
監督/ グレン·R·ミラー 2021年
休館中の「シャイニング・シー水族館」で、瀕死のタコに誤って注射された薬品は、生物がゾンビ化するウィルスが入ったものだった。狂暴化したタコはダクトを這いまわり――。
スタートはタコから。そして最終的に水族館にいる生物がみんなゾンビ化する。もう、何でもいいから生物を狂暴化させちゃえ感が強いこの作品で、サメは意外に弱い。パッケージでは強そうなのに。休館中の水族館なので、逃げ惑う職員たちの人数がすごく少なく、お客さんもいないのがキモ。キャストも少なくて済むよね。なお、噛みつかれても人間はゾンビ化しません。部屋のお片付けでもしながらご覧ください。
『デッド寿司』
監督/井口昇 販売元/エイベックス·ピクチャーズ 2013年
温泉旅館で寿司職人の修行をするケイコ。ある日、製薬会社に恨みを持つ男が宴会用の寿司を、殺戮生物に変えてしまう。ケイコは狂暴化した寿司と戦うことに――。
寿司の握りを会得するために、カンフーの修行から始めるケイコ。そこで「?」と思っては先に進めないよ。しかも肝心のゾンビ化した寿司はなかなか出てこない。やっとゾンビ寿司が出ると、寿司たちは交尾し激しい勢いで繁殖していく。もう何がなんやら。「3秒前はトロだった」というキャッチが話題を呼んだ本作品は、今までの生物パニックの枠を超え過ぎていて、観るとドーパミンがバンバン出る、面白くて危険なB級映画だ。
<ホラー映画>
※ホラー映画あるある…逃げ込んだ先が最恐★廃墟でHするヤツは即死刑★地下室に行ったまま戻らない仲間がいる★突然のエロシーンの後に殺戮★パッケージだけ無駄に怖い
『ひきこさん VS口裂け女』
監督/永岡久明 販売元/ビデオメーカー 2011年
事故でこん睡状態の女性患者ふたりが目を覚ましたが、何かに怯えている。ひとりが発狂し、ある建物に逃げ込むが、そこは「口裂け女」が封印された閉鎖病棟だった――。
「口裂け女」と「ひきこさん」という有名都市伝説のふたりが最終的に頂上決戦を行うのだが、「おえええぇぇぇ」と叫んで取っ組み合うばかりで特技は出てこず。まあ「ひきこさん」の特技は「死ぬまで引きずり回す」という地味技だからね。ちなみに「口裂け女」は、このほか「カシマさん」「メリーさん」とも「VSもの」で戦い、「ひきこさん」は「貞子」「こっくりさん」と対戦している。興行的に人気の選手らしい。
『クネクネ』
監督·脚本/吉川久岳 販売元/ビデオメーカー 2010年
家族4人でキャンプに出かけた千里たち。しかし途中道に迷い、通りかかった村人に道を聞くが、「帰った方がいい」と言われる。その物言いに不穏な気配を察知するが――。
クネクネと踊るように立っていて、「見ると精神に異常をきたす」という謎の「クネクネ」。ちなみに遠目で見るだけなら大丈夫らしい。ユルい呪いだ。ほかにツッコミどころ満載だけど「キャンプ場」「村の言い伝え」と、B級材料は揃っている。実はあまりクネらず、動きが単調な「クネクネ」に飽きるが、全尺50分だからがまんしろ。村人の言う「クネクネを見てはならぬ」は多分視聴者への言葉だ。言い伝えを守ればよかった…。