今年、大いなる飛躍を遂げたCANDY TUNE。「倍倍FIGHT!」がSNSで拡散され、活躍の場を急速に広げた彼女たちは、ついにかねてから夢として掲げていた『NHK紅白歌合戦』への出場を叶えることとなった。そんな話題沸騰中の7人の2025年の歩みを振り返りたい。

運命を変えた「倍倍FIGHT!」での大ブレイク

 既知の方も多いかもしれないが、CANDY TUNEはFRUITS ZIPPERらが所属するアソビシステムの「KAWAII LAB.」から誕生した女性アイドルグループである。メンバーは、桐原美月、福山梨乃、小川奈々子、南なつ、立花琴未、宮野静、村川緋杏の個性豊かな7名。ポップでかわいらしく、ポジティブなマインドあふれる楽曲をバンドサウンドに乗せて届けているのが特徴で、ライブで見せる高いパフォーマンス力も魅力のひとつだ。

 そんな彼女たちは今年上半期、2024年4月24日に配信リリースした「倍倍FIGHT!」で大ブレイク。同楽曲のTikTok総再生数は40億回を超え、公式YouTubeチャンネルで公開されたMVも12月5日時点で3000万回再生を突破。公開から8カ月が経っているにもかかわらず「人気27位のミュージックビデオ」にランクインするなど、ロングランヒットを記録し、ついにBillboard Japanの新人アーティストチャート「Heatseekers Songs」において、2025年の年間1位を獲得するに至った。

【MV】CANDY TUNE「倍倍FIGHT!」

 「倍倍FIGHT!」がヒットした背景には、TikTokでのバズがあった。過去のインタビュー記事によれば、CANDY TUNEのメンバーが「倍倍FIGHT!」の盛り上がりを予感したのは、今年1月上旬に人気TikTokerが同楽曲を用いてダンス動画を投稿していたことがきっかけだったという(※1)。その後、好機を捉えた本人たちがすかさずダンス動画を投稿すると反響が拡大。真似しやすい振り付けも相まって、TikTokユーザーによるショート動画の投稿が相次ぎ、爆発的な拡散に繋がっていった。最終的にTikTokの人気曲ランキングで10週連続1位を記録。同チャート史上最多の快挙(アソビシステム調べ)を達成した。

 また、ポジティブなエネルギーに満ちたサウンドも、多くの人を惹きつけた要因のひとつだ。過去の自分を肯定し、自分を大切にするというCANDY TUNEならではのセルフラブを表現した歌詞も、この楽曲が支持される理由のひとつとなっている。たとえば、歌詞には〈誰かを救うということは 過去の自分も救うことです〉〈誰かと比べて落ち込んだって 自分は自分さ〉といった言葉が並ぶ。日々の暮らしを前向きに歩んでいくためのアンセムソングとして、多くのリスナーから愛されているのである。

ツアー、音楽特番、夏フェス……パフォーマンス力で人気を拡大

 「倍倍FIGHT!」のヒットを経て、2025年4月にリリースした2ndシングル『推し♡好き♡しんどい』は、オリコン週間シングルランキングで初登場2位(オリコン調べ)を獲得。同作のタイトル曲「推し♡好き♡しんどい」は、ヒャダイン(前山田健一)とのコラボレーションで制作された。この楽曲は、ヒャダインならではのキャッチーで大胆に展開していくメロディが耳に残り、メンバーによるコミカルなパフォーマンスも印象的。そして、〈君という 存在が私の/生きてる 理由〉〈なんにもしてくれなくていい/支えさせてフォーエバー〉といった、推し活中のファンの心境を巧みに描いた歌詞もリスナーを惹きつけた。

【MV】CANDY TUNE 「推し♡好き♡しんどい」

 2ndシングルのリリース後、4月11日からは初のホールツアー『CANDY TUNE 2nd ANNIVERSARY TOUR 2025「CANDY CANDY PARTY」』を開催。このツアーでは愛知、大阪、東京を巡り、5月4日と5日には千葉・幕張イベントホールで追加公演を行った。幕張には2日間で約12,000人が駆けつけ、グループ史上最大規模の公演に。ツアー全体でも約21,000人を動員し、全編バンド演奏によるパフォーマンスで全国各地のあめちゃん(ファンの呼称)と絆を深めた。

 さらに、5月23日には『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)にグループ単独で初出演。彼女たちはMrs. GREEN APPLEやKing & Prince、いきものがかり、XGらトップアーティストと肩を並べて「倍倍FIGHT!」をパフォーマンスし、7人らしい前向きなメッセージとパワーをお茶の間に届けた。

 同番組への出演は、CANDY TUNEが新たなフェーズに入ったことの象徴と言っても過言ではない。彼女たちはその後、より多くの人々との接点となる夏の音楽特番やイベントなどに多数出演を果たすこととなった。7月には『テレ東音楽祭2025〜夏〜』(テレビ東京系)や『ミュージックステーション SUPER SUMMER FES 2025』、『音楽の日』(TBS系)と次々に出演。イベントでは『TGC teen 2025 Summer』をはじめ、8月には『LuckyFes’25』や『コカ・コーラ SUMMER FES 音楽LIVE』、9月にも『第41回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2025 AUTUMN/WINTER』に出演。数々のステージを踏み、彼女たちはまさに時代を代表するグループとして世にその名を知らしめたのである。

『NHK紅白歌合戦』から日本武道館2daysへ

 そして迎えた10月。ファン待望の1stアルバム『倍倍FIGHT!』を掲げて、グループ史上最大規模の全国ツアー『CANDY TUNE JAPAN TOUR 2025 – AUTUMN -』を開催した。北海道から福岡まで全国8都市を巡った同ツアーは、チケットの一般発売前に全公演が完売に。その人気ぶりに12月5日には東京ガーデンシアターで追加公演が開催され、彼女たちの現在の勢いがあらためて証明された。そしてこの場所で、来年6月の日本武道館2days公演をサプライズ発表。またひとつ、大きな夢を叶えることとなった。

 このように破竹の勢いで活躍の場を広げているCANDY TUNE。今年は、彼女たちを取り巻くあらゆるものが大きく変化した年と言えるだろう。そのきっかけを作ったのは「倍倍FIGHT!」のヒットだが、この曲がSNSで広く拡散されたのは、7人が以前から感度高くSNSを活用し、深い愛を持ってファンとのコミュニケーションを大切にしてきたからである。メンバーが‟バズ”の前兆を予感していなければ、現在のような活躍はなかったかもしれない。また、アイドルや振付師といった多彩な経歴を持つ7人がさまざまなステージを経験し、それぞれの個性と才能を活かしながら自分たちのパフォーマンスを磨いてきたことも、今年の飛躍に少なからず影響しているのではないだろうか。SNSやテレビ番組を通じてCANDY TUNEに興味を持った人たちがフェスなどで生身のパフォーマンスに触れ、その力強さと華やかさ、ポジティブさに一気に引き込まれてしまうのは想像に難くない。

 12月31日の『NHK紅白歌合戦』では、きっとCANDY TUNEならではの世界観で視聴者を虜にすることだろう。そして、今年の勢いをそのままに、2026年もさまざまな場所で活躍する7人の姿を楽しみにしたい。

※1:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/01202/00006/

■関連リンク
公式サイト:https://candytune.asobisystem.com/
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YouTube:https://www.youtube.com/@candy_tune

市岡光子

東京都在住のフリーライター・編集。インタビューとブックライティングを中心に活動。音楽、本、漫画、ゲームとあらゆるエンタメを雑食し、特に音楽は80年代洋楽ロックから韓流アイドルまで幅広く好む。YouTubeでまだ見ぬ素敵なアーティストを探すのが好き。

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