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※この記事は2025年12月に投稿した動画を元に作成したものです。

干場編集長が、フィレンツェで開催される世界最大級の紳士服見本市「ピッティ・ウオモ」を訪れ、2026年春夏の最新トレンドを徹底リサーチしました。今回は、今後の新商品開発にも直結する「リアルに使えるトレンド」として、いくつかの注目ブランドのブースを回りながら見えてきた“キーワード”を整理してお伝えします。

ブルネロ クチネリ、26年春夏は”ライト”が重要

2026年春夏シーズンを語るうえで、まず外せないのが「温暖化」とそこから生まれる「ライト(軽さ)」というテーマです。ブルネロ クチネリの今季テーマは“THE SHAPE OF LIGHT”。ここでいうLIGHTには、「光」だけでなく「明るさ」「軽やかさ」といった意味が込められています。

色使いは、ニュートラルカラーをベースに、コーラルレッドやチェリーレッド、ピーチトーンなどの柔らかい差し色が印象的。ボタンを白っぽくすることで、視覚的にも軽さを出しているのが特徴です。

テーラードのシルエットにも変化が見られます。ジャケットの着丈は約3センチ長くなり、それに合わせて肩幅もやや広めに。ラペルは少し太く、ゴージ位置は気持ち下がり、全体として90年代初頭を思わせる、どこかリラックスしたムードが漂います。

構築的なスーツに対して、足元にはシンプルなデッキシューズや、アンライニング(裏地なし)で仕立てた柔らかなスニーカーを合わせ、「ノンシャラン=肩の力が抜けた格好よさ」を表現しているのも今季のポイントです。

ブルネロ クチネリらしい哲学的なアプローチも健在です。“GENIVS LOCI(ゲニウス・ロキ)”とプリントされたTシャツは、「土地が本来持つ精神・雰囲気」を意味するラテン語から取られたもの。

ソロメオ村の中世建築を修復し、土地と人の暮らしを再生させてきたブルネロの活動が評価され、建築学の名誉博士号を授与されたことを記念した一枚だそうです。単なるロゴTではなく、背景に物語があるところも、このブランドならではです。

フォーマル提案にも“ライト”な解釈が見られます。タキシードは、通常ショールカラー部分にあしらわれる拝絹をあえて排し、スーツと同じ生地で仕立てることで、アペリティーボやカクテルシーンでさらりと着られる一着に。

インナーにはシルクウールのモックネックニットを合わせ、構築的でありながらリラックス感も共存する、現代的なフォーマルスタイルを提案していました。

ジャンネットのシャツ一枚で、様になる

続いて訪れたのは、豊田貿易が長年取り扱うシャツブランド、ジャンネット。ここでもキーワードはやはり「温暖化」と「軽さ」です。世界的に夏が長く、暑くなっていることを受けて、極薄のポプリン素材のシャツや、リネン100%のバンドカラーシャツ、開襟シャツなど、「1枚で様になる」軽やかなシャツが充実していました。

ダブルポケットや、マーブル調で一回り大きいボタンなど、ディテールでカジュアル感と存在感を出しているのも特徴です。ジャケットが着づらくなっている分、「シャツ1枚できちんと見えるかどうか」が、今後ますます重要になっていきそうです。

リフージオ、注目のレザーは?

レザーのカテゴリでは、ナポリ発のリフージオが存在感を放っていました。会場のブースも倍の広さになり、ブランドの勢いを裏付けています。ヒットモデルはスエードのウエスタンシャツ。絶妙なピンクがかったカラーやベージュなど、ラグジュアリーでありながら肩肘張らずに羽織れる一枚として、高い人気を誇ります。

もともと名だたるメゾンブランドのテーラードレザーを手がけてきたファクトリーだけに、縫製の精度やレザーのクオリティは圧巻。4ポケットのテーラード型ジャケットや、新型のボンバージャケットも、体に吸い付くようなパターンと程よいリブ使いで、長く愛用できる名品に仕上がっていました。価格帯は30〜40万円クラスですが、「ラグジュアリーウエスタンシャツ」として、一生ものの一着と言えそうです。

シャツだけじゃない!パンツも上品で軽やかに

パンツブランドでは、ブリリアの躍進ぶりが際立ちます。昨対比600%という驚異的な伸びを見せ、ワンプリーツの定番モデルBG07は8色展開が満遍なく売れているとのこと。背景には、確かなクオリティと優れたコストパフォーマンス、そしてイタリアらしい色使いがあります。2026年春夏は、カーキやミリタリー、赤茶(海老茶)のようなアースカラーを、リネン素材で軽やかに表現したパンツが打ち出しに。

ボックスプリーツが特徴の「ポルトベッロ」ショーツや、イギリスのムーン社のチェック生地、ロロピアーナと共同開発したナチュラルストレッチ素材など、素材使いも贅沢です。

さらに、デニムライン「DNM」では、ワイドテーパードやインプリーツ入りの新型が登場。

インディゴだけでなく、ナチュラルカラーのデニムが好調で、デニムでも「抜け感」と「軽さ」を意識した提案が前面に出ています。いわゆるスラックス型の“デニスラ”も用意され、きれいめなジャケットスタイルにも合わせやすいラインナップになっています。

今後のFORZASTYLE商品の展望は…

総じて2026年春夏のピッティ会場で強く感じられたのは、「構築的なアイテムをベースにしながら、いかに力を抜いて着こなすか」という発想です。ジャケットの着丈やパンツの股上は少しゆとりが出て、ブルゾンはショート丈でボクシーに。色は明るく、素材は軽く、シルエットはリラックス。気候変動による「長い夏」に対応しつつ、クラシック回帰の流れも踏まえた“ライトで上品なスタイル”こそが、次のシーズンの大きな潮流と言えるでしょう。

干場編集長が現地で掴んだこれらのインスピレーションは、今後のFORZA STYLE発の新商品企画にも生かされていく予定です。どんなアイテムとして形になるのか、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。

今回ご紹介した内容は、現地での膨大な取材のほんの一部にすぎません。実際の空気感や細かなディテールは、ぜひ元動画でご覧ください。

 

TEXT:FORZASTYLE

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