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最新作『ズートピア2』で新キャラクター・ニブルズの
日本版声優を務める江口のりこインタビュー

社会現象を巻き起こしたディズニー映画『ズートピア』の
最新作『ズートピア2』で新キャラクター・ニブルズの
日本版声優を務める江口のりこインタビュー

大ヒットを記録したアニメーション映画『ズートピア』の続編『ズートピア2』が、TOHOシネマズ梅田ほか全国にて上映中。

再びバディを組んだ皮肉屋のニックと、夢を諦めないジュディが、動物たちが人間のように暮らす夢の都市“ズートピア”に突如現れた指名手配犯のヘビをきっかけに、ズートピアの歴史にまつわる謎に挑む様を描く。

前作に続き、ウサギの警官・ジュディ役を上戸彩、キツネの相棒・ニック役を森川智之、ズートピアの謎の鍵を握る、ヘビの指名手配犯・ゲイリー役に声優の下野紘、ズートピアの創設者一族でオオヤマネコの御曹司・パウバート役には山田涼介が抜擢された。そんな本作の公開を前に、新キャラクターであるビーバーのニブルズの日本版声優を務める江口のりこが作品について語った。

──本作の新キャラクターのニブルズに決まったという連絡を受けた時は、どのように感じられましたか。

本当に嬉しかったです。びっくりしました。

──今までに、ディズニーさんのオーディションを受けられた経験はおありだったのでしょうか。

受けたことはなかったです。声優という仕事もやったことがなかったので、ディズニーさんの方からテストを受けてみませんかというお話があった時も、すごく不思議でした。zootopia2_sub2.jpg

──作品を拝見しましたが、江口さんが担当されたニブルズは、出てきた瞬間からフルスロットルのテンションだったと思います。ニブルズの高いテンションはどのようにして作られたのでしょうか。

監督から「声が小さいですね。もう少し大きい声を出してみましょう」と言われて。その後も、「もう少し大きく、もう少し大きく」と何度も言われて。そんな感じでずっとやってました。オッケーが出ないとこの収録ブースから出られないという危機感もあったので(笑)、一生懸命頑張りました。

──それは、今までの映像や舞台のお仕事で演出家の方に言われることとは全く違っていたのでしょうか。

そんなこともないんです。というのも、目の前のモニターに向かって、この声かな?この声かな?って、声を出すことに一生懸命になっていたら監督から「ここでは、こういう気持ちでこの言葉を言ってると思います」と言われて。自分は芝居することを忘れていたと気づいて。いつもやっているようにやってみよう、芝居することに立ち返ってみよう、と、少しだけ楽になれました。

──今までの経験を活かすことができた一方で、未知の経験だと感じたことはありましたか。

全てがそうでした。初めてのことですから。だからこそ、監督の言うことを素直に聞けたというのはあるかもしれないですね。頼みの綱は監督だけだったので、監督のことを信頼してやっていました。

──ご自身の声が入った日本版の本編を観た時は、どのように感じられましたか。

最初は自分の声だと思って、ちょっとドキッとしたのですが、観ていると、私がどうこうというよりも、『ズートピア2』の世界にのめり込んで観ていたので、途中からは自分の声を意識することはなくなりました。

──先日、ワールドプレミアに行かれた時に英語版も観られたとお聞きしましたが、いかがでしたか。

日本語吹替版よりも先にUS版を観ましたが、素晴らしかったです。声優さんの声ありきで、そのキャラクターが作られたんじゃないかと思いました。ニブルズを担当したのがフォーチュン・フィームスターさんというコメディアンの方なのですが、フォーチュンさんの声が本当に素敵で。伸びやかで、知的で、大らかで。フォーチュンさんの素敵なところはしっかり真似したいと思いました。

──ワールドプレミアの雰囲気はいかがでしたか。

一番感動したのは劇場の中に入った時でした。ディズニーの『ズートピア』の続編を待ち望んでいるお客さんがたくさんいて。皆、すごく楽しそうで。監督のご挨拶があって、出演者が名前を呼ばれて、ひとりずつ手を挙げて登場して。私の隣の席のティーンの女の子ふたりがめっちゃエキサイトしてたんです。「フー!」って。かなり盛り上がっていて、こっちまで嬉しくなりました。

──そんなに盛り上がっていたんですね。

映画を観ている時も、お客さんが5分に1回ぐらい声を上げて笑ったり、落ち込んだり、気を揉んだり、拍手したり、口笛を吹いたり。私も今まで芝居や映画など、いろいろやってきましたが、どこかでお客さんの反応を信じすぎてはいけないという意識があったんです。でも、お客さんが映画をすごく楽しみながら観ている姿を見て、もう少し素直にお客さんを信じてもいいんじゃないのかなという気持ちになったので、本当にいい経験をさせてもらいました。

──日本の劇場や舞台挨拶の雰囲気とは全然違うんですね。

全然違いました。日本の劇場ではそんな風に声を上げて拍手してということは、なかなかないので楽しい経験でした。舞台挨拶では、監督ふたりが、「この作品は7、800人のスタッフと作った」とおっしゃられて、監督ふたりが捌けたら、出演者がバーっと出てきて、MCの方がひとりずつ名前をおっしゃって、ひとりずつ手を振って、それで終わりなんです。すごくさっぱりしていて、いいなと思いました。何も言わないんですよ。すごくいいな、このシステムって。

──(笑)。声優も初めてで、新しい経験もあって、初めて尽くしだったんですね。

ディズニーさんには感謝しています。本当にありがとうございます。

──日本と違うことを経験されて、江口さん自身にも変化がありそうですか?

どうでしょうか。でも、舞台挨拶に出ていく時に、お客さんは本当に来たくて来てくれているんだと実感すると思います(笑)。

──先ほどおっしゃったように、お客さんを信じてもいいんじゃないかと思ったという意味でも、新たな発見になったのではないでしょうか。

その一方で、お客さんの反応ことを信じすぎてしまって、自分たち作り手の思いがどこかへ行ってしまうのも怖いことです。連続ドラマをやっていると、SNSなどの反応によって、途中で台本が急激に変わることがたまにあるんです。私としては、最初に作り手がこういうドラマを作りたいと思った方向性の通りに突き進んでいってほしいなぁ、という思いもあって。

──SNSには良いところと悪いところがありますよね。

SNSもそうですが、舞台をやっている時に、お客さんが笑うと「あ、ここ面白いんだ」と思っても、次の日は全然笑わないこともあるので。だから、そういう意味でも、演者として自分をしっかり持っていないといけません。

──ご自身が演じたニブルズ以外で、特にお気に入りのキャラクターは誰でしょうか。

そうですね。髙嶋政宏さんがやってらっしゃった、ウィンドダンサー市長ですね。面白いですよね。元俳優で政治家に転向して市長になって、ムキムキで。きっと、アーノルド・シュワルツェネッガーがモデルですよね。そういうギャグも散りばめられた楽しい映画です。

──そう考えると、もっと深堀りしたくなりますし、アメリカだったらもっと面白く感じられることもありそうですよね。

USプレミアの時も、お客さんがめちゃくちゃ笑っていたので本当に面白いんだと思います。日本では、日本語に置き換えるので、ギャグを100%伝えることは難しいと思いますが、日本版は日本版で楽しんでいただけると思います。

──本作を紹介しようと思っても、言えないことがたくさんあると思いますが、江口さんは、本作をどのように紹介されてるのでしょうか。

私は、ホリデーシーズンにぴったりな映画です、と言ってます(笑)。本当にそう思っています。雪景色も出てきて、音楽もクリスマス感があって、ちょっと子どもの頃を思い出すような、温かい気持ちになるような作品です。zootopia2_sub.jpg

取材・文/華崎陽子

(2025年12月11日更新)

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