エンターテイメント業界の盟主、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)の売却を巡る動きは、依然として予断を許さない状況が続いている。100年以上の歴史を持つ巨大スタジオの買収を狙い、Netflixとパラマウントが積極的な入札を展開。水面下でオファーの準備が進められてきた両社の争いは、今やエンタメ史に残る「超巨大ディール」へと発展した。そこで気になるのが、映画・海外ドラマファンにとっての影響だ。どちらが買収した場合に、コンテンツ消費者にとってより良い結果になるかを米Screen Rantが伝えているのでご紹介しよう。

業界に衝撃!Netflixのワーナー・ブラザース買収に対する世界の反応

Netflixがワーナー・ブラザース・ディスカバリーを827 …

Netflix 対 パラマウント

事態が大きく動いたのは先週末、NetflixがWBD買収の入札に勝利したと公式に発表されたことである。しかし、この決定が競合を退かせることはなかった。パラマウントは即座に敵対的買収を開始。WBDの強力な資産を自社のマルチメディア帝国に取り込むため、土壇場での猛追を見せている。

現在、WBDに対して二つのオファーが活発に進行している状況だ。Netflixとパラマウント、それぞれが提示するオファーの詳細は複雑であり、その結果はエンターテイメント業界全体、そして世界中のコンテンツ消費者である我々の視聴体験にも甚大な影響を及ぼすことになる。

パラマウントの「全額現金オファー」とHBO Maxの運命

パラマウントは、スカイダンスとの合併完了後、デヴィッド・エリソン主導の下でWBDの獲得に焦点を移した。現在、パラマウント-スカイダンスはWBD株主に対し、1株あたり30ドルでの全額現金オファーを提示している。これは負債を含め、WBDの企業価値を1,084億ドルと評価する巨額の提案である。

パラマウントの入札がNetflixのオファーと決定的に異なるのは、買収対象の範囲だ。パラマウントは、映画スタジオ、そしてファンにとって重要な「HBO Max」に加えて、CNNなどの多岐にわたるケーブルチャンネルを含むWBDの全ての買収を目指している。これは、Paramount+(パラマウントプラス)とHBO Maxという主要なストリーミングサービスが一つになることを意味しており、サービスの統合や価格改定、そしてラインナップの再編は避けられないだろう。

当初、WBDが10月に拒否した約20ドルという初期オファーから大幅に増額された今回の提案。Netflixの入札承認後に、パラマウントが株主へ直接アプローチし、1株30ドルへと価値を引き上げて敵対的買収を試みた形だ。この高額なオファーの実現には、ジャレッド・クシュナーのアフィニティ・パートナーズや、中東の企業を含む複数の重要な支援者が資金を提供している。

Netflixとワーナー・ブラザース、既に合意済みの$827億ディール

買収合戦において、Netflixは12月5日に公式な取引合意に至った点で優位に立つ。Netflixは、現金と株式を組み合わせ、1株あたり27.75ドルと評価される827億ドルでWBDを買収する。

Netflixの買収対象は、ワーナー・ブラザースの映画スタジオとHBO Maxに限定される。CNNなどのケーブルチャンネルは別の事業体に分離される計画だ。この取引で最も注目すべきは、HBO MaxのライブラリがNetflixの傘下に入るという点である。Netflixという世界最大のストリーマーが、『ゲーム・オブ・スローンズ』や『THE LAST OF US』といったHBOの超強力コンテンツを手に入れることになれば、ストリーミング業界の勢力図は完全に塗り替えられることになる。

パラマウントの提示した全体価値よりも低いにもかかわらず、この入札は既にNetflixとWBDの取締役会から満場一致で承認を得ている。Netflixは取引成立に強い自信を持っており、万一破談になった場合のWBDが受け取る解約金は58億ドルと設定された。

CEOのテッド・サランドスは、この取引を劇場公開を含む配給形態を拡大するものと位置づけ、全く同じ事業を行う2社の合併ではないことを強調。さらに、WB映画の劇場公開を継続すると断言しており、映画館での大作体験を求めるファンを安心させている。

映画&海外ドラマファンにとって最良の結果は?

Netflixによるワーナー・ブラザース買収は、大局的に見ればパラマウント案よりも「より良い結果」をもたらす可能性が高い。もちろん、WBDが他のスタジオと合併しないことが最善ではあるが、もし取引が成立するならば、Netflixは「次善の策(二つの悪のうちましな方)」として浮上する。

ファンへの影響:劇場公開と大作映画

パラマウントがWBを買収した場合、大規模なレイオフ(人員削減)だけでなく、映画公開の激減という深刻な事態が予想される。WBとパラマウントは合わせて2025年に24作品の映画を公開しているが、もし両社が一つの事業体になれば、全ての作品を公開カレンダーに組み込むのは困難を極める。結果として、劇場で鑑賞できる新作映画の数が大幅に減少するリスクがあるのだ。

一方、NetflixはWB映画の劇場公開を継続すると声明を出しており、興行主と観客の双方にとって朗報である。NetflixがWBを買収した場合、劇場公開の数が維持され、我々はこれまで通り大画面で大作を楽しむ機会が確保される見込みだ。

ファンへの影響:ストリーミングとコンテンツ

ストリーミングに関しては、いずれの買収案でもサービスの統合、つまり価格の上昇は避けられない。

パラマウントが勝利した場合

Paramount+とHBO Maxの統合。新しいストリーミングサービスが誕生し、ユーザーは二つの異なるラインナップを一つで視聴できるようになるが、ブランドの混乱や価格の急騰を招く可能性がある。

Netflixが勝利した場合

NetflixがHBO Maxのライブラリを獲得。Netflixが事実上の業界の盟主となり、コンテンツの独占が進む。ファンはNetflix一つで膨大なライブラリを楽しめるようになるかもしれないが、競争の減少はコンテンツ価格のさらなる上昇を招きやすいというリスクもある。

結論として、劇場公開の維持と、ハリウッドの創造性を守るという観点から見れば、Netflixの取引の方がファンにとってのリスクは低いと言えるだろう。パラマウントによる買収は、主要な配給会社を一つ失い、映画公開市場が大きく縮小するという、最も避けたいシナリオにつながる可能性が高いからである。

今後もこのワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収を巡る続報は、随時お伝えしていく。(海外ドラマNAVI)

参考元:Screen Rant

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