
「国宝」の一場面
第47回ヨコハマ映画祭の日本映画ベストテンと各賞が決まった。作品賞は、興行収入が邦画実写作の歴代1位になるなど社会現象となった「国宝」が選ばれた。主演女優賞は広瀬すずさん、主演男優賞は吉沢亮さん、横浜流星さんが受賞した。表彰式と受賞作品を上映する映画祭は来年2月1日、関内ホール(横浜市中区)で行われる。
映画好きの会社員3人が始めた映画祭は、スポンサーを持たない手作りの「映画ファンの祭典」として定着。新しい才能もいち早く発掘してきており、選考結果は映画界でも注目されている。
作品賞の「国宝」は、任侠(にんきょう)の家に生まれ、歌舞伎の世界に入った主人公を通して、才能か血筋かを生々しく描いた愛憎劇で、現在も公開中。同作では、監督賞・李相日さん、主演男優賞・吉沢さん、脚本賞・奥寺佐渡子さん、助演男優賞・田中泯さん、歌舞伎指導と出演も務めた四代目中村鴈治郎さんが審査員特別賞、美術監督の種田陽平さんが特別大賞を受賞し、7冠を果たした。
同作について映画祭実行委員会の北見秋満さんは「まさに破格な作品。作家のイリュージョンから発生した映像でありながら、映画が肉体を伴って生起しているとの感覚に襲われる」とコメントを寄せた。
主演女優賞の広瀬さんは混乱する戦後の長崎を生き抜いた女性に扮(ふん)した「遠い山なみの光」、詩人・中原中也と文芸評論家・小林秀雄に愛された長谷川泰子を演じた「ゆきてかへらぬ」が評価された。
吉沢さんと「国宝」で共演した横浜さんは、さまざまな人相風体に偽装する逃亡犯を“七変化”さながらに演じた「正体」で、主演男優賞に輝いた。
映画祭は午前11時開演。全席指定3千円。チケットぴあで12月12日から先行、20日から一般、関内ホールで21日から一般発売する。問い合わせは、実行委員会・北見さん電話045(430)1845(午後6~10時)。
(下野 綾)
【下に表:2025年日本映画ベストテンと各賞】
