(CNN) 今年の夏に出演した米アパレル大手アメリカン・イーグル・アウトフィッターズのCMで物議を醸してからというもの、シドニー・スウィーニーの一挙手一投足は、本人の政治的立ち位置を見極めようとする世間の厳しい目にさらされているようだ。当該のCMは一部の視聴者から優生学と白人至上主義を助長するものと解釈された。記者会見を開けば発言の行間を読み取ろうとする人々の間で話題が沸騰。服装のチョイスさえも検証の対象となり、内なる信条の証拠として取り沙汰される状況だ。

従って、今週初めの「ザ・トゥナイト・ショー・ウィズ・ジミー・ファロン」でのスウィーニーの装いが激しい議論を再燃させたとしても、驚くには値しないだろう。足首のすぐ上で終わる、体にぴったりとフィットした栗色のドレス。髪は顔の下でカーブを描く、ラッカー仕上げのブロンドのボブヘア。そのようなスウィーニーの出で立ちを、多くの批評家はすぐさま右派系のニュースキャスターになぞらえた。

番組公式アカウントのプロモーション用X(旧ツイッター)投稿へのコメントは、その実情を雄弁に物語る。視聴者たちはホワイトハウス報道官のキャロライン・レビット、トランプ大統領の娘のイバンカ・トランプ、元FOXニュース司会者のメーガン・ケリーとの比較を熱心に繰り広げた。スウィーニーのヘアスタイリストがシェアしたスウィーニー自身の写真にも、同様のコメントが寄せられた。ある辛口なコンテンツクリエーターは、スウィーニーのチームが「わざとこんなことをしている」と述べ、本人を激しく非難する動画をアプリに投稿した。

スウィーニーの容姿に対する反応は、本人を巡る最近の世間的なイメージの変遷を考慮すると、より理解できるかもしれない。

この日の服装のチョイスは、保守派の装いとして広く受け入れられている定義とある意味で合致していたという/Todd Owyoung/NBC/Getty Images
この日の服装のチョイスは、保守派の装いとして広く受け入れられている定義とある意味で合致していたという/Todd Owyoung/NBC/Getty Images

スウィーニーの大きな転機は、2019年にHBOの人気ドラマ「ユーフォリア/EUPHORIA」で、複雑な心境のティーンエージャー、キャシー・ハワードを演じ、批評家から絶賛されたことだった(HBOはワーナー・ブラザース・ディスカバリーの傘下)。その後、スウィーニーはテレビシリーズ「ホワイト・ロータス」、受賞歴のあるインディペンデント系映画「リアリティ」(23年)、話題のロマンティック・コメディー映画「恋するプリテンダー」(23年)、そして歴史に残るプロボクサー、クリスティ・マーティンの人生を描き、ヘアメイクも劇的に変化させたハードなスポーツ映画「クリスティ」(25年)に出演している。

スウィーニーのキャリアは「ハリウッドの若手の中で最も将来有望な部類」と目されているが、ここまで論争とも無縁ではなかった。22年には家族の誕生日パーティーで、MAGA(米国を再び偉大に)風の帽子をかぶったゲストたちの写真が拡散。人々は眉をひそめ、スウィーニーの政治的傾向を疑問視する声が上がった。また今年8月には、スウィーニーが24年6月からフロリダ州で共和党員として登録されていたという報道も浮上した。しかし、最も批判を浴びたのは、優生主義的な内容と受け止められた冒頭のアメリカン・イーグルの広告だった。

スウィーニーは当初、この広告キャンペーンが巻き起こした騒動には言及しなかった。11月になるとGQ誌が、この騒動についてスウィーニーに尋ねるオンカメラインタビューを掲載。スウィーニーは反響に驚いたと打ち明けるも謝罪はせず、ジーンズへの愛と、人々の考えに口を出すつもりはないとする自身の立場を改めて強調した。

スウィーニーが今月1日の番組で着ていた服装は、保守派の装いとして広く受け入れられている定義とある意味で合致していた。マリ・クレール誌によると、右派の政治的立場を取る女性は「​​体にフィットするスカートスーツ、極度に高いスティレットヒール、ふんわりとしたブロー、そしてフルカバーメイク」を好み、「超フェミニン」なルックスを演出しているという。米紙ニューヨーク・タイムズのチーフファッション評論家、バネッサ・フリードマン氏もこれに同意し、フロリダ州にあるトランプ氏の邸宅、マール・ア・ラーゴのコミュニティーでは女性らしさが「ほとんど漫画のようなレベル」で強調されており、ファッションは主に「その主張を強化する」ために使われていると書いている。

スウィーニーのドレスは、ウエストを絞り、肩パッドを控えめに施したもので、最近本人が着用しているミニスカートとサイハイブーツよりも大人っぽい印象を与えた。このドレスはアレックス・ペリー氏がデザインしたもので、同氏のドレスはイバンカ・トランプをはじめセレーナ・ゴメス、ドージャ・キャット、ジェナ・オルテガ、ジェニファー・ロペス、リアーナなども着用している。今回の服装が終わりなき議論への含みのあるウィンクだったのか、それとも特に意味のない偶然のファッションチョイスだったのか、傍観者には知る由もない。スウィーニーが自ら語るなら別だが、今のところ本人が急いでそうする様子はない。

9月、バラエティー誌がスウィーニーに尋ねた。自分の名前がインターネットでトレンドになっているのを見た時の反応は? スウィーニーは表情一つ変えず、落ち着き払った口調でこう答えた。「『あら、今度は何?』って感じ」

原文タイトル:Look of the Week: Sydney Sweeney’s clothes are getting on people’s nerves(抄訳)

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