リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、「Stare In Wonder」のJUNONの〈振り切れるほど〜〉が大好き石井が『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』をプッシュします。
『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』

『THE FIRST』を毎週夢中で観ていた日から早4年半が経過しました。あの頃の自分に、「池亀樹音くんが超長髪の狂犬キャラ役で映画に出演し暴れ回っているよ」と伝えても、絶対に信じないでしょう。“未経験者”として恐るべきスピードで成長し、「Be Free」頃から急激に沼落ち民を続出させていたジュノンさん。あのスーツ姿から、「いつかデビューしたら、役者業でもいい上司役とか憧れの先輩役とか似合いそう」など、ときめいた人は多かったと思います。それがよもよやよもや、役者デビュー作が“狂犬”キャラとは誰が予想したでしょう。
本作の第1報が発表されたとき、「ついに役者デビュー!」という喜びと、「思ったのと違う……」という思い、両方の気持ちがあったのが正直なところです。が、その後の予告編などでその姿を観るたび、「これはこれで、アリ……なのか」という思いも芽生えていきました。
机を蹴り飛ばす杉下京太郎、強パンチで相手をブチのめす杉下京太郎、何かいつも睨んでいる杉下京太郎。そこにはBE:FIRSTとしては絶対に見せたことがない顔をしたジュノンさんがいたからです。

あえて原作漫画もアニメもチェックせず、まっさらな状態で映画を観ました。「まだ大学生の頃の池亀樹音を俺は知っている」という謎の親心を発揮しながら観たジュノンさんは、“狂犬”というより、“愛すべき大型犬”として『WIND BREAKER」の一員になっておりました。
予告などで想像していた通り、決してセリフは多くはないです。でも、ワナワナする杉下京太郎もいいし、筋トレで張り合う杉下京太郎もいいし、セロリを生で食べる杉下京太郎もいい。セロリを食べているシーンは、自分も知っているジュノンさんの顔になっていたような気がします。
杉下京太郎をもっといかつい、いかにも強そうな役者が演じていたら、これらのシーンは生まれなかったでしょう。根は良い人が、絶対に譲れないものが理由で怒るときほど怖いものはありません。杉下京太郎の大型犬要素には、 『THE FIRST』の頃から成長することを止めなかったジュノンさんだからこその魅力が詰まっています。
が、BE:FIRSTのMVなどを観てきた人からすれば、やっぱり今度はあの頃妄想した、カッコいいキャラも演じてほしいのも事実。そして、絶対それもできるはずという確信があります。そして、『WIND BREAKER』で初めて「JUNON」の名を知った方には、長髪ではないジュノンさんも知ってほしい。
いずれにせよ、ジュノンさんが本作で新たな表現の引き出しを増やしたことは間違いありません。BE:FIRSTとしても、役者・JUNONとしても、どんどん知らない顔を増やしていってほしいです。
■公開情報
『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』
全国公開中
出演:水上恒司、木戸大聖、八木莉可子、綱啓永、JUNON(BE:FIRST)、中沢元紀、曽田陵介、萩原護、髙橋里恩、山下幸輝、濱尾ノリタカ、上杉柊平
原作:にいさとる『WIND BREAKER』(講談社「マガジンポケット」連載)
監督:萩原健太郎
脚本:政池洋佑
プロデューサー:加茂義隆
音楽:Yaffle、桜木力丸
主題歌:BE:FIRST「Stay Strong」(B-ME)
配給:ワーナー・ブラザース映画
©にいさとる/講談社 ©2025「WIND BREAKER」製作委員会
公式サイト:wb-movie.jp
公式X(旧Twitter):@winbre_movie
元『映画芸術』編集部。生涯ベスト映画は『アパートの鍵貸します』『恋はデジャ・ブ』『Wの悲劇』。1997年からベイスターズ中心の生活です。
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