最前列で熱心に耳を傾けていた人々の反応から察するに、学生たちにとっても、ミュウミュウを身に纏った俳優やミュージシャンたちにとっても、年配の教授たちにとっても、翁のメッセージは心に響くものだったようだ。
張は「ド・ボーヴォワールのように作家であると同時に思想家でもある」パネリストを選ぶことに気を配ったという。「さまざまな成長段階にある女性を代表するようなスピーカーたちが欲しかったのです」と話す彼女は、ド・ボーヴォワールとサルトルの関係をめぐる議論が交わされたことに気持ちが踊った。参加した若い女性たちの多くがサルトルのド・ボーヴォワールに対する扱いに異論を唱え、議論が思いの外盛り上がったという。「ものの見方の変化に心動かされました。女性の人間関係の捉え方がいかに進化してきたかを反映しています」
.jpg)
Photo: Courtesy of Miu Miu
.jpg)
Photo: Courtesy of Miu Miu
「人々を結びつけ、議論を活性化させるものとして、良い物語に勝るものはない」──この日行われた対談は、ミュウミュウ リテラリークラブ、ひいては「Women’s Tale」プログラムが大成功を収めた理由も物語っていた。「文章を、そして小説そのものを起点にして、私たちが今いる中国と世界の現実を語りたかったのです」と張は付け加えた。
夜になっても参加者たちは本について熱く議論を交わし続け、対談が行われたホールは違う意味でのクラブに変身。煌めくディスコライトの下、話題のアルト・ポップ・シンガーソングライターのレクシー・リウがヒット曲を演奏し、熱気にあふれるナイトクラブへと一気に様変わりした。しかし、一歩廊下に出ると、棟の片隅にひっそりとある図書スペースにはまだ10人ほどの参加者がいて、リウの音楽が遠くに響く中、本を読みふけっていた。
「はじめから単に本を読み解くのではなく、本を架け橋にすることが目的でした」と張は私に語っていた。そういう意味では、今回のミュウミュウ リテラリークラブは成功に終わったと言えるだろう。
