2025
12/05

日本のウイスキーとその周辺にある独自の文化を、形式に囚われない自由な形で世界に発信し続けることを目的に立ち上げた営業時間外プロジェクト『NORMEL TIMES(ノーメルタイムズ)』が、坂井真紀と李夢苡樺を主演に迎えた短編映画『遠い人』を12月4日24時より「NORMEL TIMES サイト」内にて公開した。監督を、映画監督・劇作家の玉田真也が務める。

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本作は、休憩時間や帰り道、食事中など、肩書きや規則から解放される“営業時間外”をコンセプトに、グラス一杯のウイスキーを味わう時間で愉しめるショートフィルム。

第1弾となる本作には、劇団「玉田企画」を主宰し、映画『そばかす』『夏の砂の上』(上海国際映画祭審査員グランプリ受賞作)を手掛けるなど、映画・演劇の両分野で活躍する新進気鋭の映画監督・玉田監督を起用。玉田監督は今回のテーマを「ねじれた関係のふたりが、距離を越えて少しずつ心を通わせていく旅」として表現した。

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主演の一人である坂井は、玉田監督作品への2作目の出演となる。また、台湾出身の俳優・李夢苡樺(リ・モンイファ)は、オーディションで選ばれ、本作が日本映画初出演となる。

物語は、台湾出身のルイユン(李夢苡樺)が日本を訪れるところから始まる。出迎えたのは、ルイユンの恋人の母・美弥子(坂井)。

画像3画像3坂井真紀(笹本美弥⼦役)

しかし恋人はその場にはおらず、言葉も文化も違うふたりが、思いがけず一日を共に過ごすことになる。海辺の町を舞台に、ゆっくりと流れる時間のなかで、ふたりは少しずつ心を通わせていく。

画像4画像4李夢苡樺(ポン・ルイユン役)

撮影は、千葉県富津市の海辺の宿や商店、食堂などで実施された。また撮影後には、玉田監督、坂井、李夢苡樺への個インタビューも実施。
坂井は玉田監督について「(監督ならではの)リズムがあるので、毎シーン毎シーン、どこをこだわるのかというのも違うので、監督の言葉はすごく楽しみ」と話し、作品については「人と関わり合うことは、面倒くさいときもあるかもしれないけど、愛おしいことなので、(作品を通して)誰かと共に時間を過ごす愛おしさみたいなものが届けられたらいいなと思います」と語っている。

画像5画像5祷キララ(佐久間沙鳥役)

画像6画像6佐久間義則(岩谷健司役)

今後も「NORMEL TIMES」では、ショートフィルムをはじめとした様々なコンテンツを発信する。ウイスキーを片手に愉しむ、“営業時間外”コンテンツの新たな展開に注目したい。

玉田真也監督 インタビュー

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Q. 今回、“営業時間外”というコンセプトのもと、撮影されていますがそのコンセプトを、どのように作品に落とし込もうとされていますか?

A. “営業時間外”は、働く時間を離れた17時以降の余暇の時間というコンセプトだったと思うんですけど。それが今回は、旅行は余暇の時間のはずなんですけど、その中に仕事を離れきれない人がいる。(旅行に来ているのに)2人が交わりたいのになかなか交われないみたいな、そういう対立を人間関係の中に作るという、反映のさせ方を試してみました。

Q.お2人(主人公)の関係性がかなり独特ですが、着想のきっかけはなんですか?

A. ただ仲のいい2人が旅をしていたら、それはプライベートだったらそれで楽しいんですけど、やっぱり(物語の中に)対立を仕組みたいっていう想いがあったんです。だからなんか気まずくならざるを得ないような、ちょっとねじれた関係の2人が旅をしなきゃいけないっていう風にしたかった。
実際に日常でもあると思うんですけど、仲いい友達がいて、そいつが呼んできた友達がいて、その友達と3人で遊ぶ分には、まあいいんですけど、この一番仲いい友達は、もう1人の友達にとっても一番仲いい友達で。で、真ん中のその友達がトイレに行ったら、めっちゃ気まずいじゃないですか。その関係で1泊2日しなきゃいけないというのは面白いのかなと。

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Q.出演者の印象や、印象的なエピソード

坂井さんは、僕の前々作の長編映画に出演していて、その時からすごい良かったんです。お芝居に愛嬌がすごくありますよね。今回も、別の人が演じたらもしかしたら「嫌だな、このお母さん、仕事をずっと持ち込んで」って思われるような可能性もある役柄だと思うんですけど、坂井さんがやると、全部その愛嬌で嫌わずに済むんですよね。ちゃんと好きになれる感じがあって。そういう俳優さんだなと思っています。
李夢はオーディションで選んだんですけど、オーディションのときから圧倒的に何人か見た中でうまいんですよね。いろいろ質問して答えてもらったり、役について考えていることを答えてもらったりするんですけど、やっぱりその掘り下げ方もかなり考えている。オーディションを見てたときに、この人だったら言葉は通じないけど、対等に仕事ができそうっていう風に思いました。

坂井真紀 インタビュー

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Q.これまでのキャリアの中で色んな作品にご出演されている坂井さんですが、玉田監督はどんな監督だなと感じますか?

A. 玉田監督は、“人と人との距離感”や“こだわるポイント”に独特のリズムがある方だと感じています。シーンごとに大切にする部分が違っていて、その度に新しい視点をもらえるので監督の演出に、いつもわくわくします。

Q.今回の撮影のテーマは“営業時間外”でしたが、坂井さんにとってリラックスできる時間ってどんな時間ですか?

A. 私はバスケットボールを観るのが好きで、仕事を終えて、明日の準備もして、自分の自由時間ができたときに、試合を観るのがとても癒しになります。リラックスもできますし、思わず盛り上がってしまう時間でもあります。

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Q. 本作の見どころや、受け取ってほしい想い

A. 今は、“個”に重きが置かれがちな時代ですが、人と関わり合うことって面倒に感じる瞬間もある一方で、本当はとても愛おしいものだと思っています。誰かと共に時間を過ごすことの温かさや愛おしさを、この作品を通して感じていただけたら嬉しいです。

李夢苡樺(リ・モンイファ) インタビュー

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Q.撮影の感想

A.日本でお仕事をするのは今回が初めてなんですが、この環境の中でお仕事ができて本当に嬉しいです。東京に来るのは前回、家族と一緒に来た二十年前以来なんです。今回は一人で、そして仕事仲間と一緒に来られて、とても新鮮でした。撮影チームの皆さんも本当に良い方ばかりで、作品のストーリーもとても面白いんです。言葉の面でもいろいろ工夫がある作品で、スタッフの皆さんにもよくしていただき、本当に素敵な経験になりました。

Q.今回演じた「ルイユン」というキャラクターは、恋人の母親に会うために日本を訪れるという独特な役でしたが、演じる上で意識した点はありますか?

A.そうですね。たとえ国が違っても、恋人のご両親に会うというのは誰にとっても緊張するものだと思います。その気持ちを大事にしながら、相手の親御さんに良い印象を持ってもらいたい、ちゃんと見られたい、という心情を意識しました。さらに、言葉の壁や文化の違いもあるので、自分の中ではプレッシャーが大きかったですね。ストーリーの中では恋人本人が登場しないので、私は「彼がいなくても、お母さんと自分だけで良い関係を築きたい」という設定を自分の中で加えました。

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Q.ご自身にとって“営業時間外”にあたる、リラックスできる時間はどんな瞬間ですか?また、今回の撮影が終了して“営業時間外”を迎えたら何をしたいですか?

A. “営業時間外”というのは、私にとって「人と関わるときに被っている仮面を外す時間」だと思います。仕事でも友人関係でも、少なからず気を使う場面がありますよね。でも“営業時間外”は、他人の目を気にせずに、自分らしくいられる時間。今回の撮影が終わった後は、東京に少し残って、久しぶりにこの街の生活をゆっくり楽しもうと思っています。あまり深く考えずに、ただのんびりと過ごして、何が起こるか楽しみにしています。

ストーリー
台湾から日本を訪れたルイユン(李夢苡樺)は、恋人の母・美弥子(坂井真紀)と海辺の町の駅で待ち合わせをしていた。しかし、恋人は仕事の都合で来られず、ふたりは気まずい沈黙の中、ぎこちない一日を過ごしはじめる。言葉も文化も異なるふたりは、海辺を歩き、町の人々とふれあいながら、ゆっくりと流れる時間の中で、少しずつ心の距離を縮めていく。すぐそばにいるのに、こころは遠く感じてしまう。ウイスキーのように静かに寄り添う、ふたりの小さな物語。

『遠い人』
出演:坂井真紀 李夢苡樺 祷キララ 関口アナン 中山雄斗 笠島智 市川しんぺー 岩谷健司
脚本・監督:玉田真也
製作:NORMEL TIMES/CINEMORE
企画 :SHIKI INC. /株式会社 AD ASTRA
制作プロダクション:太陽企画株式会社/TOKYO
時間:30分
https://www.normeltimes.jp/

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