病と向き合いながら写真を撮り続けた霧島市の写真家。やまぐちめぐみさんが、11月8日に亡くなりました。46歳でした。彼女が切り取ったのは、かけがえのない日常の風景。私たちに生きることの素晴らしさを伝えてくれました。

祭壇に飾られた屈託のない笑顔が、その明るい人柄を映しだしています。

私たちが、やまぐちさんに出会ったのは、今年の5月――――。

JR肥薩線の霧島温泉駅で開かれた個展でした。並んでいたのは、彼女が切り取ったかけがえのない日常の風景。音やにおいまで感じられそうな鮮やかな情景が広がっていました。

(写真家・やまぐちめぐみさん)
「全部、思い入れがあるんです。1枚1枚が、これを撮るにしても息を止めて撮って1枚撮った後はもう脱力して」

高校時代に写真を撮り始め卒業後、写真家の道へ進みました。軌道に乗り始めた矢先・・・。大きな病が見つかりました。

(写真家・やまぐちめぐみさん)
「すごく痛くて、体中が・・・夜眠れない寝不足も続いているなかで『写真撮りたい』っていうのだけはあったから」

2年前、希少がんの一種「後腹膜肉腫」と診断され、3度の手術や抗がん剤治療を受けました。起き上がって水を飲むことすらできないほど、薬の副作用に苦しめられました。

(写真家・やまぐちめぐみさん)
「やせ細っている闘病しているお母さんって、絶対いや。私は写真家でありたい」

子どものためにも、最後まで写真家として生きたい――――。強い意志がありました。そして、大きな決断をします。抗がん剤治療をやめ、緩和ケアへ切り替えました。

(夫・宏二郎さん)
「写真家としての血。妻が生きた証として、誰かに見せて、何か感じ取ってもらえるものがあれば、それが1番いい」

自分らしく生きる――――。そう決めて、抗がん剤治療をやめてからは自由にできる時間が増え、地元の”人”にスポットをあてた写真にも取り組みました。

(写真家・やまぐちめぐみさん)
「一つのことに一生懸命、楽しんでいて続けているっていう姿も伝われば。でも、大変ですよ。何かを続けるって、やっぱり大変いろいろな事が犠牲になっていくんですけど。でも今はね。続けてよかったって思えています」

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