掲載日
2025年12月1日
フランス、イタリア、ポーランドの郵便事業者がTemu(テム)のようなプラットフォームと協定を結ぶなか、欧州繊維連盟のユーラテックス(Euratex)は、欧州域外からのオンライン注文の規制強化に向けた欧州の取り組みが瓦解しかねないと懸念を示しています。
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今回の表明は、10月中旬にフランスのラ・ポスト(La Poste)と、超低価格で知られる中国発プラットフォームのTemuが合意を結んだことを受けたものです。この合意を受け、フランスのセルジュ・パパン商業担当相は、フランス市場におけるウルトラファストファッションの影響力拡大について「われわれは攻撃を受けている」と発言しました。その後、TemuはポーランドのPoczta PolskaおよびイタリアのPoste Italianeとも同様の協定を締結し、これらの市場に到着する中国発小包の処理を円滑化するという狙いは一貫しています。
ユーラテックスによれば、こうした協定は議会が定めた政策の方向性に反するだけでなく、欧州が塞ごうとしている制度上の抜け穴をかえって広げてしまうものです。欧州の繊維産業では、上半期の衣料品生産が5%減、繊維生産が1.9%減となりました。両セクターでは雇用も、それぞれ3%と4~5%減少したとみられます。輸出が減少する一方で、衣料品および繊維の輸入はそれぞれ12.3%と7.7%増加しています。
「加盟国とEU機関が今、断固かつ一貫した行動をとらなければ、欧州の規範は意味を失い、重要な産業エコシステムは消滅してしまうでしょう」と、ユーラテックスは警告しています。「解決策は簡単で、長らく待ち望まれてきたものです。デ・ミニミス免税(EU域外からの150ユーロ未満の小包に対する免税、編集部注)を廃止し、関税、付加価値税、そして安全に関する規則をすべてに適用し、DSA(デジタルサービス法、編集部注)を速やかに執行することで、ウルトラファストファッションの海外事業者をもはや不処罰のまま放置しないようにすべきです。」
9月、ユーラテックスはウルトラファストファッションに反対する共同宣言の調印に参加し、同問題を欧州の議員らに提起するべく約20の連盟を結集しました。同連盟によれば、この問題に対する認識は、メディア、各国の首都、そしてブリュッセルで大きく高まっているとのことです。
「ヨーロッパではおよそ10万人の繊維産業の雇用が失われています」と、Euratex(ユーラテックス)のMario Jorge Machado(マリオ・ホルヘ・マチャド)会長は9月にFashionNetwork.comに語っています。「これは受け入れがたいことです。130万人を雇用するこのセクターで、ヨーロッパの繊維雇用のほぼ10%が失われ、何も手が打たれていません。」
Euratex(ユーラテックス)は、20万社で構成され、合計売上高1700億ユーロを生み出す部門を代表しているとしています。
