「バットマン」シリーズやアカデミー賞ノミネート作品『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(15)のマイケル・キートンが、監督、主演、製作の3役を担った最新作『殺し屋のプロット』が12月5日(金)より公開となる。本作は、記憶を失う病に侵された老ヒットマンが人生最期の完全犯罪に挑む極上のLAネオ・ノワール。このたび本作の主人公、ジョン・ノックスのキャラを深掘りする。あわせて新場面写真5点も解禁された。

ノックスと密会を重ねていたコールガール、アニーにヨアンナ・クーリクノックスと密会を重ねていたコールガール、アニーにヨアンナ・クーリク[c]2023 HIDDEN HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

キートンにとってキャリアの集大成とも言える『殺し屋のプロット』。共演にはアル・パチーノ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ジェームズ・マースデン、ヨアンナ・クーリクら豪華キャストが集結した。孤独な殺し屋の“終幕”を描き出す本作は、古典的なフィルム・ノワールのエッセンスを現代に継承する作品として、米Variety誌でも「デヴィッド・フィンチャー監督『ザ・キラー』(23)を凌駕するLAネオ・ノワール」と絶賛された注目作だ。

本作でキートンが演じているのは、“殺し屋”という裏稼業を、老ヒットマンとなった現在に至るまで完璧にこなしてきたノックス。ある日、彼は記憶を失う病を患っていることが発覚し、医師から数週間以内にすべての記憶を失ってしまうと告げられる。「病で記憶を失いつつある殺し屋」という設定は、近年ではリーアム・ニーソン主演の『MEMORY メモリー』(22)が記憶に新しいが、本作でキートン演じるノックスは、さらに設定が盛りだくさんな異色の殺し屋である。今回は本作の公開に先駆け、そんな最強の殺し屋ノックスの人物像に迫る!

元アメリカ陸軍偵察部隊の将校殺し屋としての引退を決意するノックスだったが、予想外の展開を迎える!殺し屋としての引退を決意するノックスだったが、予想外の展開を迎える![c]2023 HIDDEN HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ノックスは読書家のインテリでありながら、元陸軍偵察部隊の将校として数々の殊勲をあげている。長年、殺し屋稼業で成功してこれたのは、そんな彼の経歴が影響しているのだろう。劇中でも潜入、暗殺から、銃撃戦や肉弾戦、警察を欺く裏工作など、偵察部隊仕込みの凄腕テクニックを存分に披露している。ちなみに、彼は湾岸戦争に従軍していたようで、そのときに哲学書ばかり読んでいたことから、“アリストテレス”というあだ名で呼ばれていた。

博士号を2つ持つ元教師

ノックスは英文学と米国史の博士号を2つ持ち、大学で教鞭をとっていたという経歴を持つ。自宅の本棚には大量の本がずらり。ちなみに、ノックスが冒頭で読んでいる本は、アメリカの哲学者ウィルフリド・セラーズによる分析哲学の名著「経験論と心の哲学」である。また、毎週木曜日に会っているコールガールのアニーにも本をよく貸しており、劇中でアニーに薦めるチャールズ・ディケンズの「二都物語」は重要なキーアイテムとして機能する。物語のなかに散りばめられた書籍にも注目だ。

クロイツフェルト・ヤコブ病とは?【写真を見る】クロイツフェルト・ヤコブ病の症状にさらされながらも、完全犯罪に挑むノックスをマイケル・キートンが体現【写真を見る】クロイツフェルト・ヤコブ病の症状にさらされながらも、完全犯罪に挑むノックスをマイケル・キートンが体現[c]2023 HIDDEN HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ノックスが患っている病の正式名称は、「クロイツフェルト・ヤコブ病」という実際にある病気だ。認知症のように物忘れが進むものの、治療法はなく、進行が非常に早いのが特徴だ。多くは発症から1~2年以内に命を落とす。病院での検査では「車(car)」という言葉が咄嗟に出てこないほど、病状は深刻で、医師から正常な記憶を保てるのは、あと数週間ほどだと告げられてしまう。そこで裏稼業からの引退を決意したノックスだったが、長年音信不通だった息子が突然家を訪れ、殺人を隠蔽してほしいと頼まれる。ノックスは記憶が失われていくなかで人生最期の完全犯罪に挑むのだ。

資産家としての一面も?

ノックスは病を宣告されたことで、殺し屋としての引退を決意し、身辺整理を始める。全財産を現金化するため隠し場所を訪れるノックス。すると次から次へと、隠されていた資産が明らかになる。自宅にある大量の本をはじめ、貸し倉庫に保管していた絵画、シガーボックスに隠していた現金、山奥の別荘に隠していた宝石など、たくさんの資産を蓄えている様子が描かれている。教職も軍務も捨て、家族と疎遠になりながら孤高のヒットマンになった過去も気になるところだ。

MCU&DC“二大ヒーロー映画を股に掛ける俳優”の豪華共演!『殺し屋のプロット』は12月5日(金)より公開『殺し屋のプロット』は12月5日(金)より公開[c]2023 HIDDEN HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

最後は余談だが、キートンと、ノックスの息子役を演じるマースデンは、どちらもマーベル・コミック映画とDCコミック映画の両方に出演経験があるという珍しいケース。キートンは言わずと知れたDC映画の金字塔『バットマン』(89)のタイトルロールでありながら、トム・ホランド主演のMCU作品『スパイダーマン:ホームカミング』(17)にはヴィラン“バルチャー”として出演。マースデンは、彼の知名度を一気に上げた「X-MEN」シリーズのサイクロップス役から、実はDC映画『スーパーマン リターンズ』(06)にも出演している。さらに、マースデンはMCU最新作『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』(2026年12月18日公開)への出演も確定しており、ますます彼の活躍を見る機会は増えそうだ。本作での父子共演は、マーベル&DCファンにもたまらない組み合わせとなっている。

このように、設定盛りだくさんの難役をキートンがどんなふうに演じているのか?ノックスの活躍をぜひスクリーンで確かめていただきたい。

文/山崎伸子

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