東京藝術大学 履修証明プログラム「Diversity on the Arts Project(通称:DOOR)」は、「ケア×アート」をテーマに「多様な人々が共生できる社会」を支える人材を育成することを目的として、1年間、藝大生と全国の社会人が共に学ぶプログラムだ。
東京藝術大学長・日比野克彦がディレクターを務め、2017年度の開講から継続して、領域を横断し重層的に活動する人材の育成に取り組んできた。そして、活動10年の節目となる来年度に向けて、2026年度受講生を募集している。
DOORは、2025年10月に、厚生労働省 教育訓練給付の対象である「特定一般教育訓練」の指定を受けたことから、2026年度受講生より、所定の要件を満たした手続きを行った場合には、受講料の40%の給付を受けることが可能となる。
また、新たに、他の教育機関に在籍しながら同時期にDOORを受講する学生を対象として受講料の一部を減免する独自の制度を設け、様々な環境の人々が学びの機会を得られるような仕組みを取り入れている。
2026年度受講生の応募期間は、2026年1月5日14時〜2月13日14時まで。DOORのWEBサイトにて応募を受け付けている。

DOOR特講「ストーリーテリング」授業風景
DOORの特徴は、東京藝術大学の教員をはじめ、アーティストや多様な福祉の実践者、現代の社会に生きづらさを感じている当事者を含む30名を超える講師陣を迎え、アートと現代の福祉をより広い視野でとらえ直す、体系的かつ東京藝術大学らしいカリキュラムにある。

「必修科目」は、月曜日の夜に完全オンラインで開講し、ダイバーシティや福祉・ケアの実践家・専門家を講師に迎えて、1年間で多様な課題に触れる構成となっている。
対面授業とオンライン授業から選ぶことができる「選択科目」は、探究と実践の機会として位置付けられ、アートの側面から学びを深める制作系の演習や全国のアートプロジェクトの事例について学ぶことができる講義科目などが編成されている。
社会人受講生への配慮から、授業時間は平日夜間・土日祝日を中心とし、全国からオンラインのみでの受講も可能。多くの授業は、欠席した際に見逃し配信での視聴が可能であるため、1年を通じて学びの機会が担保される仕組みだ。

多くの授業は見逃し配信での視聴が可能

選択科目「プログラム実践演習」授業風景
「DOOR特講」と呼ばれる1日完結型の授業は、任意で参加が可能だ。東京藝術大学の施設を利用した「クロッキー」などのユニークな演習があり、毎年受講生からの人気が高い。
さらに、自宅で都合の良い時間に視聴できる「DOOR eアーカイブラーニング」では、過去の講義映像の視聴が可能となっているほか、連絡用のトークボード機能では受講生同士の交流もできる。
年間で60時間以上の受講等、修了要件を満たすと、東京藝術大学より履修証明書(文部科学省推奨履修証明制度適用)が授与される。

(上)選択科目「ケア×ソーシャリー・エンゲイジド・アート実践論」
(下)DOOR特講「Dance well」ワークショップ授業風景
「ケア×アート」をテーマしていることから、プログラム全体で対話を重視し、受講生同士での交流の機会も設けている。また、全国に住んでいるDOOR修了生とのアートや福祉・ケアと関連するプロジェクトでの交流も様々に行われている。
2022年には講義の内容を記録した書籍『ケアとアートの教室』も出版されているため、DOORの講義に興味がある方はぜひ手にとってみてほしい。

これから受講を検討している人に向けて、2026年1月26日には、オンライン公開講座の開催も予定されている。必修科目「ダイバーシティ実践論」の講義をリアルタイムに配信するもので、講師には東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授 西原珉、聞き手に東京藝術大学長 日比野克彦が登壇予定だ。
2026年度受講生の募集人数は120名。応募方法はWEB応募のみとなる。応募期間は2026年1月5日14時〜2月13日14時まで。
多様な課題に直面する現代を「共に生きる」ために、あらゆる視点からケア×アートを思考し、実践する1年間。興味のある方はふるって藝大の門(DOOR)を叩いてほしい。

